2019年度集中治療専門医試験の解答解説です。
問題と解答は学会誌から引用。
解説に関しては非公式です。
コメント欄でディスカッションできれば幸いです。
間違い、ご指摘等があれば教えてください。
※「テキスト」とは日本集中治療医学会専門医テキストのことです。
※上付き文字、下付き文字は少しずつ修正するのでご了承ください。
1) 急性膵炎について正しいのはどれか。
a. 造影CT は禁忌である。
b. 感染した仮性膵嚢胞を被包化壊死という。
c. 胆石性膵炎においては保存的治療が優先される。
d. 重症急性膵炎の予後は発症時の重症度と最も相関する。
e. 軽症膵炎ではCRP> 15 mg/dL でも予防的抗菌薬の必要はない。
2) 40歳の男性。煙の充満する火災現場から搬送された。身長170 cm,体重60 kg,意識レベルJCS300,呼吸数24回/分,脈拍数120回/分,血圧130/95 mmHg,体温36.5℃,SpO2 92%(マスク,5 L/ 分)である。皮膚は鮮紅色で40%のⅡ度熱傷を認めた。直ちに行う治療として正しいのはどれか。
a. コロイド輸液
b. 高濃度酸素投与
c. 高カロリー輸液
d. カテコラミン投与
e. 高用量ステロイド
a. ×晶質液
b. ○CO中毒が疑われる
c. ×栄養のfirstchoiceは経管栄養
d. ×現時点で循環はOK
e. ×ルーチンでのステロイド投与は推奨されない
「熱傷診療ガイドライン」改訂第3版
3) 80歳の女性。Stanford B型大動脈解離と診断されICUに入室した。降圧薬投与,酸素投与が開始された。翌朝の状態を示す。夜はほとんど一睡もできず, 傾眠状態。GCS E2V5M6,Richmond Agitation-Sedation Scale − 1,Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit(CAM-ICU)せん妄あり,Intensive Care Delirium Screening Checklist(ICDSC)4点。呼吸数20回/分,脈拍数90回/分・整,血圧110/65 mmHg,SpO2 99%(鼻カニューレ,3 L/分)であった。行うべき対策はどれか。2つ選びなさい。
a. 痛みの評価を行う。
b. 日中部屋の照度を下げる。
c. ハロペリドールを定時投与する。
d. ブロチゾラムを眠前に投与する。
e. 定期的にCAM-ICU やICDSC を評価する。
4) 60歳の男性。非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変にて入退院を繰り返していた。数日前から左下肢の浮腫が出現し,下肢脱力症状を認め来院した。意識:返答にやや時間がかかるが,指示に応答できる。羽ばたき振戦あり。瞳孔4mm/4 mm,対光反射あり。呼吸数20回/分,脈拍数90回/分・整,血圧130/70 mmHg,SpO296%(room air)であった。血液一般検査:WBC15,100 /μL,RBC 332万/μL,Hb 8.9 g/dL,Plt 2.3万/ μL 。血液生化学検査:BUN 40 mg/dL,Cr 1.5 mg/dL,Na 136 mEq/L,K 5.1mEq/L,Cl 107 mEq/L,Ca 8.3 mg/dL,総蛋白6.4 g/dL,アルブミン2.5 g/dL,AST 31 IU/L,ALT 22 IU/L,コリンエステラーゼ93 IU/L,LDH 252 IU/L,T-Bil 1.8 mg/dL,D-Bil 1.2 mg/dL,CRP 9.4 mg/dL,NH3 150μg/dL 。凝固系検査:PT活性25%,PT-INR 2.14,APTT 36.8秒,フィブリノゲン327 mg/dL,FDP 2.4μg/mL 。腹部エコー検査:腹水を少量認める。この患者の肝性昏睡度とChild-Pugh 分類はどれか。
a. 肝性昏睡度 Ⅰ Child-Pugh A
b. 肝性昏睡度 Ⅱ Child-Pugh B
c. 肝性昏睡度 Ⅱ Child-Pugh C
d. 肝性昏睡度 Ⅲ Child-Pugh B
e. 肝性昏睡度 Ⅲ Child-Pugh C
a. ×
b. ×
c. ○下図参照
d. ×
e. ×


5) 気管吸引について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 陰圧をかける時間は10秒以内が望ましい。
b. 定期的な気管吸引はICU滞在日数を短縮する。
c. 小児における吸引圧は80〜100 mmHg以下が望ましい。
d. 吸引カテーテルは抵抗を感じるまで挿入して陰圧をかける。
e. 開放式は閉鎖式に比べて人工呼吸器関連肺炎の発症率が高い。
a. ○
b. ×ルーチンでの気管吸引は低酸素血症や気道損傷を増やす可能性
c. ○11~13kPa以下。大人は20kPa(150mmHg)以下。
d. ×抵抗を感じたら少し引き抜く。
e. ×安全性(肺容量の低下や酸素化低下)に関しては閉鎖式のほうが良い
テキスト:気管吸引
6) 移植患者の日和見感染症と診断・治療の組み合わせについて正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. ニューモシスチス肺炎 − ステロイド
b. サイトメガロウイルス感染症 − アシクロビル
c. ニューモシスチス肺炎 − β -Dグルカン
d. サイトメガロウイルス感染症− pp65アンチゲネミア検出
e. 移植後リンパ増殖性疾患− PCR法による血中アデノウイルスの測定
*PCR:Polymerase-chain-reaction
a. ○S/T合剤。中~重症ではステロイドも考慮
b. × CMV高力価γグロブリン、ガンシクロビル、ホスカルネット
c. ○
d. ○他にはPCR。
e. ×EBVのモニタリング
テキスト:P860.861
7) 成人に対する心臓血管外科周術期に使用する薬剤について正しいのはどれか。 3つ選びなさい。
a. 術直前のスタチンの導入はすべきではない。
b. 冠動脈バイパス手術後にアスピリンを開始する。
c. 既に内服しているβ遮断薬は手術12〜24時間前に中止する。
d. 心臓手術後で進行性の出血がなければHb 8g/dL 程度を維持する。
e. レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系拮抗薬は手術直前まで休薬しない。
a. ○
b. ○48時間以内には開始したい。
c. ×手術直前まで休薬しない。術後はなるべく早く再開。
d. ○
e. ×手術12~24時間前に中止する。血行動態が安定していれば翌朝から再開可能。
テキストP328-330
8) 24歳の女性。冬季の公園トイレ内で倒れているところを発見され救急搬送された。近くにはアルコール飲料の空き缶とベンゾジアゼピン系薬剤の包装が多数散乱していた。病院到着時,呼吸数6回/分,脈拍数26回/分・不整,収縮期血圧40 mmHg(触診法),腋窩温28.2℃であり,体幹部は冷たい。正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 肺水腫を伴う。
b. 気管挿管を行う。
c. 膀胱温を測定する。
d. 体外循環を考慮する。
e. 一時的ペーシングを考慮する。
a. ×
b. ○
c. ○
d. ○
e. ×高度な低体温症による徐脈では、ペーシングにより心室細動が惹起されやすく、TCP・TVPともに禁忌である。救急P195
テキスト:低体温症
9) 本邦ICUでの尿路感染症起炎菌で多いのはどれか。3つ選びなさい。
a. Escherichia coli
b. Enterococcus faecalis
c. Pseudomonas aeruginosa
d. Acinetobacter baumannii
e. Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
a. ○
b. ○
c. ○
d. ×
e. × テキスト:P661
10) けいれん性てんかん重積状態で正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 初期治療としてジアゼパム静脈内投与を行う。
b. 30分経過すると神経学的後遺症が発生する可能性がある。
c. ジアゼパム坐剤の直腸内投与では5分以内に効果が発現する。
d. 早期てんかん重積状態では初期治療により20分以内に発作が消失する。
e. 難治性てんかん重積状態に対する治療的昏睡導入ではケタミンが第一選択である。
a. ○
b. ○
c. ×15分以上要する
d. ○第二治療により20分から40分で頓挫するestablished SE。40分以上が経過して第三治療の適応となるrefractory status epilepticus。
e. ×第三治療でも頓挫しない場合(super RSE)、エビデンスがあるわけではないが吸入麻酔薬やケタミンが適応となる。
テキスト:P402-405
11) 75歳の男性。S状結腸憩室炎穿孔による汎発性腹膜炎から急性呼吸窮迫症候群となり,人工呼吸管理中である。フェンタニルとデクスメデトミジンが持続投与されているが,Richmond Agitation-Sedation Scale 0で意思疎通は可能である。看護師の評価ではCritical-Care Pain Observation Tool 4であった。酸素化の改善は不十分であるが,人工呼吸器との非同調はない。対応として正しいのはどれか。
a. 経過を観察する。
b. フェンタニルを増量する。
c. デクスメデトミジンを減量する。
d. デクスメデトミジンをミダゾラムに変更する。
e. デクスメデトミジンをプロポフォールに変更する。
a. ×
b. ○CPOTは4点で鎮痛に対する介入が必要。
c. ×
d. ×
e. ×
RASSは0で鎮静は良好。

