【2020年度】 集中治療専門医試験問題【解答&解説】

2020年度集中治療専門医試験の解答解説です。
問題と解答は学会誌から引用。

解説に関しては非公式です。
コメント欄でディスカッションできれば幸いです。
間違い、ご指摘等があれば教えてください。

※「テキスト」とは日本集中治療医学会専門医テキストのことです。
※上付き文字、下付き文字は少しずつ修正するのでご了承ください。

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↓お役に立てたなら何卒よろしくお願いします。↓

1) 65歳の男性。既往に慢性腎臓病がある(Cr 1.2mg/dL)。骨髄異形成症候群に対する臍帯血移植後に,38℃の熱発と意識障害をきたしICU入室となった。ICU入室時所見:意識レベルGCS E3V4M5,呼吸数30回/分, 脈拍数140回/分・整, 血圧82/61mmHg,SpO2 78%(酸素マスク6 L/分)。口腔内乾燥あり,capillary refill time 3秒。血液ガス分析(酸素マスク6 L/分):pH 7.154,PaO2 55.4 mmHg,PaCO2 60.6 mmHg,HCO320.4 mmol/L,乳酸値12 mmol/L。血液一般検査:Hb 7.3 g/dL,WBC 600 /μL,Plt 1.4×104 /μL 。血液生化学検査:BUN 37.1 mg/dL,Cr 2.9 mg/dL,Na 128 mEq/L,K 4.2 mEq/L,Cl 94mEq/L,CRP 26.7 mg/dL。尿検査:比重1.025,Na 22 mEq/L,K 45.6 mEq/L,Cr 167.5 mg/dL。胸部単純X線上両肺野にびまん性浸潤影を認めた。正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 高張塩化ナトリウム溶液を投与する。
b. ナトリウム排泄分画は1%以下である。
c. 抗菌薬投与は初回から腎機能低下に応じて減量する。
d. 急性腎傷害のKDIGO診断基準ではステージ2である。
e. 透析用カテーテル留置の第一選択部位は鎖骨下静脈である。

a.× 敗血症性ショックであり細胞外液を投与する。
b.○ FENA=(尿Na÷血Na)/(尿Cre÷血Cre)。(22÷128)/(167.5÷2.9)=0.003<1%であり腎前性腎不全。
c.× 敗血症性ショックに対する初回の抗菌薬投与は腎機能に関わらず通常量。
d.○ KDIGOは下図参照。
e.× 内頚静脈。

ナース専科:https://knowledge.nurse-senka.jp/500195

2) 67歳の男性。身長165 cm,体重72 kg。1週間前にインフルエンザ感染と診断され,抗ウイルス薬の投与を受けていた。3日前から呼吸困難が出現し,救急外来を受診した。インフルエンザ感染後の肺炎,ARDSと診断され,救急外来で気管挿管されたのちICUに入室した。入室時,呼吸数20回/分,脈拍数117回/分・整,血圧82/55 mmHg,体温39.0℃,SpO2 88%。人工呼吸器設定:FIO2 1.0,従量式360 mL,吸気流量(矩形波)30 L/分,吸気時間1.3秒,アシスト・コントロール20回/分,PEEP 8 cmH2O 。最高気道内圧31 cmH2O,プラトー圧27 cmH2O(筋弛緩薬投与後状態)。動脈血ガス分析:pH 7.29,PaCO2 60 mmHg,PaO2 55 mmHg,HCO3 20 mmol/Lであった。本症例の人工呼吸管理において正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 換気量が過小である。
b. PEEPが過大である。
c. 駆動圧は19 cmH2Oである。
d. 内因性PEEP が発生している。
e. 静肺コンプライアンスは19 mL/cmH2Oである。

a.× 理想体重は22×1.65(m)×1.65(m)≒60kg。360ml÷60kg=6ml/kg IBW。肺保護戦略として妥当。
b.× ARDSに対してPEEPは高めでOK。
c.○ 駆動圧=プラトー圧-PEEP。27-8=19。
d.× 問題文からは判断不可能?
e.○ 静肺コンプライアンス=一回換気量÷駆動圧。360÷19≒19。

3) 周産期医療に関する語句の定義として誤っているのはどれか。
a. 周産期とは妊娠満22週以降,生後1週未満のことである。
b. 出生率とは人口1,000人当たりの年間出生数のことである。
c. 超早産児とは在胎週数28週未満で出生した児のことである。
d. 周産期死亡率とは1,000出生数当たりの周産期死亡数のことである。
e. 死産とは妊娠満12週(妊娠第4月)以降の死児の出産のことである。

解答/解説

a.○ 
b.○ 
c.○ 
d.× 周産期死亡率=周産期死亡数÷(出生数+妊娠満22週以後の死産数)×1000
e.○

4) 84歳の男性。身長155 cm,体重68 kg 。深部静脈血栓症の既往なし。2週間前に左大腿骨頸部骨折に対し手術を行った。意識清明,呼吸数24回/分,心拍数112回/分,血圧148/85 mmHg,SpO2 88%(room air)。D-dimer 3.5(正常値< 1.0)μg/mL。患側下肢の腫脹は認めない。5年前から前立腺癌の診断のもと,ホルモン療法を行っている。正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 造影CTを行う。
b. 下肢超音波検査を行う。
c. 早急に血栓溶解療法を行う。
d. 早急に下大静脈フィルター挿入を行う。
e. D-dimerの上昇が急性肺塞栓の診断に有用である。

解答/解説

a.○ (ショックを伴わない)肺血栓塞栓症疑い。
b.○ DVTができてないか評価が必要。
c.× 初期治療として直ちに全身性に血栓溶解療法を行うのはショックや低血圧を伴った症例。
d.× 適応は抗凝固療法が絶対禁忌のDVTを伴った肺血栓塞栓症。
e.× 感度が高く陰性であれば除外に有用。
テキスト:肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症

5) 72歳の男性。これまでに高血圧を指摘されていたが放置していた。仕事中に突然の左下肢の麻痺を認め,救急要請された。病院到着時,意識レベルJCS 100,脈拍数90回/分,血圧201/107mmHg,SpO2 94%(room air)。来院後の頭部CTは以下の通りであった。緊急で開頭血腫除去術を行い,術後ICUに入室した。ICU入室時意識レベルGCS E1VTM2,脈拍数82回/分,血圧132/81 mmHg。術後の頭部CTで止血が確認された。適切な処置はどれか。2つ選びなさい。

2020年度 集中治療専門医試験問題

a. 抗痙攣薬を投与する。
b. 抗潰瘍薬を投与する。
c. 深部静脈血栓症予防にまず抗凝固療法を行う。
d. 弾性ストッキング単独の深部静脈血栓症予防を行う。
e. 間欠的空気圧迫法による深部静脈血栓症予防を行う。

a.× 予防投与は必要なし。
b.○ 消化管出血予防に使用を検討。
c.× 間歇的空気圧迫法が行えない場合検討。
d.× 弾性ストッキングの単独使用にDVT予防の効果はなく、皮膚損傷が増える。
e.○ DVT予防が推奨される。
テキスト:高血圧性脳内出血P381

6) 中毒物質と臨床症状の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. コカイン - 散瞳
b. マリファナ - 徐脈
c. アンフェタミン - 低体温
d. エタノール - 頻呼吸
e. リチウム - 感覚障害

a.○ 血圧上昇、頻脈、高体温、頻呼吸、散瞳、調律異常
b.× 血圧上昇、頻脈
c.× 血圧上昇、頻脈、高体温、頻呼吸、散瞳
d.× チェーンストークス呼吸、呼吸麻痺
e.○ 感覚障害、痙攣、不整脈(PQ感覚延長)
テキスト:P744,(P750の作用機序の為の分類も目を通しておく)

7) 正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. Mallampati分類は多発外傷の重症度分類である。
b. 出血性ショックにおける初期輸液には膠質液を用いる。
c. LEMONアセスメントとは挿管困難を予測するものである。
d. 開放骨折では3時間以内に抗菌薬を投与することが重要である。
e. Damage Control Surgeryとは修復・再建を優先する手術である。

a.× 挿管難易度の評価。
b.× 晶質液。
c.○ 
d.○ 
e.× 生理学的徴候の回復を優先する手術。
テキストP718

8) 小児について正しいのはどれか。
a. 喉頭は成人より1椎体分尾側にある。
b. 肺胞の数は出生時に成人と同数である。
c. 出生時肺胞のKohn孔は未発達である。
d. 新生児の横隔膜は大部分がドーム構造をとっている。
e. 新生児の機能的残気量は体重換算で成人と同等である。

a.× 喉頭や声門は小児ではより頭側にある。喉頭入口部は新生児はC1、小児期にはC3,4、成人はC5,6の高さになる。
b.× 2-4歳で成人と同じ数になる。
c.○ Kohn孔は肺胞どうしの間の穴。未発達なため無気肺もできやすい。
d.× 平坦。
e.× 少ない。
テキスト:新生児・乳児・幼児・学童の生理学的特徴

9) 28歳の女性。38℃以上の発熱と鼻水の感冒症状が2~4日間続き,口腔内の白色斑点が発生した。その後,一時的に37℃台に解熱したが,39℃以上の発熱が生じた。耳後から頸部にかけて発疹が生じ,翌日には全身に発疹が生じた。次第に呼吸困難感が生じ,モニタリング目的にICU入室となった。本症例の感染予防策として,次の組み合わせのうち正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 部屋 - 陰圧個室
b. 病室換気回数 - 6〜12/時間
c. 患者 - サージカルマスク
d. 医療従事者 - サージカルマスク
e. 使用後の部屋 - 清掃・洗浄・消毒にて再使用可能

a.○ 麻疹の症例。空気感染対策の問題。
b.○ 2001年以前の建築物は6回/時間以上、それ以降の建築物は12回/時間以上の換気回数が必要。
c.○ 
d.× N95マスク
e.× 換気回数の設定に応じて時間を空けて使用
テキスト:P622
医療施設における環境感染管理のためのCDCガイドライン

