【A-line?CVC?】蘇生・心拍再開後の対応やショック患者の対応【薬剤は?】

ERのバタバタした中で効率よく初療を進めていくには、次に何をするかを常に考えておくことが必要です。
特に高頻度で出会い、スピードも求められるのは心拍再開(Return Of Spontaneous Circulation:ROSC)後の対応やショック患者への対応だと思います。

ショックの患者やROSC後の患者って次々物品や薬剤名を言われて怖い…

と思う方も多数だと思います。

ALSを履修してアルゴリズムを理解したら、次のステップにこの記事を読んでください。
初療中に救急医が何を考えながら動いているのか解説します。
方向性の共有が効率の良い、迅速な初療対応に繋がります!

当記事で使用しているスライドは私の施設でもラミネートしてくれています。
ER部門のスキル底上げのために看護師さんも勉強を繰り返してくれています。


一般的と思われる薬剤の希釈方法も記載していますが、必ず皆さんの施設で使われる組成を確認してください。

※完全版のスライドをnoteで販売しています、講義用スライドをお求めの方は是非。
※pptxファイルですので自由に編集して使って頂けます。

目次

CPA症例の基本的な対応

蘇生チームの構成

CPA症例は基本的にはACLSに従って行います。
ACLSは各自学習していただきたい所です。
(ネタに困ったら記事にするかもしれませんが…)

このACLSでの蘇生チームの構成は

  • リーダー
  • 記録
  • 呼吸
  • 薬剤投与
  • 胸骨圧迫(ショック)

の最低でも5人のチームで行います。

スタッフが充実している施設では良いのですが3人程度で蘇生に当たらなければならない施設も多々あることと思います。

そういった場合救急隊に胸骨圧迫を手伝ってもらったり…大変ですよね。

さらに実際には
脱衣、挿管の介助や固定、検体の提出、ルート確保困難な時の対応(骨髄輸液路の確保やシースの挿入)、血液検査の結果確認、電気ショックの判断・施行、原因検索…
やるべきことは多数ですね。

人数が足りていないのにアルゴリズム通りの蘇生や蘇生後の対応をするのは不可能です。
その場合、効率を良くするために全員が方向性を共有し、初療を行うことが必要です。

必要な物品の準備

まずは(外傷以外の)CPA症例が来るとなったときに準備が必要なもの一覧です。

少なくともこれらは事前準備が必要です。
破損等の可能性もあるので、各施設のどこに予備があるのかも確認しておきましょう。
輪状甲状靱帯切開用にメスとペアンの位置も確認しておきましょう。

さらに、ルート確保が困難であれば、中心静脈からルートを確保することも多々あります。
また、骨髄輸液路は確実で早く、医師によってはいきなり骨髄輸液路をとる方もいます。

骨髄輸液路を確保した後は必ず生食でフラッシュを行うので準備しておいてください。
忘れがちです。

原因検索とその対応

無事ルートが確保できたら原因検索を行いながらアルゴリズムを進めていきます。
原因検索は6H6Tです、おさらいしましょう。
原因判明後に必要な物品も一覧にします。

上記薬剤や物品の置いている場所は確認しておきましょう。
上記画像は一般的なモノと思いますが、各施設の医師に確認してください。

蘇生・心拍再開(Return Of Spontaneous Circulation:ROSC)後の対応

心拍再開後はバイタルの安定化を図りながら原因検索を引き続き行います。

たいていの場合低血圧が遷延しています。
となると昇圧薬が必要ですよね。

ノルアドレナリン(NAd) 5A(5mg) + 生食 45ml 計50ml はほぼ使いますね。
心原性の要素があれば
ドブタミン(DOB) 300㎎ + 生食 85ml 計100mLも使います。
※上記は濃い組成であり、末梢から投与する場合は薄い組成を好む先生もいます。

それでも血圧を維持できなければ
Ad 5A(5mg) + 生食 45ml 計50mlの持続注射も考慮します。
適宜昇圧に、ネオシネジン(phenylephrine)1A(1mg) + 生食 9ml 計10mlを2-3mlずつi.v.することもあります。

敗血症性ショックであれば、
ソルコーテフ 50mgピトレシン 1A(20U) + 生食19ml 計20mlの持続注射も考慮します。

そしてこれらの高容量のカテコラミンの投与は中心静脈カテーテル(central venous catheter:CVC)から投与したいですよね。
また、循環動態が不安定で血圧の持続モニタリングもしたいし、頻回な採血も予測されます。
となるとCVC挿入やA-lineの挿入に進みます。

それぞれ必要な物品は下記画像を参照です。

各施設によってCVCセットとA-lineセットの中身は違うので必ず医師に確認してください。
また、A-lineの加圧バックの作成やゼロ点構成がスムーズにできない方も沢山います。
必ず下記動画を視聴してください。


まずは加圧バックの準備です。

次にゼロ校正の方法です。

この動画、クオリティ高いですよね。
繰り返し見て、焦っていてもできるようになってください!

ショック患者の対応

ほとんど上記蘇生後の対応と同じですが、挿管時に薬剤の投与が必要です。
鎮痛・鎮静・筋弛緩の順ですね。

成人へのおおまかな投与量を記載しますが、状況・医師によって使用量や方法が違うので確認してください。

鎮痛:フェンタニル
   100μg(2ml)  全量 i.v.
鎮静:ミダゾラム
   10mg(2ml)+生食8ml 2-4mlずつ i.v.
筋弛緩:ロクロニウム
   50mg(5ml)   全量 i.v.

念のため昇圧薬:ネオシネジン 1mg(1ml) + 生食 9ml 2-3mlずつ i.v.

が必要ですね。血圧の測定間隔は2分おきにしておいてください。
鎮静や筋弛緩が効くまで約2分なので目印になります。

また、多量の胃内容物が予想されるときは先に胃管を入れて吸引する場合もあります。

実際の流れ

もっとテキパキできる施設もあると思いますが一例です。
時間も見ながらスピード感をイメージしてみてください。

まとめ:向かっている方向性を共有できると効率改善&更なる改善点も見えてくる!

このような緊急対応は慣れてない看護師さんや研修医には非常に怖く感じるかもしれません。
でもこの記事を読むとできそうな気がしてきませんか?

薬剤や使用物品は一例ですので各施設の即したものを必ず確認してください!

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※pptxファイルですので自由に編集して使って頂けます。

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この記事を書いた人

一児の父┃救急専門医┃集中治療専門医
自分の学習内容のアウトプット、講義資料の共有をしたい!
という理由でブログを開設しました。

Twitterやインスタでミニレクチャーをしています🔥
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