12) 生後1か月の男児。左心低形成症候群に対してNorwood 術後にICU入室し,術後1日目である。深鎮静下に人工呼吸管理中だが,状態が悪化し,肺体血流比が低いと評価された。この時の管理として誤っているのはどれか。
a. 深鎮静を継続する。
b. FIO2を0.3から0.5に上げる。
c. 一酸化窒素吸入療法を開始する。
d. Blalock-Taussigシャントの血流を確認する。
e. PaCO2が50 mmHg になるように換気回数を減らす。
a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. ○肺血管抵抗を下げるには過換気にする。
テキストP827
13) 末期腎不全に多い症候・併存病態はどれか。
a. 低リン血症
b. 高カルシウム血症
c. 低マグネシウム血症
d. 非機能性副甲状腺のう胞
e. レストレスレッグ症候群
a. ×高リン
b. ×低カルシウム
c. ×腎不全にマグミットを漫然と投与してはいけない
d. ×特に記載なし。
e. ○
テキストP451の表は一度見ておきましょう
14) 2か月の男児。出生時より心室中隔欠損症,動脈管開存症と診断されていた。3日前から哺乳量低下, 発汗増加, 頻呼吸となり来院した。呼吸数54 回/ 分,脈拍数164 回/ 分,血圧76/44mmHg,SpO2 96%(room air)。胸部単純X線では心胸郭比67%,肺うっ血著明であり,聴診でLevineⅣ/Ⅵの収縮期雑音と湿性ラ音を聴取した。初期対応として行うのはどれか。2つ選びなさい。
a. 利尿薬投与
b. β遮断薬投与
c. 100%酸素投与
d. 非侵襲的陽圧人工呼吸
e. ニトログリセリン舌下投与
a. ○
b. ×
c. ×
d. ○
e. ×持続注射ならOK。
心不全。
Nohria-Stevenson分類でうっ血所見+末梢循環不全はなし→血管拡張+利尿薬。

15) 医療安全について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. エラーには機器やシステムの障害を含めない。
b. 医薬品に関する有害事象は医療事故の中で最も多い。
c. ヒヤリ・ハットはインシデントと同義で用いられる。
d. 医療行為や管理上の過失がない場合は医療事故ではない。
e. 患者影響度分類レベル3aの事象は調査後に公表などを判断する必要がある。
a. ×含む。P61
b. ○
c. ○P61
d. × P61
e. ×3b以上。P64表3
テキスト:安全管理/搬送
16) 75歳の男性。身長165 cm,体重50 kg(予測標準体重61 kg)。2日前から倦怠感を自覚し,本日呼吸困難のため救急搬送された。救急外来で気管挿管されたのちICUに入室。入室時身体所見:JCS 10,呼吸数30回/分,脈拍数120回/分,血圧75/60 mmHg,体温38.5℃,SpO2 94 % である。人工呼吸器設定:プレッシャーコントロール 25 cmH2O,吸気時間 1.5 秒,アシスト/コントロール 12回/分,PEEP 5cmH2O,FIO2 0.6 。動脈血ガス分析結果:pH7.20,P a C O2 70 mmHg,P a O2 70 mmHg,HCO3- 26 mmol/Lであった。以下に,人工呼吸器グラフィックモニターとカプノグラムを示す。ICU入室後の対応として正しいのはどれか。
図1 人工呼吸器グラフィックモニター

図2 カプノグラム

a. FIO2を上げる。
b. 吸気時間を延長する。
c. 呼気時間を延長する。
d. 最高気道内圧を下げる。
e. 重炭酸水素ナトリウムを投与する。
a. ×
b. ×
c. ○
d. ×
e. ×
呼気流量が0に戻っていないので、吐ききれていません。
呼気時間をしっかり確保しましょう。
17) 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 腹臥位療法は死亡率を増加させる。
b. ベルリン定義の重症度分類は死亡率と有意な相関がある。
c. 人工呼吸管理において⊿Pの上昇に伴い死亡リスクが増加する。
d. 急性間質性肺炎は病理学的にはDADの所見を呈するためARDSである。
e. PEEP≧5 cmH2OでPaO2/FIO2=150 mmHgはベルリン定義で重度である。
*⊿P:Driving Pressure
*DAD:Diffuse alveolar damage
a. ×改善させる
b. ○
c. ○
d. ×どちらもDADであるがIPはARDSと鑑別すべき類似疾患にふくまれる。
e. ×101~200は中等度
テキスト:呼吸不全
18) 糖尿病性ケトアシドーシスについて正しいのはどれか。
a. 消化器症状が出ることはない。
b. まず重炭酸イオンの投与を行う。
c. インスリンの相対的欠乏により発症する。
d. インスリン投与開始後1時間で血糖値の再測定を行う。
e. 高浸透圧高血糖状態はケトアシドーシスの有無で区別することが可能である。
a. ×出る
b. ×まず補液
c. ×絶対的欠乏
d. ○P559
e. ×完全に区別できるものではない。
テキスト:糖代謝異常
19) 腸管の免疫について誤っているのはどれか。
a. 腸管免疫はIgG が担う。
b. M細胞は腸管内腔の抗原を取り込む。
c. 腸管免疫の特徴として経口免疫寛容がある。
d. パイエル板は腸管免疫で重要な働きをもつ。
e. ヒトの免疫細胞の50%以上が腸管に存在する。
a. ○IgA
b. ×M細胞が取り込む→樹状細胞→ナイーブT細胞に抗原提示→ヘルパーT細胞がIL-4産生→ナイーブB細胞をIgA産生前駆B細胞へ分化させる。
c. ×
d. ×
e. ×
テキストP532,533
20) Clostridioides difficile(CD)感染症について正しいのはどれか。2 つ選びなさい。
a. CDトキシンA/Bの検出検査の感度は高い。
b. フィダキソマイシン治療後の再発率は低い。
c. 発症患者接触前後にはアルコールで手指消毒を行う。
d. 重症例における治療薬の第一選択はバンコマイシンである。
e. 臨床的疑いのない患者を含めたCD抗原のスクリーニングが重要である。
a. ×感度が低いためGDHを併用することが多い
b. ○
c. ×アルコール無効
d. ○
e. ×無症候性の保菌者も多くスクリーニングは推奨しない。
テキスト:P663-666
21) 54歳の男性。高血圧症に対して近医で投薬を受けている。独居で血縁の身寄りはなく,ふだんから面倒を見てもらっている仲のいい知人がいる。突然の右片麻痺とその後の意識障害で救急搬送された。来院時,意識レベルGCS E1V1M3,呼吸数19 回/ 分,脈拍数56 回/ 分,血圧220/92mmHg,SpO2 100%(マスク,5 L/分)であった。左共同偏視と右上下肢の弛緩性麻痺を認めた。頭部CTを施行したところ,左大脳半球に広範囲の脳内出血と脳室穿破所見を認めた。正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 治療の制限や撤退をしてはいけない。
b. わが国では事前指示書の所有率は20%以上である。
c. 緊急手術の方針は専門職種を含む医療チームで決定する。
d. 本患者においては事前指示書の有無を確認する必要はない。
e. 知人も治療方針に関する意思決定プロセスに参加することができる。
a. ×事前指示がある場合それに基づく。
b. ×人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書(厚労省)では5%に満たない
c. ○
d. ×事前指示がある場合それに基づく。
e. ○
救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言~
救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言~Q&A
人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書(厚労省)
22) カルバペネム系やセフェム系抗菌薬において最も重要な薬物動態パラメータはどれか。
a. ピーク濃度
b. 最小発育阻止濃度
c. ピーク濃度/最小発育阻止濃度
d. 曲線下面積/最小発育阻止濃度
e. 最小発育阻止濃度を超えた時間
a. ×
b. ×
c. ×アミノグリコシド系
d. ×グリコペプチド
e. ○βラクタム系
テキスト:P627
23) 38歳の男性。意識混濁,呼吸困難を主訴に救急搬送された。重症肺炎の診断で気管挿管されICUに入室した。入室時,脈拍数130回/分・整,血圧70/40 mmHg,体温38.5℃であった。輸液療法について正しいのはどれか。
a. 中心静脈圧を目安に迅速に輸液蘇生を開始する。
b. 輸液反応性を確認した後に膠質液30 mL/kgを急速投与する。
c. 受動的下肢挙上試験は輸液反応性の指標としての信頼度は低い。
d. 生理的食塩水を急速輸液する場合は高Cl性アシドーシスに留意する。
e. 循環動態評価と輸液療法の指標に肺動脈カテーテル留置が良い適応となる。
a. ×中心静脈圧は輸液蘇生の目安にならない。
b. ×晶質液。実際は急速投与しながら輸液反応性を見る。
c. ×高い。
d. ○
e. ×推奨しない
日本版敗血症診療ガイドライン2020
24) 輸血療法について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 輸血に伴う副作用のほとんどは非溶血性である。
b. 輸血後移植片対宿主病は輸血後1〜2週間で発症する。
c. 輸血関連循環過負荷は輸血関連急性肺傷害と鑑別が難しい。
d. 輸血関連急性肺傷害は輸血後12時間前後に発症する遅発性呼吸不全である。
e. 敗血症性ショックの初期蘇生ではHb 10 g/dL 未満で赤血球輸血が推奨されている。
a. ○アナフィラキシー等。
b. ○
c. ○
d. ×6時間以内
e. ×7未満で開始。
P879-882
25) 多臓器障害や臓器関連障害について正しいのはどれか。
a. 心腎症候群では早期の腎代替療法導入が強く推奨される。
b. 肺腎症候群の病態にはANCA関連血管炎が関与している頻度が高い。
c. 肝腎症候群の病態は全身の末梢血管拡張があり特に腎血管拡張がみられる。
d. SOFA スコアは呼吸,循環,中枢神経,腎臓,血液(凝固)の5つで構成される。
e. 敗血症診断基準Sepsis-3ではSOFAスコア3点以上の変化をもって臓器障害とする。
*ANCA :Anti-neutrophil cytoplasmic antibody
a. ×十分なエビデンスは得られていない
b. ○
c. ×腎血管は収縮する
d. ×肝臓も含め6つ
e. ×2点以上
テキスト:多臓器機能障害
26) 急性中毒について正しいのはどれか。
a. 三環系抗うつ薬はQRS 幅延長を来す。
b. 危険ドラッグの有害成分は高濃度のカフェインである。
c. 尿中乱用薬物検出キットではオピオイドの検出はできない。
d. コリン作動性トキシドロームでは皮膚,粘膜の壊死を認める。
e. 揮発性物質による中毒が疑われる場合は血清サンプルを用いる。
a. ○炭酸水素ナトリウムで治療
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×
テキストP764
27) インピーダンス法で記録した呼吸波形を示す。正しいのはどれか。3つ選びなさい。