10) 56歳の男性が自宅火災で熱傷を負い搬送された。身長160 cm,体重60 kg,意識清明,呼吸数28回/分,脈拍数126回/分,血圧132/74 mmHg,体温36.9℃,SpO2 98%(room air)である。口腔に煤が付着し嗄声を認める。Ⅱ度熱傷面積が30%,Ⅲ度熱傷面積が5%である。末梢静脈路を確保し,血液検査を提出した。患者管理について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 酸素投与を開始する。
b. ステロイド静注を短期間行う。
c. 標準予防策とともに個室管理が推奨される。
d. 低タンパク高炭水化物の栄養が推奨される。
e. 受傷後2週間以内に焼痂組織を切除し創閉鎖することが推奨される。

a.○ 高CO血症が予想される。
b.× 気道熱傷の予防に効果なし。
c.○ 20%TBSA以上の場合は個室管理が望ましい。
d.× タンパクが喪失する病態。通常の重症患者の栄養管理でOK。グルタミンは強く推奨されている。
e.○ 
熱傷ガイドライン第3版

11) 58歳の女性。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するリツキシマブ,ステロイドを含む化学療法を施行後,肝障害が生じたため入院した。入院1週間後に意識障害,腎障害が進行したためICUに入室した。入室時,意識は呼びかけでは開眼せず,刺激を加えると開眼するが傾眠傾向で,羽ばたき振戦が認められた。血液一般検査では,WBC 4,200 /μL,Hb 12.3 g/dL,Plt 4.2×104 /μL,血液生化学検査では,AST 2,100 IU/L,ALT 3,000 IU/L,BUN 22 mg/dL,Cr 2.3mg/dL,総タンパク質6.7 g/dL,アルブミン 2.8g/dL,T-Bil 11.2(D-Bil 7.1) mg/dLであった。また,血液凝固検査では,PT-INR 1.8(PT活性20%)であった。B型肝炎ウイルス(HBV)検査では化学療法施行前はHBs抗原陰性であったが,ICU入室時はHBs抗原陽性であった。正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 肝性脳症の昏睡度はⅡ度である。
b. 昏睡型急性肝不全の亜急性型である。
c. 内科的治療と並行して肝移植の適応評価を行う。
d. 肝性昏睡に対する治療として血漿交換療法が第一選択である。
e. 強力な免疫抑制・化学療法によりHBVの再活性化が生じた急性肝不全である。

a.× 下図参照。外的刺激で開眼はⅢ度。
b.× 昏睡型急性肝不全は初発症状から昏睡Ⅱ度に至るまでの期間が10日以内の「急性型」とそれ以降の「亜急性型」に分類される。
c.○ 
d.× HDFやCHDF、online HDFが第一選択
e.○ 

内科学 第10版
解答/解説

a.× 下図参照。外的刺激で開眼はⅢ度。
b.× 昏睡型急性肝不全は初発症状から昏睡Ⅱ度に至るまでの期間が10日以内の「急性型」とそれ以降の「亜急性型」に分類される。
c.○ 
d.× HDFやCHDF、online HDFが第一選択
e.○ 

内科学 第10版

12) 消化管の解剖・機能について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 胃酸はソマトスタチン産生を促す。
b. 下部直腸は下腸間膜動脈に栄養される。
c. 嚥下機能検査として超音波内視鏡検査が有用である。
d. 消化管粘膜免疫においてIgMが重要な役割を果たす。
e. 1日約7 Lの消化液が産生されその多くは大腸で吸収される。

a.○ 
b.× 内腸骨動脈の分枝の中・下直腸動脈。
c.○ 超音波と内視鏡をそれぞれ使う方法はあるが、「超音波内視鏡検査」を使うかは不明。(消化器内科、リハビリ科専門医談)
d.× IgA
e.× 小腸で吸収され約100mlが糞便中に排泄。
テキスト:消化管・その他腹部基礎

13) 外傷患者の初期診療について正しいのはどれか。
a. 低体温は脳保護に有用である。
b. 頭部外傷への対応は優先度が最も高い。
c. 頸椎損傷の存在を前提に対処する必要がある。
d. 慎重な診察と必要な検査による確定診断が優先される。
e. 損傷部位の系統的な検索をprimary surveyと称する。

a.× 高体温を避けることが大切。
b.× ABCDEの順で評価。
c.○ 
d.× 生理学的異常が優先。
e.× これはsecondary survey。
JATEC第6版

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14) 肺超音波検査で気胸を示唆する所見はどれか。3つ選びなさい。
a. B modeでB-lineを認める。
b. B modeでlung point を認めない。
c. B modeでlung pulse を認めない。
d. B modeでlung sliding を認めない。
e. M modeでstratosphere sign を認める。

解答/解説

a.× 肺水腫や肺挫傷
b.× 胸膜と気体の境目がlung point。気胸があれば認められる所見。
c.○ 胸膜の拍動
d.○ 
e.○ =バーコードサインと同義
JATEC第6版

https://hibiseichou.com/jatec/
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15) 30歳の女性。自宅で痙攣して発見され救急搬送された。現場にはラベルのない空びんが落ちていた。意識レベル GCS E1V1M4,呼吸数14回/分,脈拍数62回/分,血圧120/80 mmHg,体温36.8℃,SpO2 90%(room air)。口腔内は唾液で充満し,瞳孔径は左右とも縮瞳している。四肢の不随意運動と深部腱反射の低下を認める。血液生化学検査値は,コリンエステラーゼ活性値5U/L以外は大きな異常を認めない。速やかに投与を考慮すべき薬剤はどれか。2つ選びなさい。
a. アトロピン
b. ナロキソン
c. シアノキット
d. ヨウ化プラリドキシム
e. N-アセチルシステイン

a.○ 昏睡、分泌物↑、縮瞳、腱反射↓、ChE↓よりコリン作動薬。アトロピンとヨウ化プラりドキシム。
b.× オピオイド中毒
c.× シアン中毒
d.○ 
e.× アセトアミノフェン中毒
テキスト:急性中毒の標準治療

16) 低血糖の原因として誤っているのはどれか。
a. 肝不全
b. 副腎不全
c. 胃バイパス術後
d. α-グルコシダーゼ阻害薬
e. シベンゾリン(I群抗不整脈薬)

a.○ 貯蔵できない
b.○ ステロイドがでない
c.○ 吸収できない
d.× 単剤では低血糖はまれ。もし低血糖がおきたらショ糖は分解できないのでブドウ糖を投与。
e.○ 膵β細胞のK-ATPチャネルを抑制しインスリン分泌を促進する。作用は用量依存性。
α-グルコシダーゼ阻害薬の添付文書には低血糖は起こり得ると記載があり。血糖降下薬だけど起こすことは非常にまれであることを知っていて欲しい様子。

17) 侵襲と生体反応について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. LPS はToll-like receptor 6で認識される。
b. トロンビンは血管内皮バリアー機能の破綻に関与する。
c. パターン認識受容体にはRIG-I-like receptorが含まれる。
d. 過剰な炎症反応は視床下部-下垂体-副腎系反応を増強する。
e. Neutrophil extracellular trapsの構成成分にはヒストンが含まれる。
* LPS:Lipopolysaccharide

a.× LPSはTLR4。テキストP533。
b.○ 
c.○ 
d.× 過剰になると抑制される(重症病態関連コルチコステロイド不全critical illness-related corticosteroid insufficienty:CIRCI)。
e.○ 
テキスト:集中治療における侵襲と生体反応
生化学 第79巻 第8号,pp.769-776,2007 Toll-like receptor と自然免疫

18) 呼吸理学療法について,気道クリアランスとして推奨されない手技はどれか。
a. スクイージング
b. 体位ドレナージ
c. 高頻度胸壁振動
d. 肺内パーカッション換気
e. 軽打法によるドレナージ

a.× 
b.× 
c.× 
d.× 
e.○ 
テキストp201

19) 正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. ICUでは給水に水道水を使用してはならない。
b. 重篤な医療過誤の多くは薬剤関連過誤である。
c. 特別非常電源の立ち上がり時間は40秒以内である。
d. アミノグリコシド系薬剤の投与には薬物血中濃度モニタリングによる投与計画を行う。
e. インシデント・アクシデント報告システムによる報告は医師よりも看護師からの方が多い。

a.× 
b.○ 
c.× 10秒以内
d.○ 
e.○ 
テキスト:安全管理について対応できる

20) 70歳の女性。倉庫で内容物不明の薬品を自殺企図にて服用したとのこと。30分後,家人により発見され救急車で来院した。既往歴はうつ病。来院時,意識レベルGCS E2V4M5,呼吸数20回/分,脈拍数46回/分,血圧110/60 mmHg,体温35.5℃,SpO2 91%(room air),瞳孔径は両側1 mm であった。身体所見として発汗と流涎,さらに筋攣縮がみられた。本症例のトキシドロームに該当する薬剤はどれか。
a. 睡眠薬
b. オピオイド
c. コリン作動薬
d. 交感神経作動薬
e. エチレングリコール

a.× 
b.× 
c.○ 縮瞳、発汗、筋攣縮
d.× 
e.× 
テキストP750

21) 43歳の男性。胸部圧迫感を自覚し救急車要請。救急隊接触時,意識レベルJCS 10,呼吸数24回/ 分, 脈拍数102 回/分, 血圧88/68 mmHg,SpO2 88%(room air),四肢冷感が著明であった。心電図ではaVRでST上昇を認めた。血液生化学検査では,心筋トロポニンT 5.2 ng/mLであった。直ちに緊急冠動脈造影検査を行い,左冠動脈主幹部閉塞および右冠動脈末梢に90%狭窄を認めた。次の対応のうち正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 酸素吸入
b. アドレナリン
c. 大動脈内バルーンパンピング
d. 左主幹部に対する経皮的冠動脈インターベンション
e. 右冠動脈末梢90%に対する経皮的冠動脈インターベンション

a.○ aVRのST上昇より左冠動脈主幹部病変のSTEMI。低酸素血症があり必要。
b.× 投与するなら前負荷やDOBが先。
c.○ IABPも良い適応。
d.○ 責任血管はこちらと推測される。
e.× 責任血管ではない。

22) 重症急性膵炎について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 腹腔内圧が15 mmHg持続する場合はACSである。
b. 血中リパーゼ値は経口摂取開始時期の指標のひとつとなる。
c. 4週間以内に形成された非感染の膵周囲液体貯留を膵仮性嚢胞という。
d. 急性膵炎発症から24時間以内の重症度判定は予後判定に重要である。
e. 胆石性膵炎で胆嚢結石を有する場合には膵炎鎮静化後に胆嚢摘出術を行う。
* ACS:Abdominal compartment syndrome