a. Biot呼吸という。
b. 心不全時にみられる。
c. 健常人ではみられない。
d. 視床出血・脳室穿破患者でみられる。
e. 原因として低酸素血症による二酸化炭素換気応答の鋭敏化がある。
a. ×Biot呼吸はリズムと換気量に規則性が全くない呼吸のこと。図はcheyne-stokes呼吸。
b. ○
c. ×健常者でも高頻度にチェーン-ストークス呼吸を認めるという報告もみられ,高齢者で特にこの傾向が強い。
d. ○
e. ○
テキストP114
呼吸と循環 43巻5号 (1995年5月)特集pp.463-468 チェーン-ストークス呼吸チェーン-ストークス呼吸は治療を必要とするか
28) 米国心臓協会(AHA)心肺蘇生ガイドライン2015について正しいのはどれか。
a. 自己心拍再開後はPaCO2 を35 mmHg以下に保つ。
b. 心停止患者の気管挿管時には輪状軟骨圧迫を推奨する。
c. 心停止症例においては,バソプレシンの静脈内投与を行う。
d. 自己心拍再開後はSpO2 100%を目標に酸素濃度を調節する。
e. 自己心拍再開後の昏睡患者では32〜36℃で体温管理療法を行う。
a. ×35~45mmHg目標
b. ×推奨されなくなった
c. ×2015年の更新で削除された
d. ×92~98%目標
e. ○低体温~平穏療法
米国心臓協会(AHA)心肺蘇生ガイドライン2015
29) 高度低体温症について誤っているのはどれか。
a. 昏睡となる。
b. 瞳孔が散大する。
c. シバリングが多くなる。
d. Babinski 反射が消失する。
e. 代謝性アシドーシスとなる。
a. ×
b. ×
c. ○30℃を下回るとシバリングは少なくなる。
d. ×
e. ×
テキスト:低体温症
30) 脳死判定を行ったが移植に適さないとの理由により臓器が提供されないこととなった。死亡時刻として正しいのはどれか。
a. 心停止時
b. 人工呼吸中止時
c. 第1回目脳死判定終了時
d. 第2回目脳死判定終了時
e. 脳死とされうる状態と診断された時
a. ×
b. ×
c. ×
d. ○
e. ×
日本臓器移植ネットワーク
https://www.jotnw.or.jp/explanation/02/04/
31) 80歳の女性。身長145 cm,体重64 kg 。2週間前に左下腿開放骨折にて緊急手術(整復外固定術)が行われ,今回プレートにて内固定術が予定された。手術前,意識清明,呼吸数16回/分,脈拍数108回/分,単源性心室性期外収縮 頻度少,血圧148/85 mmHg,SpO2 92%(room air)。血液検査にてD-dimer 2.5μg/mL 。患側下肢の腫脹は認めない。前回の術後より未分画ヘパリンの持続投与が行われている。術前の対応について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 膝窩静脈に血栓を認めた場合は手術を延期する。
b. D-dimerが高値のため深部静脈血栓症と診断される。
c. 術前にCTアンギオグラフィーによる精査が必要である。
d. 膝窩静脈に血栓を認めた場合は下大静脈フィルター挿入を行う。
e. Wellsスコア簡易版では「肺塞栓の可能性あり」と診断される。
a. ×記載を見つけられず…
b. ×D-daimerは除外に。骨折の影響があるかも。
c. ○
d. ×適応は抗凝固療法が絶対禁忌のDVTを伴った肺血栓塞栓症。
e. ○