解答/解説

a.× 20mmHg以上が持続し、新たに臓器障害もしくは臓器不全を伴う状態。
b.○ 2015年のガイドラインだと○。急性膵炎ガイドライン2021ではこの記載は削除されており×。
c.× 4週間以降。
d.× 2015年のガイドラインだと「48時間以内」なので×。2021では入院時、24時間以内、24~48時間に重症度判定をすることが推奨されるので△。
e.○ 
急性膵炎ガイドライン2021・2015

急性膵炎ガイドライン2021

23) 62歳の女性。関節リウマチでプレドニゾロン 5mg/日内服中である。1週間前から乾性咳嗽が出現するようになり,近医で鎮咳薬を処方されたが改善しなかった。本日夜間より,次第に呼吸困難が増強してきたため救急搬送された。意識レベルJCS 10,呼吸数38回/分,脈拍数116回/分・整,血圧180/92 mmHg,SpO2 88%(roomair)である。両肺野にfine cracklesを聴取する。血液検査でβ-D-グルカン 540(正常:20未満)pg/mL,サイトメガロウイルス抗原pp65(-)であった。受診時の胸部CTでは両側びまん性スリガラス影と小葉間隔壁肥厚を認めるが,蜂巣性変化は認めない。正しいのはどれか。
a. 直ちに保健所に届出を行う。
b. 直ちに抗真菌薬を投与する。
c. 通常血清KL-6値は正常である。
d. ペニシリン系抗菌薬は無効である。
e. ステロイド・パルス療法が著効する。

a.× ステロイド長期投与、β-Dグルカン陽性、CMV抗原(-)からニューモシスチス肺炎が疑われる症例。5類感染症であり届出は不要。
b.× ST合剤は抗菌薬
c.× IP以外にも細菌性肺炎、PCP肺炎、びまん性汎細気管支炎、悪性腫瘍などでも上昇する
d.○ ST合剤が第一選択
e.× 重症であれば考慮する程度

24) 生後4ヵ月,左心低形成症候群の乳児。日齢2日でノーウッド手術を受け外来通院中である。次回の手術のため心臓カテーテル検査を行った。ノーウッド手術時, 肺血流維持にはBlalockTaussigシャント変法(右腕頭動脈−右肺動脈シャント)を使用している。酸素飽和度は,上大静脈55%,下大静脈56%,右心房77%,左心房(左上肺静脈)99%,右心室76%,肺動脈76%,大動脈(再建後)76%である。計算される肺体血流比(Qp/Qs)に最も近いのはどれか。
a. 0.9
b. 1.1
c. 1.4
d. 1.9
e. 2.4

解答/解説

a.○ Qp/Qs=(SaO2-SvO2)/(SpvO2-SpaO2)=(76-55)/(99-77)≒0.9
b.× 
c.× 
d.× 
e.×
こちらの記事がとても分かりやすかったです→誰でもわかる先天性心疾患

25) 78歳の男性。10年前から虚血性心筋症による心不全を繰り返していた。ある日,呼吸困難に陥り心不全と診断され,気管挿管し人工呼吸管理を行った。2日後に状態が安定し抜管したが,夜間にせん妄状態となった。医師は妻に対し「息苦しさが強いため鎮静が必要だが,鎮静をかけると呼吸が浅くなるため人工呼吸器が必要になる」と説明した。これに対し妻は,夫が書いた延命措置拒否の事前指示書を示し「積極的に治療しても助からないのなら,呼吸が苦しくないように眠らせてほしい」と答えた。 医師は患者に気管挿管し人工呼吸管理を行う必要性を説明したところ,患者は「苦しい,早く死なせてくれ」と答えた。医師は家族と本人の意志を尊重し,鎮静薬を使用しDNAR指示を出した。正しいのはどれか。
a. 指示された代理人である妻の決定が優先される。
b. DNAR指示があるため,昇圧薬は投与すべきでない。
c. 延命措置拒否の事前指示書はリビングウィルと同義語である。
d. せん妄患者に対する医師のインフォームド・コンセントは成立する。
e. 延命措置拒否の事前指示書があるのでアドバンス・ケア・プランニングは実践できている。
* DNAR:Do Not Attempt Resuscitation

解答/解説

a.× 本人はせん妄で適切な判断能力を失っている?事前指示書の内容が優先?
b.× DNARは心停止時のみに有効。
c.○ リビングウィルや医療に関する持続的代理権を事前指示という
d.× 自己決定できる能力はないであろう。
e.× ACPは自身の将来の健康管理に関して方針を決める「過程」のことで、事前指示作成という「結果」があったとしても、必ずしもACPが実行できているとは限らない。
テキスト:医療倫理

26) 小児の気管チューブ管理の組み合わせで誤っているのはどれか。
a. 6ヶ月の乳児 - 内径3.5 mmのカフなし
b. 1歳の幼児 - 経口気管チューブの固定長16cm
c. 3 歳の幼児 - 内径4.0 mmのカフ付き
d. 5 歳の幼児 - 内径5.0 mmのカフなし
e. 8歳の学童 - 経口気管チューブの固定長18cm

a.× 
b.○ 約12.5cm
c.× 
d.× 
e.× 
乳児、カフなし3.5mm、カフあり3.0mm
1~2歳、カフなし4.0mm、カフあり3.5mm
2歳以上、カフなし4+(年齢÷4)mm、カフあり3.5+(年齢÷3.5)mm
固定位置は内径×3cm or 12+(年齢÷2)
テキストP831

27) 上部消化管穿孔について正しいのはどれか。
a. 約9割でヘリコバクターピロリが陽性となる。
b. 穿孔後6時間以内では敗血症性ショックを来しやすい。
c. 穿孔後24時間を経過すれば保存的治療が適応となる。
d. Boerhaave症候群の損傷好発部位は上部食道である。
e. 穿孔部位の大網被覆は膿瘍形成合併症が高いため推奨されない。

a.○ 
b.× 6時間以内は比較的無菌
c.× 12時間以内に手術適応かどうか判断する
d.× 下部が支持組織がなく圧がかかりやすいため好発
e.× 推奨される
テキストP542

28) 37歳の男性。労作時息切れが増悪し起坐呼吸となり救急外来を受診した。腱索断裂を伴う僧帽弁閉鎖不全を認め緊急入院した。感染性心内膜炎に対する抗菌薬治療と非侵襲的陽圧換気(NPPV)を施行していたが,心不全コントロールが困難となりICUへ入室した。入室時NPPV継続下で呼吸困難は著明で苦悶様表情をしていた。心拍数118回/分,収縮期血圧88 mmHg,SpO287%,末梢冷感が著明で橈骨動脈は触知困難であった。直ちに行うべき処置はどれか。2つ選びなさい。
a. 気管挿管
b. 利尿薬投与
c. ステロイド投与
d. 血管拡張薬投与
e. 大動脈内バルーンパンピング

a.○ IEによる重症の心不全。呼吸も循環も維持できていないため挿管、IABP。
b.× 
c.× 
d.× 
e.○ 

29) 先天性心疾患の肺血流増加によるショックにおいて適切な呼吸管理はどれか。2つ選びなさい。
a. 過換気
b. 窒素吸入療法
c. 酸素吸入療法
d. 一酸化窒素吸入療法
e. 筋弛緩下人工呼吸管理

a.× 
b.○ 
c.× 
d.× 
e.○ 
肺血管抵抗を増やす→窒素吸入(低濃度酸素)、低換気・無気肺・肺胞虚脱、アシデミア、過膨張、血管収縮薬、興奮、痛み刺激
筋弛緩下の人工呼吸管理では陽圧換気となるため、肺血管抵抗が増える。また低換気気味な管理も容易になる。体血管抵抗を減らすことにもつながる。
テキストP827

30) 成人において胸水を認めた場合の胸腔穿刺について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 穿刺は第10肋間より行う。
b. 16 Frの胸腔チューブを選択する。
c. 一度に抜く量は2~2.5 L までに留める。
d. 気胸を合併する割合は10%程度である。
e. 背部の穿刺では肋間動脈の損傷を来しやすい。

a.× 第9肋間より上位
b.○ 胸水や気胸は16Fr
c.× 1~1.5Lまで
d.× 多くても6%程度
e.○ 某脊椎領域は肋間動脈が肋間の真ん中を走行しているため特に避けるべき。
テキストP216,217

31) 46歳の女性。身長156 cm,体重45 kg 。既往歴:高血圧,鉄欠乏性貧血,過換気症候群。現病歴:2年前に上肢のみの間代性痙攣を発症したが,頭部MRIおよび脳波検査で異常所見を認めなかった。その後も数回の痙攣症状を認めたが,短時間で改善していた。数日前から全身倦怠感があり,全身性間代性痙攣を発症したため救急搬送となった。ジアゼパム,フェニトインを投与しても痙攣が繰り返し出現したため,気管挿管・人工呼吸管理のうえで,プロポフォールの持続静注にて痙攣の完全停止が得られICU入室となった。ICU入室時,意識レベルGCSE4VTM1, 呼吸数16 回/ 分, 脈拍数94 回/ 分,血圧135/65 mmHg, 体温36.4 ℃,SpO2 96 %(FIO2 0.25)であった。深部腱反射の亢進減弱や病的反射に異常はみられなかった。乳酸値の上昇を認めたが,血液生化学検査ではLDHやCKの上昇は認めず,他の電解質異常や炎症反応も認めなかった。髄液検査は正常で,髄液培養,血液培養ともに陰性であった。頭部・胸部・腹部CTおよび頭部MRIにおいても異常所見を認めなかった。プロポフォール持続投与に加えレベチラセタムの投与下でも痙攣症状は断続的に出現していたが,持続脳波モニタリングではてんかん波形は検出されなかった。正しいのはどれか。
a. 失禁
b. 開眼
c. 舌咬傷
d. 記憶障害を認めない
e. 体幹部の不規則な横振り運動

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 心因性非てんかん発作。学会誌の症例報告からの出題。
e.× 
日集中医誌 2020;27:117-8.