テキスト:P588
32) 妊産婦について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 脳卒中発症の危険性は妊娠後期が最も高い。
b. 周産期心筋症は分娩数ヶ月後にも発症する。
c. A群溶血性連鎖球菌感染の罹患率は非妊産婦に比べて高い。
d. 産科危機的出血の原因として分娩後の弛緩出血が最も多い。
e. 妊娠に伴う上気道浮腫は分娩後2日程度で妊娠前の状態に回復する。
a. ×産後6週以内が多い
b. ○妊娠最終月~分娩後5ヶ月以内に発症。心不全治療+抗凝固療法。時間経過で心機能は回復する。
c. ○20倍
d. ×羊水塞栓が最多
e. ×少なくとも2日では回復しない。 テキスト:妊産婦、適切なICU管理
33) 50歳の男性。仕事中に突然,胸痛を自覚し救急車で搬送された。来院時,意識清明,呼吸数20回/分, 脈拍数100回/分, 血圧( 右)120/80mmHg(左)160/90 mmHg,体温36.5℃,SpO296%(room air)である。胸部の聴診で心雑音なし,肺ラ音なし。心電図で異常を認めない。心エコー検査で少量の心嚢液を認める。本症例について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 造影CT 検査が有用である。
b. 緊急的な外科的治療が必要である。
c. 血圧管理に血管拡張薬は禁忌である。
d. D-dimerは特異度の高い検査である。
e. 一般の全身管理に加えて疼痛管理が重要である。
a. ○StanfordA型大動脈解離
b. ○
c. ×2020ガイドラインでは特に記載は見当たらず。MSDマニュアルに「大動脈解離における血圧管理では,血管拡張薬を使用すると反射性の交感神経緊張により大動脈のずり応力が増大することから,β遮断薬またはカルシウム拮抗薬との併用なしで血管拡張薬(例,ニトロプルシド)を使用してはならない。」との記載あり。救急P370にはβ遮断薬と併用して使うとの記載あり。少なくとも禁忌ではなさそう。
d. ×感度
e. ○降圧にも寄与
2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
救急P370
MSDマニュアル
34) 薬剤に特異的に結合する中和剤を有する経口抗凝固薬はどれか。
a. エドキサバン
b. ワルファリン
c. ダビガトラン
d. アピキサバン
e. リバーロキサバン
35) 45歳の女性。1週間前から体調不良,前日より腹痛,下痢を訴え,意識障害を認めたため近医を受診し,高血糖にて救急搬送された。病院到着時,JCS 200, 脈拍数112回/分, 血圧106/79mmHg 。動脈血ガス分析:pH 6.948,PaCO2 6.1mmHg,PaO2 145 mmHg,HCO3− 1.3 mmol/L,BE − 34 mmol/L,Hb 16.7 g/dL,Na 141 mEq/L,K 4.7 mEq/L,Cl 109 mEq/L,血糖値 1,227mg/dL,乳酸値 2.2 mmol/Lであった。正しいのはどれか。
a. 腎代替療法の適応である。
b. Anion gapは31.7である。
c. 呼気のアセトン臭を認める。
d. 治療による血糖値低下で脳浮腫を認める。
e. 0.8単位/体重(kg)のレギュラーインスリンを静脈内投与する。
a. ×アシデミアの補正に…ということ?適応ではない。
b. ×AG=Na-CL-HCO3-=141-109-1.3=30.7
c. ○
d. ×補液に関しては24hあたり4L/m2では起こらない。
e. ×0.1U/kg
テキスト:糖代謝異常
36) 持続炎症免疫抑制異化症候群の定義に含まれるものはどれか。2つ選びなさい。
a. ICU滞在> 7日
b. WBC < 1,500 /μL
c. CRP> 2.5 mg/dL
d. 総リンパ球数<800 /μL
e. 入院期間中の体重減少>10%
a. ×
b. ×
c. ×
d. ○
e. ○
持続免疫抑制異化症候群(persistent inflammation immunosuppression and catabolism syndrome:PICS)です。

テキストP41表1
37) 腎臓の内分泌について正しいのはどれか。
a. レニンは腎臓の間質細胞で産生される。
b. 慢性腎臓病ではビタミンD産生が障害される。
c. エリスロポエチンは傍糸球体細胞で産生される。
d. 心房性Na利尿ペプチドはアルドステロン分泌を抑制する。
e. アンジオテンシン変換酵素はアンジオテンシノゲンをアンジオテンシンⅠに変換する。
a. ×レニンは輸入細動脈に局在する平滑筋細胞の一部である傍糸球体細胞で産生される。Clイオン濃度や輸入細動脈圧に反応する。
b. ×活性化が障害される
c. ×間質細胞。EPO投与から貧血の改善までは数週間かかる。
d. ○
e. ×レニンが変換。アンジオテンシン変換酵素はアンジオテンシンⅠをⅡに変換する。 テキストP434~436
38) 60歳の男性。既往歴:高血圧。自殺企図にてβ遮断薬を致死量服用,2 時間後来院した。来院時,意識清明,呼吸数14回/分,脈拍数38回/分・整,血圧120/60 mmHg,SpO2 99%(リザーバマスク,10 L/ 分)であった。行うべき処置はどれか。2つ選びなさい。
a. 催吐
b. 血液透析
c. 心臓ペーシング
d. カルシウム投与
e. グルカゴン投与
a. ×
b. ×
c. ○
d. ×
e. ○
薬物中毒の徐脈に対しイソブロテレノールは低血圧や心室性不整脈の危険性があるため使用されないが、βブロッカーに対しては使用可。
テキストP750
39) Rapid response system(RRS)について誤っているのはどれか。
a. 救急外来患者に対する迅速対応システムのことである。
b. 起動基準には主観的・客観的基準のどちらも取り入れることが多い。
c. 起動,対応,システム改善,指揮調整の4つの要素で構成されている。
d. Response teamは現場で初期診断,治療介入,移送の決定などを行う。
e. Modified Early Warning Scoreは呼吸数,心拍数,収縮期血圧,意識状態,体温,第六感のスコアを合計して求める。
a. ○
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×
院内の急変リスクの高い患者を早期に拾うシステムです。
40) 血液浄化療法の適応となる中毒物質はどれか。3つ選びなさい。
a. リチウム
b. メタノール
c. ジゴキシン
d. 三環系抗うつ薬
e. アセトアミノフェン
41) 中毒起因物質に対する安全確保について正しいのはどれか。
a. 気道確保後,除染を行う。
b. 除染において最初に水除染を行う。
c. Level Aの呼吸防護具は自給式呼吸器を装備している。
d. ホットゾーンはウォームゾーンを取り囲むように設置する。
e. Level Cのpersonal protective equipment として外科用手袋を使用する。
a. ×まず除染
b. ×最初は乾的除染(脱衣)
c. ○
d. ×コールドゾーンはウォームゾーンを、ウォームゾーンはホットゾーンを取り囲むように設置する
e. ×化学剤耐性の手袋であり、外科用手袋とは異なる
テキストP750~
42) 播種性血管内凝固症候群について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 原因となる基礎疾患の治療が優先される。
b. 血小板輸血は血小板数5万/μL以下で投与する。
c. 治療として低分子ヘパリンが強く推奨されている。
d. 本邦の診断基準には血小板数,FDP値,PT値は必ず含まれる。
e. 病態として凝固亢進状態があり線溶能により病型が分類される。
a. ○
b. ×1万以下 or 出血のリスクがある2万以下 or 活動性の出血や侵襲的な処理をする場合で5万以下なら輸血
c. ×
d. ○
e. ○
テキスト:播種性血管内凝固症候群
43) 肝不全について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. アンモニア濃度は昏睡度と相関を示す。
b. CRPが低値でも感染症を否定することはできない。
c. 肝性昏睡の治療法として血漿交換を第一選択とする。
d. 劇症肝炎の救命率はそれ以外の急性肝不全よりも高い。
e. アルコール性肝炎は急性増悪の場合のみ人工肝補助療法は保険適応である。
a. ×
b. ○
c. ×BCAA投与や原因除去
d. ○
e. ×
テキスト:肝不全(基礎)
肝障害や肝不全の定義がわかり難かったので図にしてみました。
あってますか…?

44) PICUについて正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 集中治療専門医だけで診療を行う。
b. 早産児の未熟性に起因する病態を管理する。
c. 特定小児集中治療室管理料は最長35日まで算定できる。
d. 全ての施設が特定小児集中治療室管理料を算定している。
e. 特定小児集中治療室管理料を算定するには他施設からの重篤な小児救急患者の転院受け入れが一定数以上必要である。
a. ×心外を始め複数科で行う
b. ×NICU
c. ○
d. ×
e. ○
テキスト:小児集中治療
45) 急性肝不全について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 栄養管理にはアミノ酸を多く投与する。
b. 肝性昏睡に対しては血液浄化療法で対処する。
c. 免疫抑制薬がステロイドよりも多く使用されている。
d. 肝移植の禁忌として薬物依存による急性肝不全が含まれる。
e. 肝炎による急性肝不全では急性型が亜急性型より死亡率は高い。
a. ×利用障害が起きている。肝機能が廃絶している場合には特殊組成アミノ酸自体が禁忌。
b. ○
c. ×
d. ○不可逆性脳障害、低酸素血症、多臓器不全、広範囲の腸間膜静脈血栓、アルコール・薬物依存、肝機能が改善
e. ×死亡率はLOHF>亜急性型>急性型
テキスト:急性肝不全
46) 腎移植後に起こる状態と原因の組み合わせで誤っているのはどれか。
a. 可逆性後白質脳症 - タクロリムス
b. 乏尿 - シクロスポリン
c. 白血球増加 - ミコフェノール酸
d. 肺炎 - ニューモシスチス感染症
e. 便潜血 - サイトメガロウイルス感染症
47) 各種感染病原体と最適治療に用いる薬剤の組み合わせで誤っているのはどれか。
a. Stenotrophomonas maltophilia- ST合剤
b. Enterococcus faecalis - アンピシリン
c. Candida krusei - ミカファンギン
d. Bacteroides fragillis -メトロニダゾール
e. Acinetobacter baumannii- セフトリアキソン
a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. ○抗緑膿菌活性が必要
48) ICUの体制について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. Closed ICUはopen ICUに比べてICU在室時間が長い。
b. 本邦の公的な大病院のICUベッド数は総ベッド数の約5%である。
c. ICU入室の優先度として担癌患者の臓器不全は最も高い群に入る。
d. 集中治療専門医は重症患者の治療以外にもICU の管理運営に関する責任がある。
e. Open ICUをclosed ICU体制に変えるとICU患者の入室時の重症度は高くなる。
a. ×短い
b. ×1-2%
c. ×優先度4にあたる(テキストP24表4)
d. ○
e. ○
テキスト:集中治療/集中治療医学
49) 68歳の男性。食道癌手術後にICUに入室し人工呼吸管理中である。急性腎傷害を合併している。ミダゾラムとフェンタニルの持続投与を受けている。表情は硬く,手指を完全に曲げている。人工呼吸器の気道内高圧アラームが鳴っている。呼びかけにより体動するが,アイコンタクトはできない。正しいのはどれか。
a. ミダゾラムを増量する。
b. フェンタニルを減量する。
c. フェンタニルをモルヒネに変更する。
d. Behavioral Pain Scaleは3点である。
e. Richmond Agitation-Sedation Scaleは−3である。
a. ×RASS-3程度、増量は不要
b. ×鎮痛薬は増やしたい
c. ×変更の意義は特にない
d. ×BPSは9点
e. ○


50) 経鼻高流量酸素療法について誤っているのはどれか。
a. 呼吸仕事量を軽減させる。
b. 上気道の洗い出し効果により死腔換気を減らす。
c. 流量を上げれば開口時にもPEEP 効果が期待できる。
d. 急性呼吸不全に対して通常の酸素療法よりも挿管を回避できる。
e. 抜管後に使用した場合の再挿管率は非侵襲的陽圧換気法と同等である。
a. ×
b. ×
c. ○閉口が必要
d. ×
e. ×
51) 院内感染予防について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 膀胱留置カテーテルは不要となれば速やかに抜去する。
b. CRBSIは動脈カテーテルより中心静脈カテーテルが少ない。
c. CRBSI予防のために皮膚消毒薬としてはポビドンヨードが最も推奨される。
d. 人工呼吸器関連肺炎予防のために人工呼吸器回路を頻回に交換することが推奨される。
e. 手術部位感染予防の抗菌薬は,皮膚切開時に組織中で殺菌可能な濃度となるタイミングで投与する。
* CRBSI:Catheter-related blood stream infection
52) 気道管理について正しいのはどれか。
a. 気管チューブは定期的に交換する。
b. カフ付き気管チューブは小児に使用しない。
c. 成人の気管チューブカフ圧は50 cmH2O に設定する。
d. カフ上部吸引は人工呼吸器関連肺炎予防効果を有する。
e. 口蓋垂の視認ができない時はMallampati 分類classⅡに相当する。
a. ×
b. ×
c. ×30程度
d. ○
e. ×Ⅳ

53) プロポフォールインフュージョン症候群にみられない所見はどれか。
a. 横紋筋融解症
b. 高カリウム血症
c. 代謝性アルカローシス
d. 高トリグリセリド血症
e. カテコラミン抵抗性低血圧
a. ×
b. ×
c. ○乳酸アシドーシス
d. ×
e. ×
日本集中治療医学会雑誌2016年23巻6号p. 647-650
大血管手術後にプロポフォール注入症候群による横紋筋融解を発症したと考えられる一症例
54) 人工呼吸について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 経肺圧は肺胞隔壁に加わるストレスを示す。
b. 圧補助換気法は人工呼吸離脱時に適応がない。
c. 高頻度振動換気は成人の急性呼吸不全に有用である。
d. 非侵襲的陽圧換気は急性心原性肺水腫の生命予後を改善する。
e. 肺保護戦略による呼吸性アシドーシスはpH7.15まで許容できる。
55) 56歳の女性。右中大脳動脈の破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血(Hunt and Hess GradeⅢ)に対してコイル塞栓による再出血防止処置を行った。遅発性脳虚血予防として正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 高血糖を許容する。
b. ファスジルの投与を行う。
c. 循環血液量を正常に保つ。
d. 低ナトリウム血症を許容する。
e. 血清蛋白濃度を正常範囲に保つ。
a. ×高血糖はSAHの転帰悪化との記載はあるが攣縮に関しては特に記載なし
b. ○オザグレルナトリウムと共に強く勧められている
c. ○
d. ×低Naには介入が必要
e. ○
遅発性脳虚血=遅発性脳血管攣縮。
テキストP382
56) 生後6か月の乳児が頭部外傷でICUに入室した。痛み刺激で目を開け弱々しく啼泣したが,四肢は異常屈曲したままだった。GCSとして適切なのはどれか。
a. E3V3M3
b. E2V2M2
c. E3V3M4
d. E2V3M3
e. E2V4M3
a. ×
b. ×
c. ×
d. ○
e. ×

57) 42歳の男性。拡張型心筋症に伴う慢性心不全の診断で外来通院中。数日前から食思不振あり,本日朝から傾眠傾向とのことで救急車にて搬送された。意識レベルJCS 20,呼吸数18回/分,脈拍数116回/分, 血圧78/58 mmHg, 体温36.3℃,SpO2 94%(room air)であった。頸静脈怒張あり。胸部ラ音なく,心尖部に収縮期雑音を聴取する。下腿浮腫あり,四肢冷感認める。胸部単純X線を示す。まず開始すべき薬物はどれか。