32) FIO2 0.4,1回換気量500 mLにて人工呼吸管理中の患者で,動脈血ガス分析を行ったところPaO2180 mmHg,PaCO2 40 mmHg であった。また呼気中の平均二酸化炭素分圧は24 mmHgであった。現在の死腔換気率として最も適当な数字はどれか。(ただし吸入酸素濃度,二酸化炭素産生量,死腔換気量などは一定とする。)
a. 0.24
b. 0.30
c. 0.35
d. 0.40
e. 0.45

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 死腔換気率=(PaCO2-呼気CO2分圧)/PaCO2=(40-24)/40=0.4
e.× 
テキストP121

33) 日本のICU機能評価関連に関して正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 特定集中治療室管理料は4クラスに分類されている。
b. 血液浄化装置は集中治療室に常備する医療機器に含まれる。
c. JIPADとは日本における多施設のICU入室患者のデータベースである。
d. 「特定集中治療室管理料」は,入退室時のAPACHEⅡスコアの報告が義務づけられている。
e. 早期離床・リハビリテーション加算取得には集中治療の経験を5年以上有する専任の医師を含むチームの設置が必要である。
* JIPAD:Japanese Intensive Care PatientDatabase
* APACHEⅡ:Acute Physiology And Chronic Health Evaluation Ⅱ

a.○ 2が最強。3が最弱。
b.× 常備すべきものは、挿管や気管切開器具、人工呼吸器、除細動器、ペースメーカー、シリンジポンプ、輸液ポンプ、心電計、ポータブルXp、生体モニター、体温計、酸素濃度計、小外科手術器具
c.○ 
d.× SOFAスコア
e.○ 
テキスト:ICU機能評価

34) 法的脳死判定について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 4時間以上の間隔をあけ6時間以内に2度行う。
b. 指定された学会の専門医または認定医3名以上で行う。
c. 毛様脊髄反射では顔面に刺激を与え両側瞳孔散大の有無を確認する。
d. 前庭反射では被験者の外耳道内に氷水を注入し縮瞳の有無を確認する。
e. 無呼吸テストではPaCO2の上昇に対して自発呼吸が誘発されるかどうか確認する。

a.× 6時間以上の間隔が必要(6歳未満は24時間以上)
b.× 必要な知識と経験を持つ臓器移植に無関係な2人以上の医師
c.○ 
d.× 縮瞳ではなく眼振
e.○ 

35) 正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 蛋白結合率が高い薬剤は体内分布容量が大きい。
b. 薬物クリアランスは分布,代謝,排泄の3つの相を反映している。
c. CRRT施行中の薬剤クリアランスは腎臓クリアランスとCRRTクリアランスの総和とする。
d. カルバペネム系抗菌薬はピーク濃度と最小発育阻止濃度の比を高くすることが望ましい。
e. アミノグリコシド系抗菌薬は最小発育阻止濃度を超えている時間を長く保つことが望ましい。
* CRRT:continuous renal replacement therapy

a.× タンパクと結合する→血管内に留まりやすい→分布容積は小さい。
b.○ 
c.○ 
d.× カルバペネム系を含むβラクタム系はTAM%が効果指標
e.× アミノグリコシド系はCmax/MICが効果指標
テキストP625-627
テキスト:腎機能低下時の薬剤投与

36) 76歳の男性。昨日朝6時から強い胸痛が出現し,今朝5時に救急搬送された。意識レベルGCSE3V4M5, 脈拍102回/分,血圧66/42 mmHg,体温 37.2℃,四肢冷感を認める。左頸部血管雑音を聴取し,第4肋間胸骨左縁で全収縮期雑音3/VIを聴取,全肺野でcoarse crackleを聴取,心電図は以下に示すとおりで,右側胸部誘導ではST上昇を認めない。本病態について,正しいのはどれか。2つ選びなさい。

2020年度 集中治療専門医試験問題

a. 緊急手術の適応である。
b. 血液培養が有用である。
c. 補助循環は無効である。
d. 近年発生頻度は減少している。
e. 緊急経皮的冠動脈インターベンションの適応である。

a.○ 右冠動脈の虚血(Ⅱ,Ⅲ,aVfのST上昇)、突然の胸痛、ショック、頸動脈の雑音→StanfordA型大動脈解離
b.× 
c.× 
d.○ 
e.× 

37) 40歳の女性。身長155 cm,体重50 kg 。血液検査上Plt 2.0 × 10^4 /μLまで減少したため,血小板濃厚液輸血10単位を行った。血小板輸血直後の予測血小板数の増加はどれくらいか。なお,血小板濃厚液10単位に約2.8×1011個の血小板を含有するものとする。
a. 2.0× 104 / μL
b. 3.5× 104 / μL
c. 5.0× 104 / μL
d. 6.5× 104 / μL
e. 8.0× 104 / μL

a.× 
b.× 
c.○ 増加量=輸血血小板総数/(循環血液量(70ml/kg)×103)×2/3=(2.8×1011)/((70×50)×103)×2/3
d.× 
e.× 
テキストP878

38) 日齢5の女児。胎児期に異常の指摘なく,在胎40週0日,体重2,900 gで経腟分娩にて出生した。生後は蘇生を要さず,特に問題なく経過していた。日齢4に多呼吸,チアノーゼを認めた。活気なく,呼吸数60回/分,脈拍数185回/分,血圧(右上肢)75/40 mmHg,体温37.5℃,SpO2(右足)84%(room air)。胸部単純X線では肺うっ血と心拡大を認めた。酸素投与を開始したが,下半身のチアノーゼが改善せず両下肢の脈拍触知が微弱であることに気づいた。心エコーで心室中隔欠損と大動脈峡部の狭窄を認めた。正しいのはどれか。
a. 100%酸素を投与する。
b. 一酸化窒素を吸入する。
c. SpO2 は上肢の方が下肢より低い。
d. プロスタグランジンE1製剤を投与する。
e. 両上肢の血圧が正常範囲であれば下肢の血圧に臨床的意義はない。

a.× 肺血管抵抗を下げる
b.× 肺血管抵抗を下げる
c.× 上肢の方が良い
d.○ 動脈管依存性体循環疾患。体血流の維持のためにPGE1投与が必要
e.× 下肢の虚血はよくない
テキストP827

39) 外傷診療におけるチーム医療について正しいのはどれか。
a. チーム内での情報共有や共通認識の確立が重要である。
b. チームリーダーのみがリーダーシップを発揮することが望ましい。
c. ダメージコントロール戦略は重要なノンテクニカルスキルに含まれる。
d. 患者搬入時にそれぞれの役割などを確認する作業をデブリーフィングという。
e. チーム内のクローズド・ループ・コミュニケーションでは暗黙の了解が重要である。

a.○ 
b.× チームメンバー全員が発揮すべき。
c.× テクニックの塊。ノンテクニカルスキルはコミュニケーションスキルやリーダーシップ。
d.× ブリーフィング
e.× 誤った情報伝達を防ぐことが重要
テキスト:外傷(診療)チームのチームリーダー

40) 妊婦の生理学的特徴として誤っているのはどれか。
a. 喉頭浮腫
b. 凝固能の亢進
c. 心拍出量の増加
d. ヘマトクリット値の増加
e. ヘルパーT細胞タイプ1の低下

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.× 
テキストP794

41) 79歳の女性。ARDSで人工呼吸管理中である。血管内容量が不明のため肺動脈カテーテルを留置する方針とした。心電図は以下に示すとおりである。カテーテルを留置するにあたり,特に本例において注意すべき合併症はどれか。

2020年度 集中治療専門医試験問題

a. 心室穿孔
b. 肺動脈穿孔
c. 持続性心室頻拍
d. 完全房室ブロック
e. 上室性頻脈性不整脈

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 肺動脈カテ挿入により右脚ブロックを起こすことがある。本症例では左脚ブロックが既にある為、右脚ブロックを起こすと完全房室ブロックとなる。
e.× 

42) 患者の血液検査データが,WBC 6,600 /μL,Hb13.3 g/dL,Plt 10.2× 104 /μL,Na 125 mEq/L,K 3.5 mEq/L,Cl 101 mEq/L,AST 21 IU/L,ALT 30 IU/L,BUN 28 mg/dL,Cr 2.3 mg/dL,総タンパク質6.7 g/dL,アルブミン 2.8 g/dL,T-Bil 11.2(D-Bil 7.1) mg/dL,ブドウ糖 90mg/dL であった。計算による血漿浸透圧(mOsm/kgH2O)の推定値はどれか。
a. 245
b. 265
c. 285
d. 305
e. 325

解答/解説

a.× 
b.○ 血漿浸透圧=2×Na+BUN/2.8+糖/18
c.× 
d.× 
e.× 
なに(Na×2)?文(BUN)Ⅱは(2.8)ブス(BS)がいっぱい(18)

43) 58歳の男性。身長172 cm,体重85 kg 。インフルエンザによる急性呼吸不全の診断で,2日前から人工呼吸管理を行った。しかし,その後も改善徴候を認めなかったため,静脈─静脈体外式膜型人工肺(VV-ECMO)を開始した。右大腿静脈から19 Frの脱血カニューレ,右内頸静脈から16 Frの送血カニューレを挿入し,5,200 回転/分,血液流量 2.8 L/ 分,Sweep ガス3 L/ 分で開始した。人工呼吸器設定は,従圧式強制換気,FIO2 0.3, プラトー圧 20 cmH2O,PEEP 10cmH2O,呼吸数10 回/分とした。1時間後の動脈血ガス分析は,pH 7.24,PaCO2 58 mmHg,PaO2 58 mmHg,乳酸値1.2 mmol/L,SaO2 88%,Hb 13.0 g/dLで,心エコーでは明らかな異常所見を認めなかった。この患者の対応について正しいのはどれか。
a. 人工呼吸器のFIO2を上げる。
b. 人工呼吸器のPEEP を増加させる。
c. ECMO のSweepガスを増加させる。
d. 人工呼吸器の分時換気量を増加させる。
e. ECMOの回転数を上げ血液流量を増加させる。

a.× lung restしましょう
b.× lung restしましょう
c.○ PaCO2が下がる
d.× lung restしましょう
e.× VAECMOであれば血圧が上がる
ECMO・PCPSを習得したいすべての人へECMOPCPSバイブル

44) SOFAスコアを算出するために必要な情報はどれか。
a. 心拍
b. 呼吸数
c. 平均血圧
d. 白血球数
e. 収縮期血圧

a.× 
b.× 
c.○ 
d.× 
e.× 
SOFAスコアの項目はP/F比、血小板数、ビリルビン、mBP、GCS、クレアチニン、尿量

45) 70歳の男性。既往歴に特記事項なし。3日前から発熱があり,近医にて感冒と診断されイブプロフェンを処方されたが,その後意識障害にて来院した。来院時,意識レベルGCS E2V3M4,脈拍数109 回/分・整,血圧110/60 mmHg,体温38.4℃であった。眼瞼結膜は貧血様で,黄染も認め,四肢には点状出血もある。血液および凝固系検査は,RBC 204×104 / μL,Hb 5.9 g/dL,WBC 9,400 /μL,Plt 1.2× 104/μL,PT 10 秒,APTT 29秒,血漿フィブリノゲン290 mg/dL,血清FDP 18 μg/mL であった。血液生化学所見は,BUN 42 mg/dL,Cr 3.2mg/dL,T-Bil 4.2 mg/dL,D-Bil 1.3 mg/dL,AST 72 IU/L,ALT 40 IU/L,アルブミン 3.6g/dL であった。低値が予測される血液検査項目はどれか。2つ選びなさい。
a. 葉酸
b. フェリチン
c. 網状赤血球
d. ハプトグロビン
e. ADAMTS 13活性
*ADAMTS:adisintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondintype 1 motifs

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.○ 
血小板減少、貧血、意識障害、腎機能障害からTMA疑い。血小板数が比較的保たれている、クレアチニン上昇が高度なことからおそらくHUSの症例。
救急診療指針第5版P407,408

46) 用語の説明で正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 苦痛,不安などの精神的被害はエラーである。
b. 何らかの被害が予測される場合はインシデントである。
c. 機器やシステムの問題で起こる過失はミステイクである。
d. 患者に濃厚な処置・治療を要した事例は「インシデント影響度分類」のレベル3b である。
e. 医薬品に関する「5つのR」とは「正しい患者」,「正しい薬剤名」,「正しい量」,「正しい投与経路」,「正しい時間」である。

解答/解説

a.× エラーは計画した活動を意図したとおりに実行できないこと。不適切な計画に基づいた行動のこと。
b.○ インシデントは適切な医療行為が実行されたが予測できない有害事象に至ったもの、不適切な医療行為などが実施されたもの、不適切な医療行為が実施される前に発見されたものでヒヤリハットを含む。
c.× ミステイクはエラーの中でも非適切な計画によるもの。
d.○ 下図参照
e.○

http://www.univ-hosp.net/guide_cat_04_15.pdf

救急診療指針第3版:医療安全管理 

47) 2015年の国際抗てんかん連盟(International League Against Epilepsy:ILAE)による,全身性強直間代性けいれんでのてんかん重積と定義される発症からの経過時間(T1)と,後遺症が起こりうる時間(T2)について次の組み合わせのうち,正しいのはどれか。
T1  T2
a 5分 20分
b 5分 30分
c 5分 60分
d 15分 30分
e 15分 60分

a.× 
b.○ 
c.× 
d.× 
e.× 
てんかん重積は30分以内にとめましょう

48) 35歳の女性。妊娠30週4日。持続する強い心窩部痛と嘔吐を主訴に救急外来受診した。心拍数105回/分,血圧185/110 mmHg で,血液生化学検査ではAST 110 IU/L,ALT 150 IU/L,LDH750 IU/L,T-Bil 1.8 mg/dL,血液一般検査では,Plt 5.5× 104/μL であった。この患者の対応で正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 腹部CTを行う。
b. 血液凝固系検査を行う。
c. 硫酸マグネシウム療法を行う。
d. 翌日消化器内科の受診を薦める。
e. 副腎皮質ホルモン投与は禁忌である。

a.○ 腹部CTは最大49mGy(ミリグレイ).100mGy以下の胎児の被ばく線量では、胎児への放射線による影響を心配する必要はない。妊婦にCTは数回とってもOKです。
International Commission on Radiological Protection : Pregnancy and medical radiation, ICRP Publication 84, Ann. ICRP, 2000.
b.○ DICやHUS等の鑑別に有用
c.○ 分娩が治療。分娩時の弛緩発作予防目的に投与する。
d.× 救急疾患。
e.× 硫酸マグネシウム、降圧、ステロイド投与、妊娠の終了が治療。
心窩部痛、嘔吐、肝機能異常、血小板減少からHELLP症候群疑いの症例。

49) 60歳の男性。僧帽弁逆流症に対して僧帽弁形成術を施行され人工呼吸継続されたままICUに入室した。入室時,血圧110/70 mmHg,CVP 9mmHg,肺動脈圧28/13 mmHg,心係数4.0 L/min/m2だったが,心嚢ドレーンの排液が止まり,術後5時間後にCVP 17 mmHg,肺動脈圧21/13mmHg,心係数1.6 L/min/m2となった。この患者の対応で正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 心エコー検査
b. 利尿薬の投与
c. PEEP の上昇
d. 胸部X 線撮影
e. 心嚢ドレーンの確認

a.○ 心タンポ疑いの症例。
b.× 
c.× 
d.○ 
e.○ 

50) 25歳の男性。歩行中に乗用車にはねられて受傷した。来院時の意識レベルGCSはE1V1M1 。頭部CTで脳ヘルニアを伴う急性硬膜下血腫を認める。治療において誤っているのはどれか。
a. ステロイド投与
b. 頭部挙上30度
c. マンニトール投与
d. PaCO2 35 mmHg
e. 収縮期血圧120 mmHg

a.○ 
b.× 
c.× 
d.× 
e.× 
二次性脳損傷の予防。JATEC第6版。

https://hibiseichou.com/jatec/
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51) 65歳の男性。胸部食道癌に対し食道亜全摘術が施行された。術後2日目に発熱とともに呼吸不全を併発したため人工呼吸管理をしている。胸部X線で両側性の浸潤影を認める。明らかな心不全徴候はない。術前のスパイロメトリーで肺活量75%,一秒率74%,動脈血ガス分析(room air)はPaO2 52 mmHg,PaCO2 48 mmHg であった。現在の動脈血ガス分析はPaO2 72 mmHg,PaCO2 42 mmHg(FIO2 0.5,PEEP 12 cmH2O)である。正しいのはどれか。2 つ選びなさい。
a. 術前の状態はII型呼吸不全である。
b. 術前の状態は拘束性換気障害である。
c. 術前の状態は閉塞性換気障害である。
d. 現在のA-aDO2は約100 mmHg である。
e. ベルリン定義では重度ARDS と診断される。

解答/解説

a.○ PaCO2≧45mmHgがⅡ型呼吸不全。
b.○ %肺活量<80%が拘束性換気障害。
c.× 1秒率<70%が閉塞性換気障害。
d.× 酸素投与中のA-aDO2(150-PaCO2/0.8-PaO2)はそもそもあてにならない。
e.× P/F比=104。101~200は中等度。100以下が重度。

52) 24歳の女性。薬物の過量服用による意識障害にて入院した。意識レベルはGCS E3V3M5であった。入院時, 心拍数80回/分, 血圧120/70mmHg,12誘導心電図においてQRS間隔 0.10秒,QTc 0.35 秒であったが,2 時間後には心拍数120回/分,血圧80/56 mmHg,QRS 間隔 0.18秒,QTc 0.48秒となった。直ちに行う治療はどれか。
a. フロセミド投与
b. マグネシウム投与
c. プロカインアミド投与
d. 炭酸水素ナトリウム投与
e. 膜型人工肺による呼吸循環補助

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.× 
意識障害、wide QRS、QT延長からNaイオンチャネル作動薬中毒疑い。拮抗薬は炭酸水素ナトリウム。
テキストP764

53) 62歳の男性。入浴中に突然,背中から腰部へ移動する痛みを自覚し救急車で搬送された。来院時,意識清明,呼吸数22回/分,脈拍数100回/ 分,血圧86/62 mmHg 左右差なし, 体温36.5 ℃,SpO2 96%(room air)である。胸部聴診で心雑音はなく,肺ラ音は認めない。心電図で異常所見を認めない。心エコーで心嚢液を認める。観血的動脈圧モニタリングを開始したところ,吸気時に収縮期血圧が10 mmHg低下していた。本例で認められる動脈圧波形で正しいのはどれか。
a. 奇脈
b. 速脈
c. 遅脈
d. 交互脈
e. 二峰性脈

a.○ 平静呼吸時の吸気時に脈拍が小さくなること。収縮期血圧も吸気により10mmHg以上下がる。心タンポナーデ,慢性収縮性心膜炎,拘束型心筋症が代表で,静脈圧は上昇しているため内頸静脈の怒張を伴う。右室梗塞や肺疾患(気管支喘息,閉塞性肺疾患,肺塞栓)でもみられる。
b.× 立ち上がりが急で大きく急速に小さくなる脈。速脈は同時に大脈で大動脈弁閉鎖不全症,動脈管開存,甲状腺機能亢進症,重症貧血などでみられる。
c.× 緩徐に立ち上がり,消退もゆっくりの脈。同時に小脈であり大動脈弁狭窄症でみられる。
d.× 洞調律で大小の脈が交互にみられるもの。重症心不全でみられ,心音ではしばしば奔馬調を伴う。
e.× 収縮期に脈が2つに分かれて触知される。大動脈閉鎖不全症,閉塞性肥大型心筋症で認められる。
医学界新聞: OSCEなんてこわくない-医学生・研修医のための診察教室 編集:松岡 健(東京医科大学第5内科教授)

54) 80歳の男性。身長172 cm,体重71 kg 。肺炎の疑いで治療している患者に気管支肺胞洗浄を行った。得られた検体が異常であると判断するのはどれか。3つ選びなさい。
a. 好酸球3%
b. 好中球10%
c. リンパ球20%
d. 細胞数1×105
e. CD4/CD8比2

a.○ 好酸球の正常値は<1%
b.○ 好中球の正常値は<3%
c.○ リンパ球の正常値は10~15%
d.× 細胞数の正常値は0.7~2×105
e.× CD4/CD8比の正常値は1~3
回収率は70%程度。マクロファージは80~90%。が正常。
テキストP212