a. ドパミン
b. ドブタミン
c. フロセミド
d. カルペリチド
e. ニトログリセリン
a. ×
b. ○
c. ×
d. ×
e. ×
ショックバイタル、まずは循環を立て直す
58) 体温の測定と評価について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 膀胱温は尿量により変動する。
b. 敗血症患者では体温が高いと死亡率が上昇する。
c. 好中球減少症患者では直腸温プローブを留置する。
d. 食道温プローブの先端は食道下部1/3に位置させる。
e. 赤外線式鼓膜温測定は直腸温プローブよりも精度が低い。
a. ×変動しない
b. ×低いと死亡率が高くなる
c. ×必須ではない
d. ○
e. ○深部体温にはかなわない
59) 86歳の男性。開心術が施行され,術後ICUに入室している。手術翌日に人工呼吸器から離脱した。昨夜は不眠を訴えていた。夕食後より落ち着かない様子であり,看護スタッフの指示に従うことができなくなっている。せん妄について正しいのはどれか。
a. 喫煙はリスク因子である。
b. 高齢はリスク因子でない。
c. ベンゾジアゼピンの経口投与が第一選択となる。
d. 時計やカレンダーを設置すれば効果は期待できる。
e. クエチアピン投与により症状発現期間を短縮できない。
a. ×
b. ×
c. ×エビデンスは微妙だが、しいて言うならハロペリドール
d. ○
e. ×「せん妄期間の短縮などの効果を認め、」P415
テキスト:せん妄
60) 1歳6か月の女児。既往歴なし。昨日から39℃の発熱があり嘔吐が数回あった。経口摂取不良で今日になってぐったりしてきたため来院した。体重10 kg,痛み刺激で開眼,呼吸数40回/分,脈拍数184回/分, 血圧78/42 mmHg, 体温38.4℃,SpO2 98%(room air)である。呼吸音は正常で心雑音は聴取しない。手足は冷たくcapillary refill timeは4秒である。初期対応として正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 血糖値を測定する。
b. 輸液は維持量とする。
c. 人工呼吸管理を行う。
d. 輸液製剤を加温する。
e. 輸液不応性であればカテコラミン投与を開始する。
a. ○
b. ×
c. ×
d. ○
e. ○
感染契機のDKA?髄膜炎等による敗血症性ショック?
いずれにしても輸液負荷は必要。ショックバイタルだが即時挿管は不要?
61) 栄養療法について誤っているのはどれか。
a. NUTRIC scoreには栄養の項目は含まれていない。
b. 投与エネルギーの目標は25〜30 kcal/kg/day である。
c. 生体侵襲早期には目標投与エネルギーより少なめから開始する。
d. プレ/プロ/シンバイオテックス製剤は重症急性膵炎に有用である。
e. 大規模研究では経腸栄養の経静脈栄養に対する優位性は示されていない。
* NUTRIC score:The Nutrition Risk in the Critically Ill score
62) 消化管の解剖・機能について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 1日200 mLの胆汁が産生され消化管へ流入する。
b. 1日7,000 mL の消化液が産生され消化管へ流入する。
c. 小腸粘膜上皮細胞のエネルギー基質はグルタミンである。
d. 上腸間膜動脈の大腸支配領域は盲腸からS状結腸までである。
e. ソマトスタチンはガストリンの分泌を低下させ胃酸分泌を抑制する。
a. ×1000ml P531
b. ○P531
c. ○P529
d. ×盲腸、上行結腸、横行結腸P528
e. ○P529
テキスト:P528~P531
63) 82歳の男性。5日前にイレウスから誤嚥性肺炎を発症し,ICUで人工呼吸管理中であった。第6病日に突然脳梗塞を発症した。血小板数は2.8万/μLまで低下したが,フィブリノゲン250 mg/dL,FDP 20μg/mL,PT-INR 1.02であった。正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 血小板を輸血する。
b. 新鮮凍結血漿を投与する。
c. トロンボモジュリンを投与する。
d. ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体を測定する。
e. 動脈ラインに使用する抗凝固薬をアルガトロバンにする。
a. ×
b. ×
c. ×
d. ○
e. ○
HIT疑いの症例。臨床的にはヘパリン開始後約5-14日で,DICなど明確に説明できる状況がないにもかかわらず血小板減少が進行する場合に疑う。FDP上昇なし、フィブリノゲン低下なし、PT延長なしからもDICは否定的。
64) レシピエントの周術期管理について正しいのはどれか。
a. カルシニューリン阻害薬は腎毒性がほとんどない。
b. サイトメガロウイルス感染は移植直後に最も頻度が高い。
c. 急性期拒絶反応は移植から移植後48時間以内に発症するものをいう。
d. 移植片対宿主病はドナーリンパ球がレシピエント臓器を攻撃することで起こる。
e. 移植前のスクリーニングにおいてヒト白血球抗原は移植片の拒絶には関係ない。
a. ×腎障害、DM、脂質異常症、高血圧症。トラフ測定要。痙攣や意識障害もあるがこれは血中濃度と相関しない。P856
b. ×日和見感染は通常移植後1~6ヶ月で起こる。P860
c. ×超急性期拒絶反応のこと。治療は移植片除去のみ。
促進型急性期拒絶反応は1週間以内に生じる。治療はステロイドパルスや抗リンパ球製剤、血漿交換。
急性期拒絶反応は1週間から2ヶ月におこるもの。拒絶反応の1/2程度。治療はステロイドパルスやAGL。
慢性期拒絶反応は数か月から数年で生じる移植片の機能不全。数週間で生じることもある。T細胞関連拒絶反応であればステロイドパルス→サイログロブリン。急性抗体関連型拒絶反応の場合はリツキシマブ、血漿交換、ガンマグロブリン大量療法。P858,859
d. ○P854
e. ×臓器移植の組織適合性は赤血球の型(ABO)と、MHC、HLA抗原(ヒト白血球抗原)である。P854
65) 夜間にICUで勤務中に震度6弱の地震が発生した。電気,ガス,水道は止まっていない。唯一勤務していた集中治療医としての役割で,正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 今後ICUに入室可能な患者数を把握する。
b. 重症患者把握のため災害現場に行く準備をする。
c. ICUに入室している患者の状態を把握し適切な処置を行う。
d. 救急でのトリアージに参加し重症患者をICUに入室させる。
e. 死亡率の高い予後不良の原疾患を有する患者であってもICUに入室させる。
a. ○
b. ×唯一勤務してるのでICUを守りましょう
c. ○
d. ×唯一勤務してるのでICUを守りましょう
e. ×優先順位4です
66) 単心室型循環における並列循環の管理について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. SaO2が一定なら肺体血流比は一定である。
b. 肺血管抵抗を低く維持するため無気肺を避ける。
c. SaO2低下の原因の一つに体静脈血の酸素飽和度低下がある。
d. 窒素を混入した低酸素濃度ガスの吸入治療により肺血流は増加する。
e. 肺体血流のバランス調節には体血管抵抗ではなく肺血管抵抗を調節する。
a. ×PaO2で評価が望ましいということ?肺の酸素化が悪くなっても肺血流が増えてマスクされる可能性があるということ?
b. ○
c. ○
d. ×肺血管抵抗は上がり血流は低下
e. ×①体血管抵抗低下②適切な前負荷・新収縮力維持③肺血流過剰であれば低酸素濃度吸入や外科的介入。P826
67) 汚染とそれに対する対応の組み合わせで誤っているのはどれか。
a. 肉眼的汚染 - 乾的除染を行う。
b. ウォームゾーン- トリアージや除染を行う。
c. コールドゾーン- 汚染したものは持ち込まない。
d. 神経ガス - Level A化学防護服を使用する。
e. 有機リン - Level C化学防護服を使用する。
68) 妊産婦について正しいのはどれか。
a. 妊娠24〜32週では平均血圧は低下する。
b. 羊水塞栓症は分娩前から分娩中にのみ発症する。
c. 産科危機的出血はショックインデックス1.1以上で宣言する。
d. 妊婦の心肺蘇生でも胸骨圧迫の手の位置は通常と同じ位置である。
e. 妊娠34週以前に発症する妊娠高血圧腎症は母体要因の関与が大きい。
a. ○
b. ×分娩後も起こるP805表3
c. ×1.5以上 P797図3
d. ×妊娠子宮によって横隔膜は押し上げられ胸腔や心臓も頭側に偏位している。胸骨圧迫の位置は一般成人よりやや頭側の胸骨中央。深さは一般成人同様5cm以上。
e. ×胎盤や遺伝的要因が関与し重症化しやすい。P803
妊産婦における心肺蘇生法の啓発、日本臨床麻酔学会誌、Vol.32 No.7、858~865、2012
69) 熱中症について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 非労作性熱中症は男性に多い。
b. 死亡例は入院3日目以降に多い。
c. 体表冷却によって急速に37℃以下に低下させる。
d. JCS 2以上は日本救急医学会熱中症分類Ⅲ度である。
e. 高齢者における発症病態として血管内容量と心機能の低下が関連している。
a. ×男女差なし。P779表1
b. ×入院2日目までに集中している。P782
c. ×39度まで。あとは室温で下がるのをまつ。P781
d. ○
e. ○P779
テキスト:高体温症

70) 米国心臓協会(AHA)心肺蘇生ガイドライン2015について正しいのはどれか。
a. 小児のアルゴリズムが適応されるのは1〜15歳である。
b. 高度な気道確保を行った後は5 cmH2O以上のPEEP をかける。
c. 小児・乳児の胸骨圧迫の深さは胸郭前後径の少なくとも1/3とする。
d. 院内心停止で推奨される救命の連鎖の第一は救急対応システムへの出動要請である。
e. 小児の胸骨圧迫時,胸郭のリコイルが認められる場合は130回/分以上のテンポとする。
a. ×8歳程度まで
b. ×5cmH2Oをこえない程度のPEEP
c. ○
d. ×第一は監視および予防。
e. ×100~120回
AHA ガイドライン2015
71) 68歳の女性。日常生活動作は良好。関節リウマチのため,プレドニゾロン,メトトレキサート,インフリキシマブを内服中。3日前より息切れを自覚するようになり,本日,意識障害も伴うようになったため救急要請した。病院到着時,意識レベルGCS E3V3M5,呼吸数40回/分,脈拍数126回/分・整,血圧136/84 mmHg,SpO268%(リザーバマスク10 L/分)であった。頭部CTに著変なし。胸部CTで両肺にびまん性スリガラス陰影を認めた。心エコーで明らかな心機能異常や水分過剰を認めない。正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. quick SOFA は2点である。
b. 体外式膜型人工肺は適応にならない。
c. 急性呼吸窮迫症候群のベルリン定義を満たす。
d. 急性期は人工呼吸管理・浅鎮静が第一選択である。
e. 原疾患としてニューモシスチス肺炎の鑑別が重要である。
a. ○GCSと呼吸数。
b. ×良い適応
c. ×PEEP≧5cmH2Oでの評価が必要
d. ×
e. ○PLS内服歴あり。バクタ予防投与の記載なし
余談ですがCTですりガラス影っていうんですか?浸潤影では…
テキスト:呼吸不全
72) 画像診断について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. CTの被曝線量は単純X線の数倍となる。
b. 仰臥位胸部X線において肺血管陰影は上肺野で増強される。
c. 気胸の検出には仰臥位胸部X線より超音波の方が感度が高い。
d. 造影剤の軽症急性副作用にはアドレナリン筋肉内投与は禁忌である。
e. ガドリニウム造影剤による腎性全身性線維症の治療は大量輸液である。
a. ×数十倍。P911
b. ○
c. ○
d. ×禁忌ではない?
e. ×治療法に確立されたものはない
テキスト:ICUにおける画像診断
73) 68歳の男性。慢性閉塞性肺疾患の既往あり。肺炎による急性呼吸不全のためICUに入室した。入室時,意識レベルJCS 3,呼吸数32回/分,脈拍数110回/分・整,血圧142/78 mmHg,動脈血ガス分析( リザーバマスク,8 L/分):pH7.34,P a C O2 68 mm Hg,P a O2 72 mm Hg,HCO3− 21 mmol/Lであった。気管挿管の上,従圧式強制換気で人工呼吸を開始した。その時の気道内圧曲線・流速曲線を示す。正しいのはどれか。2つ選びなさい。