55) 60歳の男性。身長170 cm,体重100 kg 。肺炎で呼吸状態が悪化し,ICUにて人工呼吸管理されている。現在の人工呼吸器設定は,FIO2 0.6,従圧式強制換気,吸気圧12 cmH2O,PEEP 10cmH2O,吸気時間1.2 秒,呼吸数20回/分で,1回換気量は600 mL,SpO2 90%となっている。また,胸部聴診で気管から主気管支にかけて呼吸音の減弱を認めている。気管吸引に関して望ましいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 閉鎖式システム
b. 吸引圧は30 kPa
c. カテーテルは16 Fr
d. 陰圧時間は10秒以内
e. 抵抗を感じるまでカテーテルを挿入する

a.○ 
b.× 成人は20kPa以下、小児は11~13kPa以下。
c.× Fr=ID(mm)×1.5以下。成人男性で8mmのチューブだとすれば12Fr。
d.○ 
e.× 深い吸引であっても抵抗を感じたら1㎝程度手前に引く
テキスト:気管吸引

56) 75歳の女性。氏名などの受け答えは可能である。橈骨動脈は触れるが微弱であり,呼吸数32回/分。座り込んでおり歩行はできない。START法(Simple Triage and Rapid Treatment)での区分ではどれに相当するか。
a. 赤
b. 黄
c. 緑
d. 黒
e. 区分不能である

a.○ 下図参照
b.× 
c.× 
d.× 
e.× 

https://bigfjbook.com/start/

57) 27歳の女性。自殺目的にて市販の風邪薬を大量服用した。直ちに発見され,服用から40分で救急車にて来院した。来院時身体所見:意識清明,呼吸数24 回/ 分,脈拍数88 回/ 分,血圧120/60mmHg,体温35.8℃,嘔吐痕はなく,過呼吸と耳鳴りを訴えていた。血液ガス分析(酸素マスク10 L/分): pH7.45,PaCO2 21.1 mmHg,PaO2288 mmHg,HCO3- 12.5 mmol/L,BE − 8.6mmol/L 。本症例に対して有効な治療はどれか。2つ選びなさい。
a. 催吐
b. 腸洗浄
c. 活性炭投与
d. 尿アルカリ化
e. ヨウ化プラリドキシム投与

a.× 
b.× 
c.○ 
d.○ 
e.× 
風邪薬、過換気、耳鳴りからアスピリン中毒。
重症例では意識障害や痙攣、死亡も。過換気、嘔吐、耳鳴りが古典的三徴だが、他に腹痛や高体温もみられる。
治療は大量輸液、尿アルカリ化(炭酸水素ナトリウムの投与)、活性炭投与。
胃内で薬物塊を作り、胃内に長時間留まる、内視鏡的に摘出することも有効。
重症例では透析も有効。
救急P530

58) ヘパリン起因性血小板減少症について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 治療にはプロタミンを投与する。
b. 臨床診断に4T’sスコアを用いる。
c. 抗血小板第4因子ヘパリン抗体が関与している。
d. ヘパリン初回投与後24時以内に発症することが多い。
e. ヘパリンでコーティングされたカテーテルでは発症しない。

a.× 抗トロンビン薬
b.○ 
c.○ 
d.× 約70%は投与開始5-10日後に発症
e.× ヘパリンコーティングされたカテーテル等、ごく少量でも発症する

http://www.hit-center.jp/
http://www.hit-center.jp/

救急P687

59) 正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. MRIにおける造影剤の副作用に腎性全身性線維症がある。
b. 造影剤の遅発性副作用は造影剤投与後1ヶ月以上になって初めて生じる。
c. 造影剤使用後に血液透析を行えば造影剤腎症を予防することが可能である。
d. 造影剤腎症とは造影剤投与後3日以内に腎機能が低下し他に原因がない場合をいう。
e. 造影剤投与後にアナフィラキシーショックとなった場合は輸液負荷とヒスタミンH1拮抗薬で対応する。

a.○ 
b.× 1時間~1週間。それ以前が急性副作用。1週間以降は「超遅発性副作用」
c.× 
d.○ 
e.× アドレナリン筋注
テキスト:ICUにおける画像診断

60) 意識レベルはGCS E4V3M5,瞳孔 右3.0 mm/ 左3.0 mm 。対光反射は両側とも迅速。左共同偏倚(偏視)あり。右上下肢の筋力低下がみられた。頭部単純CTにて左被殻出血の診断となり,経過観察目的にICUに入室した。入室時の意識レベルはGCS E2V3M4,瞳孔 右3.0 mm/左3.0 mm 。対光反射は両側とも鈍。左共同偏倚あり。右上下肢の筋力低下は変わらず。直ちに判断すべきことはどれか。2つ選びなさい。
a. 脳ヘルニア徴候である。
b. 気管挿管の適応である。
c. 抗てんかん薬を投与する。
d. Primary survey の途中で頭部CTを行う。
e. 収縮期血圧を160 mmHg 以上で管理する。

a.○ 
b.○ 
c.× 
d.× 
e.× 
経過中のGCSの2点以上の低下がある、片麻痺があるので切迫するD。挿管、脳外科call、SSの最初にCT。
片麻痺は脳ヘルニア徴候です。
JATEC第6版

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61) 熱傷患者の評価について正しいのはどれか。
a. 胸部単純X線が呼吸器合併症の予測に最も有用である。
b. 年齢,熱傷面積,気道熱傷は,予後推定因子に含まれる。
c. Lund and Browder法は最も簡便な熱傷面積算定法である。
d. 熱傷深度の推定方法としての肉眼的観察法は診断の正確度が高い。
e. 受傷早期の気管支ファイバースコープ所見から呼吸管理の程度を予想できる。

解答/解説

a.× 
b.○ 
c.× 詳細な判定には向くが複雑。
d.× レーザードプラー血流イメージング法が感度特異度共に高い。
e.× 気道熱傷の評価
テキスト:熱傷患者の評価
年齢,気道熱傷の有無,Ⅲ度熱傷面積,Burn Index,自殺企図による受傷,Revised Trauma Score,は,予後推定因子として推奨される。(熱傷ガイドライン)

62) レシピエントの周術期管理に関して誤っているのはどれか。
a. タクロリムスは一般的に移植直後から投与する。
b. タクロリムスは血中濃度トラフ値を測定し投与量を調整する。
c. ニューモシスチス肺炎に対するステロイドの投与は禁忌である。
d. 移植後1~ 6か月の時期に古典的な日和見感染に罹患する率が高くなる。
e. ミコフェノール酸モフェチルはカルシニューリン阻害薬およびコルチコステロイドとともに投与する。

a.× 
b.× 
c.○ 中等度~重症のPCPはステロイドが推奨。P861
d.× 
e.× 
テキスト:レシピエントの周術期管理

63) 国が備蓄している(国有)抗毒素はどれか。3つ選びなさい。
a. マムシ
b. 破傷風
c. ガス壊疽
d. ボツリヌス
e. ジフテリア

a.× 医療機関保有
b.× 医療機関保有
c.○ 
d.○ 
e.○ 

64) 62歳の男性。身長157 cm,体重92 kg 。敗血症で治療中に酸素化が不良となった。甲状オトガイ間距離は4横指(図)。Mallampatiテストの結果を示す。正しいのはどれか。

2020年度 集中治療専門医試験問題

a. Mallampati分類クラスIIである。
b. BURP 法は甲状軟骨を後方,下方,左方に圧迫する。
c. 意識下気管挿管を行う場合は外科的気道確保の準備は不要である。
d. 甲状オトガイ間距離4横指は気管挿管困難の予測因子に該当する。
e. JSA-AMAマスク換気および気管挿管が困難となる危険因子のうち4つを満たす。

a.× クラスⅢ。下図参照。
b.× B=backward(後方)、U=upward(頭側)、R=rightward(右)、P=pressure(圧迫)
c.× 必要
d.× 3横指以下が予測因子
e.○ 危険因子はマランパチ Ⅲ or Ⅳ、頚部放射線後、頚部腫瘤、男性、短い甲状オトガイ間距離、歯牙の存在、Body Mass Index 30 kg/m2以上、46 歳以上、アゴひげの存在、太い首、睡眠時無呼吸の診断、頚椎の不安定性や可動制限、下顎の前方移動制限。
日本麻酔科学会気道管理ガイドライン 2014

https://knight1112jp.at.webry.info/201212/article_82.html

65) 本学会の集中治療専門医について正しいのはどれか。2 つ選びなさい。
a. 更新には指定する学術集会の出席証明が必要である。
b. 専門医の育成にふさわしい施設を専門医研修施設として認定する。
c. 専門医研修施設は治療成績が優れていることを認定条件としている。
d. 専門医の存在はICU入室患者の予後を改善する高いエビデンスがある。
e. 専門医研修施設においては日替わりでも専門医1人以上がICUに勤務していることを認定条件としている。

a.○ 
b.○ 
c.× 
d.× 
e.× 

66) 55歳の男性。膵頭部がんに対して,全身麻酔下で膵頭十二指腸切除術が施行された。既往歴に,高血圧と脂質異常症があり,狭心症に対して3年前に右冠動脈にステントが留置されていた。術中推定出血量3,000 g 。術後ICUに入室した。全身麻酔からの覚醒は良好で,抜管し,フェイスマスク酸素5 L/分で投与している。ICU入室直後,患者は突然胸部の不快感を訴え,冷汗と顔面蒼白が観察された。脈拍数120回/分・整,血圧70/40 mmHg,心電図で,II,III,aVFに著明なST上昇を認めた。直ちに行う処置について正しいのはどれか。
a. 輸液負荷を行う。
b. ヘパリンを投与する。
c. 気管挿管を実施する。
d. アスピリンを投与する。
e. ニトログリセリンを投与する。

a.○ 右冠動脈の梗塞疑い。まずは前負荷。
b.× 
c.× 
d.× 
e.× 

67) 正常血圧虚血性急性腎不全の病態で正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 両側腎動脈狭窄が背景にある。
b. 輸入細動脈の適切な収縮が糸球体内圧の維持に重要である。
c. 腎血流自動調節の破綻を生じる病態として敗血症が挙げられる。
d. 腎血流自動調節曲線の左方移動が生じている場合に惹起される。
e. 平均血圧が100 mmHg以下になると糸球体濾過圧が低下し始める。

a.× なくても自動調節能が破綻して生じる
b.× 輸入細動脈の拡張と輸出細動脈の収縮が重要。
c.○ 
d.× 右方移動
e.○ 
テキスト:腎・基礎P431,432

68) 82歳の男性。呼吸不全に対し酸素投与を受けている。単純フェイスマスクで8 L/分の酸素が投与され,SpO2は89%を示している。正しいのはどれか。
a. 吸入酸素濃度は約70%である。
b. 酸素投与法は高流量システムである。
c. リザーバ付酸素マスクに変更し6 L/分の流量で開始する。
d. 吸入酸素濃度上昇のため酸素流量を12 L/分に増量する。
e. 経鼻高流量酸素療法に変更し閉口状態を保つよう指導する。

a.× 約55%
b.× リザーバーマスクまでは低流量システム。
c.× リザーバー6Lは約60%。そんなに変わらない。
d.× 8Lまで。
e.○ 

69) 35歳の女性。糖尿病,高血圧,全身性エリテマトーデス(SLE)の既往歴があり,ステロイドを内服中である。来院時の所見は,呼吸数24回/分,脈拍数120回/分, 血圧80/40 mmHg,SpO295%(酸素マスク6L/分),乳酸値5 mmol/Lであった。敗血症性ショックの診断で,血液培養採取後に広域抗菌薬が投与され,3 Lの生理食塩水による初期輸液蘇生,ノルアドレナリンと低用量バソプレシンの投与が開始された。ICU入室後,脈拍数120回/分,血圧90/45 mmHg,中心静脈圧4 mmHg,中心静脈血酸素飽和度55%,乳酸値4 mmol/L,ヘモグロビン9.0 g/dL であった。次に行う治療はどれか。2つ選びなさい。
a. 赤血球輸血
b. ドブタミン持続投与
c. アルブミン追加投与
d. ステロイド静脈内投与
e. アドレナリン持続投与

a.× 
b.× 
c.○ 
d.○ 
e.× 
敗血症性ショックでピトレシンまで入っている方。
輸液3Lでも反応性がなく、CVP(1点での絶対値での評価は望ましくないが、それにしても低い)から前負荷不足が予測される。貧血もないためアルブミンを投与。
CIRCIとしてステロイド投与。

70) 1次救命処置について正しいのはどれか。
a. 成人のBLSアルゴリズムに当てはまる年齢は15歳以上である。
b. 院内心停止における救命の連鎖の第一は救急対応システムへの出動要請である。
c. 自己心拍再開後,自発呼吸が回復しない場合には15回/分程度の換気を継続する。
d. AEDによる電気ショックの必要がないと判断された場合,直ちに人工呼吸を2回行う。
e. 応急手当指導員はバイスタンダーに消防指令センターから心肺蘇生を口頭指導できる。

a.× おおむね8歳以上
b.× 監視および予防
c.× 10回/分
d.× 直ちに胸骨圧迫を再開する。
e.○ 
AHA ガイドライン2015

71) 80歳の男性。1週間前からの腹痛を主訴に救急外来を受診。S状結腸の憩室穿孔による敗血症性ショックと診断され,緊急でハルトマン手術が施行された。術後4日目に昇圧薬を中止,術後7日目に人工呼吸器からの離脱を計画した。患者は意識清明で,バイタルサインは安定している。誤っているのはどれか。
a. SBTは最長でも120分までである。
b. 抜管前にカフリークテストを行うことが推奨される。
c. SBTには気道分泌物の量の評価項目も含まれる。
d. SBTに失敗した場合,SBT開始前の換気設定に戻す。
e. カフリークテスト陽性例には抜管4時間以上前のステロイド投与が推奨される。
* SBT:自発呼吸トライアル

a.× 
b.× 
c.○ SBTの後の気道リスク評価に含まれる
d.× 
e.× 

https://hibiseichou.com/soukibakkann/
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72) qSOFA基準に合致するものはどれか。2つ選びなさい。
a. 体温39℃
b. 意識の変容
c. 脈拍数90回/分
d. 呼吸数25回/分
e. 平均血圧65 mmHg

a.× 
b.○ 
c.× 
d.○ 
e.× 
qSOFAは、①呼吸数≧22/分、②精神状態の変化、③収縮期血圧≦100 mmHgのうち2つ以上を満たすことで評価。

73) 正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. Edelman の式は「血漿Na濃度=体内総Na /体内総水分量」である。
b. アルブミンが1.0 g/dL低下するとアニオンギャップは2.5 mmol/Lずつ上昇する。
c. スチュワートアプローチで用いるStrong ion gapは測定可能な陰イオンを反映している。
d. 代謝性アルカローシスの鑑別をする際には尿中Cl 濃度≦ 10〜15 mEq/L であればCl 反応性と判断する。
e. スチュワートアプローチでは,生理食塩水の投与に伴う代謝性アシドーシスを塩素イオンの上昇による強イオン差の低下と解釈する。

a.× 血漿Na濃度=体内総Na+K /体内総水分量
b.× アニオンギャップは低下する
c.× 測定不能な陰イオンを反映
d.○ 
e.○ 
テキスト:酸塩基平衡と水・電解質

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74) 2015年に発表されたPediatric Acute LungInjury Consensus Conference(PALICC)の小児ARDSの定義に関連する記述として正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 生後3日の児は除外できる。
b. 先天性心疾患は除外できる。
c. PaO2を測定しなくても診断できる。
d. ハイフロー酸素療法中のPaO2から診断できる。
e. FIO2 0.6,PaO2 80 mmHg,平均気道内圧12cmH2OのOxygenation indexは9である。

a.× 周産期関連心疾患は除外できる
b.× できない
c.○ OSIやSF比といったSpO2の指標も利用できる
d.× CPAP以上
e.○ Oxygenation index=平均気道内圧×FiO2÷PaO2×100=9
Pediatr Crit Care Med. 2015 Jun;16(5):428-39.

Pediatr Crit Care Med. 2015 Jun;16(5):428-39.

75) 栄養療法について誤っているのはどれか。
a. 重症患者では24~ 48時間以内の早期に経腸栄養を開始するのが望ましい。
b. 重症患者の血糖コントロールは140~ 180mg/dL で管理することが推奨される。
c. リフィーディング症候群のリスクがある患者には,25 kcal/kg/day程度から開始する。
d. 経静脈栄養は経腸栄養と比べて高血糖やリフィーディング症候群などの合併症を起こしやすい。
e. Modified NUTRIC score(IL-6を除いたもの)が5点以上の場合,積極的な栄養療法が望ましい。
* NUTRIC score:The Nutrition Risk in the Critically Ill score

a.× 
b.× 
c.○ 電解質やバイタルをモニタリングしながら少量から。
d.× 
e.× 
テキスト:栄養

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76) 65歳の男性。高血圧と陳旧性心筋梗塞の既往がある。起床後,急に呼吸困難を自覚したため救急要請して搬送された。意識昏迷,呼吸数38回/分, 脈拍数130回/分, 血圧204/130 mmHg,SpO2 84%(リザーバ付酸素マスク15 L/分),頸静脈怒張を認め,両側胸部に喘鳴を聴取するが,下腿の浮腫は認めない。気管挿管後の胸部単純X線上肺水腫を認めた。第一選択となる薬剤はどれか。
a. 硝酸薬
b. ドパミン
c. ミルリノン
d. ループ利尿薬
e. ノルアドレナリン

a.○ CS1の心不全。
b.× 
c.× 
d.× 
e.× 

77) 「エビデンスに基づく慢性腎臓病(CKD)診療ガイドライン2018」に記載されているのはどれか。3つ選びなさい。
a. 低出生体重児は危険因子として扱う。
b. 疼痛薬はアセトアミノフェンを推奨する。
c. 冠動脈疾患合併例での降圧薬はカルシウム拮抗薬を推奨する。
d. 造影剤腎症の発症リスクにカルシウム拮抗薬投与は含まれない。
e. 重症度は原因,糸球体濾過量,蛋白尿・アルブミン尿で評価する。

a.○ 低出生体重・早期産・胎児発育不全は将来のCKD発症と関連する
b.○ 
c.× 冠動脈疾患合併症例はACE 阻害薬,β遮断薬,ARB を推奨する
d.× 
e.○ 
エビデンスに基づく慢性腎臓病(CKD)診療ガイドライン2018

78) Rapid Response System(RRS)および,Rapid Response Team / Medical Emergency Team(RRT/MET)について正しいのはどれか。3 つ選びなさい。
a. MET の起動基準には呼吸数の異常がある。
b. RRTは要請を受けてから15分以内に出動する。
c. RRTの起動基準には主観的なものを含めてはならない。
d. RRSによって成人の病院死亡率と心停止発生数は減少しない。
e. 病院内心停止の多くは6~ 8時間前には呼吸や意識などに関わる何らかの異常がみられる。

a.○ 
b.○ 
c.× 主観的なものを含めて要請閾値を下げる
d.× 
e.○ それらに早期介入するシステム
テキスト:院内での集中治療医の役割

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79) 71歳の男性。食道癌手術後にICUに入室している。現在気管挿管され人工呼吸管理中である。プロポフォールとフェンタニルの持続投与を受けている。表情は眉が下がり,手指を完全に曲げている。呼吸器の気道内高圧アラームが鳴動している。呼びかけにより,かろうじてアイコンタクトをする。正しいのはどれか。
a. フェンタニルの減量を検討する。
b. プロポフォールの増量を検討する。
c. Behavioral Pain Scaleは6点である。
d. プロポフォールの代謝物には生理活性がある。
e. Richmond Agitation-Sedation Scaleは-2である。

a.× 鎮痛は不足している
b.× 鎮静は適切
c.× 8点
d.× 
e.○ 

https://fuseda.xsrv.jp/wp/archives/6223
https://hibiseichou.com/soukibakkann/

80) 成人の男性。身長168 cm,体重56 kg 。慢性閉塞性肺疾患の急性増悪で,気管挿管されて人工呼吸管理中である。フェンタニルとプロポフォールで鎮静されRichmond Agitation-Sedation Scale-3 。表情は少し険しい。人工呼吸器設定は自発呼吸モードで,プレッシャーサポート 8 cmH2O,PEEP 8 cmH2Oである。人工呼吸器のグラフィックモニターが図のような波形を示している。誤っているのはどれか。