a. 自動トリガーが認められる。
b. 回路リークの可能性がある。
c. 内因性PEEP が原因となりうる。
d. トリガー感度の調整が必要である。
e. 吸気時間設定の延長が必要である。
a. ×ミストリガー
b. ×
c. ○
d. ○
e. ×呼気時間の延長
呼気時間が足りず、AutoPEEP→ミストリガーとなっている症例。
74) 頭蓋内圧亢進時の基本対応に含まれないのはどれか。
a. 頭位挙上
b. 血糖調節
c. 低体温療法
d. 適切な鎮痛
e. 頭部CT検査
a. ×
b. ×
c. ○高体温の回避
d. ×
e. ×
JATEC第5版
75) 気管支肺胞洗浄液(BAL)について正しいのはどれか。2つ選びなさい
a. 施行者は必ず標準予防策を講じる。
b. BALの吸引回収率は10%以上で十分である。
c. BALの定量培養のカットオフ値は102〜103cfu/mL である。
d. 人工呼吸器関連肺炎の診断には気管吸引定量培養が推奨される。
e. Mini-BAL はカテーテルを下気道で楔入させ生理食塩水50 mL を注入する。
a. ○
b. ×30%以上であるべき。P211
c. ×104~105
d. ×非侵襲的な気管内吸引の半定量的培養が推奨。P213
e. ○
テキスト:気管支内視鏡
76) 低ナトリウム血症について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 細胞外液減少,尿中Na 高値 − 熱傷
b. 細胞外液正常,尿浸透圧高値 − SIADH
c. 細胞外液過剰,尿中Na 低値 − 腎性腎不全
d. 偽性低Na 血症 − 中性脂肪高値
e. 高張性低Na 血症 − ヒドロキシエチルスターチ
* SIADH:Syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone
a. ×腎外性喪失は尿Na低値
b. ○
c. ×腎不全は尿中Na高値
d. ○他にパラプロテイン血症
e. ×高張性低Na血症は高血糖・マンニトール・グリセオール
P889

77) 輸液反応性の評価について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 静的指標と動的指標に分類される。
b. 中心静脈圧を用いた評価の信頼性は高い。
c. 下大静脈径の絶対値を用いた評価の信頼性は高い。
d. 心エコー検査による1回拍出量の測定は有用である。
e. 調節人工呼吸患者において脈圧の呼吸性変動を用いた評価の信頼性は高い。
a. ○静的指標の信頼性は低い
b. ×静的指標
c. ×静的指標
d. ○
e. ○
テキスト:輸液
78) 50歳の女性。交通外傷にて救急隊到着時,橈骨動脈拍動微弱,不穏状態であった。来院時,気道は開通し,右呼吸音やや減弱。呼吸数40回/分,脈拍数146回/分, 血圧70/53 mmHg,SpO286 %( リザーバマスク,10 L/分)であった。FASTにて腹腔内出血が疑われた。両上肢に末梢静脈路確保し,急速輸液を1 L 行った結果,意識レベルGCS E2V3M5,血圧100/58 mmHg であった。単純X線では右全肺野にスリガラス状陰影が認められたが,骨盤には異常所見が認められなかった。本症例の診断・治療方針について正しいのはどれか。
* FAST:Focused Assessment with Sonography for Trauma
a. 直ちに手術室へ移動して開腹術を行う。
b. Primary survey において気管挿管を行う。
c. Primary survey において胸腔ドレナージを行う。
d. 直ちに血管造影室へ移動して経皮的血管塞栓術を行う。
e. Secondary survey が終わるまで輸血の準備は行わない。
79) 散瞳が特徴的な中毒の原因物質はどれか。
a. 有機リン
b. エタノール
c. バルビツール
d. アンフェタミン
e. フェノチアジン
a. ×縮瞳
b. ×
c. ×
d. ○
e. ×
テキスト:P744,(P750の作用機序の為の分類も目を通しておく)
80) 胸水管理について正しいのはどれか。
a. 胸腔穿刺はエコーガイド下に行う。
b. 胸腔ドレナージは1回で2 Lまでに留める。
c. 結核性胸膜炎による胸水の分画は好中球優位である。
d. 肺炎随伴性胸水でpH<7.3の場合はドレナージの適応である。
e. 血清アルブミン−胸水アルブミン≦1.2 g/dLの場合,漏出性胸水が考えられる。
81) 77歳の男性。僧帽弁置換術後ICUに入室した。術前のCrは1.15 mg/dLであった。人工呼吸を継続したが,翌日朝の検査でCrが2.51 mg/dL と上昇した。12時間尿量はフロセミド持続投与にて0.7mL/kg/時である。Kidney Disease Improving Global Outcomes診断基準で急性腎傷害のstageはどれか。
a. stage 0
b. stage 1
c. stage 2
d. stage 3
e. stage 4
a. ×
b. ×
c. ○
d. ×
e. ×

82) 小児の心臓外科術後におけるjunctional ectopictachycardiaについて正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 数時間で自然軽快する。
b. アミオダロンは無効である。
c. 心房心電図が診断に有用である。
d. 治療の一環として体温制御がある。
e. 房室結節近傍での手技がある術後に多く見られる。
a. ×3-10日で自然軽快する。
b. ×アミオダロンやニフェカラント、ランジオロールも有効。
c. ○心房リードでPがQRSに先行しないときに疑う。
d. ○K、Mgの電解質補正、深鎮静を行い心拍数を下げる。
e. ○
テキスト:P336
83) 「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律」の記述で正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 1歳未満の脳死判定は除外とする。
b. 親族間の移植を優先することはない。
c. 「臓器」とは全身すべての臓器をさす。
d. 6歳未満で直腸温が35℃未満の場合脳死判定から除外する。
e. 脳死判定・臓器摘出要件として本人の意思が不明の場合でも家族の承諾で可能である。
a. ×生後12週未満
b. ×15歳以上の提供希望者が生前に書面で意思表示していればOK
c. ×心臓、肺、肝臓、腎臓、眼球、膵臓、小腸
d. ○6歳以上では32度未満。
e. ○
テキスト:臓器移植法
84) 74歳の男性。既往歴に特記すべきことはない。直腸癌術後縫合不全の緊急手術前に気管挿管されICU入室となった。脈拍数128回/分・整,血圧78/30 mmHg,SpO2 98%(FIO2 0.4,PEEP 8cmH2O),動脈血乳酸値8 mmol/L であった。循環管理のためにまず行う処置はどれか。2つ選びなさい。
a. ドパミン持続静注
b. ドブタミン持続静注
c. ノルアドレナリン持続静注
d. 人工膠質液30 mL/kg 急速投与
e. 細胞外液補充液 30 mL/kg 急速投与
a. ×
b. ×
c. ○
d. ×
e. ○
敗血症性ショック
85) 59歳の男性。自室で倒れているのを発見され,救急要請された。救急隊到着時,JCS 200,脈拍数80回/分,血圧207/110 mmHg,SpO2 92%(room air),左共同偏視,右片麻痺をみとめた。来院直後の頭部CTは以下の通りで,緊急開頭血腫除去を行う方針で,いったんICUへ入室した。入室時,GCS E1VTM3,呼吸数12回/分,血圧160/90 mmHg,瞳孔の左右差がみられてきた。次のうち,適切でない処置はどれか。
a. 30度の頭位挙上を行う。
b. ループ利尿薬を静脈内投与する。
c. PaCO2 35 mmHg 前後に維持する。
d. プロポフォールの持続静注を行う。
e. 高張グリセロールの急速点滴を行う。
a. ×
b. ○
c. ×
d. ×
e. ×
テキスト:脳浮腫
86) 中〜重症の急性呼吸窮迫症候群の早期より筋弛緩薬を使用するかどうかでランダム化比較試験を行ったROSE trial(N Engl J Med 2019;380:1997-2008)について正しいのはどれか。
a. 鎮静レベルは差がなかった。
b. 90日死亡率は筋弛緩薬群で低かった。
c. Driving pressureは筋弛緩薬群で低かった。
d. 重篤な循環器系合併症はコントロール群で多かった。
e. 24時間以内の分時換気量は筋弛緩薬群で少なかった。
a. ×介入群(筋弛緩群)が深鎮静
b. ×有意差なし
c. ×介入群で高い
d. ×介入群で多い
e. ○
(N Engl J Med 2019;380:1997-2008)
87) quick SOFA の基準として適切なのはどれか。2つ選びなさい。
a. 意識の変容
b. 呼吸数≧ 20回/分
c. 尿量≦ 50 mL/時間
d. 脈拍数≧ 100回/分
e. 収縮期血圧≦100 mmHg
88) 腎臓の機能について誤っているのはどれか。
a. K+の90〜95%が近位尿細管で再吸収される。
b. HCO3-は近位尿細管においてNa+と共に再吸収される。
c. 正常な腎臓では糸球体濾過により100 mL/分の原尿が生じる。
d. レニンは遠位尿細管を流れる原尿のNa+を感知して分泌される。
e. Na調節機構にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が関与している。
a. ×
b. ×
c. ×
d. ○Cl濃度
e. ×
テキスト:腎・基礎
89) 成人においてArtzの基準により熱傷専門施設で治療すべき病態はどれか。2つ選びなさい。
a. 気道熱傷
b. 会陰部の熱傷
c. 右上腕のⅡ度熱傷
d. 左背部のⅡ度熱傷
e. 糖尿病を有する上腹部前面Ⅱ度熱傷
a. ○
b. ○
c. ×
d. ×
e. ×

90) 開眼・発語・痛み刺激に対する反応のない状態で,気管挿管下人工呼吸管理が開始されており,PaO2 70 mmHg(FIO2 0.8)である。ノルアドレナリン0.5μg/kg/min投与されているが,血圧70/30 mmHgで,過去24時間無尿である。血小板数5,000 /μL,T-Bil 20 mg/dL である。この患者のSOFA スコアは何点か。
a. 16
b. 20
c. 24
d. 28
e. 30
a. ×
b. ×
c. ○
d. ×
e. ×

0~4点×6項目を知っておく問題。
91) 新生児集中治療室について誤っているのはどれか。
a. 早産または低出生体重児を管理する。
b. 生後4週未満の児が重症化した場合に管理する。
c. 先天性心疾患を有する児が出生した場合に管理する。
d. 母体・胎児集中治療管理室を含む産科病棟を併設している場合に限る。
e. 2009年厚生労働省研究班調査によると1年以上の長期入院患者は200名以上である。
a. ×
b. ×
c. ×
d. ○記載を見つけられず
e. ×220人程度。P53
テキスト:新生児集中治療
92) 日齢10日の新生児が呼吸器感染にて来院した。誤っているのはどれか。
a. 無呼吸発作に注意する必要がある。
b. 成人に比して陥没呼吸が見られやすい。
c. Closing capacityが機能的残気量を下回る。
d. 成人に比して体重当たりの不感蒸泄量が多い。
e. 成人に比して酸素解離曲線が左方に移動している。
a. ×
b. ×
c. ○Closing capacityのイメージは下図。詳しくはリンク参照。肥満やCOPD患者では普段から末梢気道が閉塞しているため、closing capacityやclosing volumeが大きくなり機能的残気量を上回ることがある。
d. ×
e. ×

P812,813
93) 32歳の女性。出産後よりせん妄,脈拍数140回/分,体温38℃台が持続していた。血液検査では遊離T3高値,遊離T4高値,甲状腺刺激ホルモン低値であった。誤っているのはどれか。
a. 抗甲状腺薬を投与する。
b. 消化器症状を伴うことが多い。
c. 頻脈に対してはβ遮断薬を投与する。
d. 妊娠以外にも感染を契機に発生する。
e. ヨウ素剤の投与効果は数日後に発現する。
94) 粘液水腫性昏睡について誤っているのはどれか。
a. 低ナトリウム血症を認める。
b. 甲状腺ホルモンの補充を行う。
c. 原発性の場合,甲状腺刺激ホルモンの低下を認める。
d. ショックを呈する際にはヒドロコルチゾンを投与する。
e. 診断には甲状腺機能低下症と中枢神経症状が必須である。
a. ×
b. ×
c. ○上昇する
d. ×
e. ×
テキストP607~609
95) 補助循環装置と疾患の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 体外設置型補助人工心臓 - 重度呼吸不全
b. 大動脈内バルーンパンピング- 胸部大動脈解離
c. 静脈- 動脈体外式膜型人工肺- 重症肺血栓塞栓症
d. 植込型補助人工心臓 - 慢性維持透析症例
e. 静脈-静脈体外式膜型人工肺- 重症急性呼吸窮迫症候群
a. ×
b. ×禁忌
c. ○
d. ×
e. ○
96) ショックに関する組み合わせで正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 敗血症性ショック - quick SOFAで1点以上
b. 心原性ショック - 急性冠症候群によるものが最も多い
c. アナフィラキシーショック- ノルアドレナリンが第一選択である
d. 閉塞性ショック - 頸静脈怒張の有無は重要な所見である
e. 出血性ショック - 初期対応として代用血漿剤の投与を行う
a. ×2点以上
b. ○
c. ×アドレナリン、輸液
d. ○
e. ×晶質液
97) 消化管疾患について正しいのはどれか。
a. 重症偽膜性大腸炎に全結腸切除術が選択されることが多い。
b. 難治性(再発性)の偽膜性大腸炎に糞便注入療法は効果がある。
c. 偽膜性大腸炎患者の診察後アルコールによる手指消毒は無効である。
d. Non-occlusive mesenteric ischemiaの治療にノルアドレナリンは有効である。
e. 上部消化管穿孔は発症後経過が短く腹水が認められなくとも開腹手術が推奨される。
a. ×結腸亜全摘。P666
b. ×便移植なら○?P666
c. ○
d. ×ノルアドレナリンやアドレナリンの使用は注意が必要。P540
e. ×P542
98) 代謝が腎機能に影響されにくい薬剤はどれか。
a. モルヒネ
b. ミダゾラム
c. ジソピラミド
d. フェンタニル
e. プロカインアミド
a. ×
b. ×
c. ×
d. ○
e. ×
99) 外傷患者の治療について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 開放性骨折の洗浄液への抗菌薬添加を行う。
b. 胸部外傷後の胸腔ドレーン留置時に抗菌薬投与を行う。
c. 開放性骨折では受傷後3時間以内に抗菌薬投与を行う。
d. 管腔臓器損傷において術後24時間まで抗菌薬投与を行う。
e. 穿通性腹部外傷で術前1時間以内に広域抗菌薬投与を行う。
a. ×
b. ×
c. ○
d. ○
e. ○
100) ICUにおける安全管理について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 医療事故対策とは事後対策を講じることである。
b. 重篤な医療過誤で最も多いのは薬剤関連過誤である。
c. 人間の認知機能に依存した運用がリスクを低下させる。
d. 安全管理指針における組織には臨床工学技士も含まれる。
e. 医療従事者の業務環境を整備することが安全管理指針で推奨されている。
a. ×未然防止対策も必要
b. ○
c. ×認知機能に依存しないシステムが重要
d. ○
e. ○
テキスト:安全管理について対応できる
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