2020年度 集中治療専門医試験問題

a. 呼吸筋疲労を起こす可能性がある。
b. 気管支拡張薬で改善することがある。
c. PEEPを上げると呼吸仕事量が軽減する可能性が大きい。
d. プレッシャーサポート圧を上げると改善する可能性が大きい。
e. 吸気終了設定を調整して吸気時間を短くすると改善する可能性がある。

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.× 
なんらかの原因でAutoPEEPがあり、呼気が吐ききれず呼気努力も要している波形。
プレッシャーサポートは関係ない。

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81) 膀胱留置カテーテル関連尿路感染症について正しいのはどれか。
a. 起因菌はグラム陰性球菌が多い。
b. 尿路感染症のうち20〜30%を占める。
c. 無症候性細菌尿であっても抗菌薬投与が推奨されている。
d. カテーテル留置期間が1日経過するごとに感染リスクが3〜7%上昇する。
e. 症候性尿路感染症では尿中細菌数の基準は108 CFU /mL以上である。
* CFU:Colony Forming Unit(コロニー形成単位)

a.× E.coli(グラム陰性桿菌)が38%
b.× 70-80%
c.× 耐性菌や抗菌薬過剰投与のリスクがあり避けるべき
d.○ 
e.× 103CFU/mL以上
テキストP661-663

82) 血液浄化療法を要する腎機能低下を伴う敗血症患者に対する初回抗菌薬量の設定に必要なのはどれか。2つ選びなさい。
a. 目標濃度
b. 分布容量
c. 消失半減期
d. 蛋白結合率
e. 全身クリアランス

a.○ 
b.○ 
c.× 
d.× 
e.× 
テキストP476図7

83) 75歳の男性。一昨日より嚥下困難と開口障害が出現し,昨日に近医を受診したが原因不明なため当院を紹介受診した。今朝から手のこわばりも次第に強くなってきた。身長165 cm,体重60kg 。呼吸数24回/分,脈拍数90回/分・整,血圧170/90 mmHg,体温36.5℃。診察を始めようとして身体に触れると,筋硬直が一層強くなった。この患者について適切な対応はどれか。2つ選びなさい。
a. 創傷の検索
b. 新鮮凍結血漿投与
c. 経鼻高流量酸素療法
d. 持続的血液透析濾過
e. 硫酸マグネシウム持続投与

a.○ 
b.× 
c.× 
d.× 
e.○ 
救急診療指針:破傷風
創のデブリ・洗浄、ペニシリンGとメトロニダゾール、破傷風ヒト免疫グロブリン。筋痙攣に対してジアゼパムやミダゾラム、筋弛緩等鎮静・呼吸管理。交感神経の興奮抑制にα,βブロッカー、モルヒネ、持続硬膜外麻酔、マグネシウム投与。

84) 65歳の男性。肺炎にてICU入室となり,入室3時間後より心房細動を認め,第3病日まで持続している。呼吸数14回/分,心拍数144回/分,血圧121/55 mmHg,体温37.4℃,SpO2 96%(酸素マスク 4 L/分),血中乳酸値1.1 mmol/L であり,心疾患,脳血管障害,高血圧,糖尿病の既往はない。胸部単純X線では肺うっ血は認めない。電気的もしくは薬物的除細動を検討している。正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. プロカインアミドが第一選択薬である。
b. 除細動後の抗凝固療法は不要である。
c. 除細動後の血栓塞栓合併の高リスク例である。
d. 3週間抗凝固療法を行った後に除細動を試みる。
e. 経食道心エコーにて左房内血栓がないことを確認した後に除細動を試みる。

a.× βブロッカー
b.× CHADs2スコアが2点以上は高リスク
c.○ 
d.○ 
e.○ 

不整脈薬物治療ガイドライン-日本循環器学会
不整脈薬物治療ガイドライン-日本循環器学会

85) 介入が必要と考えられる痛みの程度は次のうちどれか。2つ選びなさい。
a. Numeric Rating Scale:3
b. Behavioral Pain Scale:3
c. Visual Analogue Scale:3 cm
d. Critical Care Pain Observation Tool: 3
e. スコアが基準に満たなくても注意深い観察と評価により痛みの存在が否定できない場合

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.○ 

NRS https://www.researchgate.net/figure/Numerical-rating-Scale-NRS-14_fig2_322361419
BPS https://fuseda.xsrv.jp/wp/archives/6223
VAS https://operativeneurosurgery.com/doku.php?id=visual_analog_scale
<ナースビギンズ>初めての人が達人になれる使いこなし人工呼吸器(改訂第 2 版第 1 刷)

86) 1歳2か月の男児。体重8 kg 。特記する既往歴なし。昨日から39℃の発熱と嘔吐が数回あり,今日になってぐったりしてきたため来院した。痛み刺激で開眼,呼吸数40回/分,脈拍数184回/分,血圧68/42 mmHg,体温 39.2℃,SpO2 98%(room air)である。呼吸音は正常で心雑音は聴取しない。手足は冷たくcapillary refill timeは4秒で項部硬直があり大泉門は膨隆している。初期対応として正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 抗菌薬投与
b. 人工呼吸管理
c. ステロイド投与
d. アセトアミノフェン投与
e. 等張液160 mLの急速投与

a.○ 髄膜炎疑い、敗血症性ショック。
b.○ ショックであり挿管
c.× 2014髄膜炎ガイドラインでは小児の髄膜炎にステ
イドは推奨みたいですが…
d.× ルーチンでのアセトアミノフェンは不要
e.○ 10~20mL/kgずつボーラス投与
日本版敗血症診療ガイドライン 2020
2014髄膜炎ガイドライン

87) 80歳の男性。ST上昇型心筋梗塞と診断され,発症から8時間後に経皮的冠動脈インターベンションが行われICUへ入室し,抗血小板薬,スタチン,ACE阻害薬が開始されていた。第3病日の夕方,呼吸困難を訴えた。呼吸数24回/分,脈拍数110回/分( 洞調律), 血圧146/92 mmHg,SpO292%(鼻カニューレ酸素2 L/分)である。頸静脈は怒張し,両肺野にcoarse crackleを聴取する。心雑音を聴取しない。発汗を認めるが四肢冷感はない。投与する薬剤として正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. ドパミン
b. ドブタミン
c. β遮断薬
d. ループ利尿薬
e. ニトログリセリン
* ACE:Angiotensin converting enzyme

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.○ 
CS1の心不全、とすると利尿薬はfirstチョイスではないし迷ってしまうかも。
Nohria-Stevenson分類でうっ血所見+末梢循環不全はなし→血管拡張+利尿薬。

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

88) 体温測定で最も精度が悪いのはどれか。
a. 膀胱温
b. 食道温
c. 直腸温
d. 口腔温
e. 肺動脈血液温

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.× 
深部体温かどうか。

89) 肝硬変について正しいものはどれか。
a. 成因としてはアルコールが最も多い。
b. 画像診断として超音波による線維化の評価は未だ十分ではない。
c. 門脈圧亢進の成因として肝内血管抵抗増大による機序が考えられている。
d. 食道静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤結紮術は内視鏡的硬化術に比べ再発率が低い。
e. Child-Pughの分類は,脳症,腹水,血清ビリルビン値,プロトロンビン活性値の4項目の合計点で判定する。

a.× 肝炎ウイルス(B肝:12.4%,C肝:53.3%)
b.× エラストグラフィで可能になった
c.○ 
d.× EISの方が再発率と出血率が低い
e.× アルブミンも
テキスト:肝硬変

https://www.aska-pharma.co.jp/kansikkan/disease/13.html

90) 線溶抑制型DICの詳細について正しい組み合わせはどれか。
  症状 – D-dimer – PAI(plasminogen activator inhibitor)
a. 臓器症状 – 微増 – 著増
b. 臓器症状 – 著増 – 微増
c. 出血症状 – 微増 – 著増
d. 臓器症状 – 著増 – 著増
e. 出血症状 – 著増 – 微増

a.○ 
b.× 
c.× 
d.× 
e.× 
線溶抑制型(凝固優位型)は敗血症
テキストP574図1

91) 65歳の女性。発熱,悪寒を主訴に救急外来受診。既往歴は高血圧。噴門側胃切除,空腸再建,脾臓摘出術の手術歴があった。外来受診時所見は,意識清明, 呼吸数24回/分, 収縮期血圧170mmHg,体温39.7℃,SpO2 92%(room air)であった。一般病棟入院4時間後はトイレ歩行可能であったが,その3時間後に意識障害(意識レベルGCS E2V4M5),呼吸数22回/分,収縮期血圧80 mmHg,チアノーゼを呈しているところを発見され,ICU緊急入室となった。末梢血塗抹でHowell-Jolly 小体を認めた。正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 副腎出血を多く認める。
b. ARDS を高頻度に合併する。
c. 診断には造影CT が有用である。
d. エンピリックな抗菌薬投与が推奨される。
e. 莢膜を有する細菌感染により重篤化する。

解答/解説

a.○ 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.○ 
脾臓摘出後重症感染症(overwhelming postsplenectomy infection(OPSI))
http://hospi.sakura.ne.jp/wp/wp-content/themes/generalist/img/medical/jhn-cq-otowa-151029.pdf
https://www.takamatsu.jrc.or.jp/archives/010/201412/25%E6%AD%B3%E7%94%B7%E6%80%A7%20%E7%99%BA%E7%86%B1%E3%80%81%E8%A1%80%E5%9C%A7%E4%BD%8E%E4%B8%8B.pdf

92) 34歳の女性。バセドウ病の既往歴がある。昏睡状態で救急外来に搬送された。入院時所見は,呼吸数28 回/ 分,心拍数140 回/ 分,血圧90/45mmHg,体温40℃。嘔吐,振戦,発汗多量。初期治療として最も適切な薬物投与の順序はどれか。
a. プロピルチオウラシル→プロプラノロール→コレスチラミン→ヨウ素
b. コレスチラミン→ヨウ素→プロピルチオウラシル→プロプラノロール
c. プロプラノロール→ヨウ素→プロピルチオウラシル→コレスチラミン
d. ヨウ素→プロピルチオウラシル→コレスチラミン→プロプラノロール
e. ヨウ素→プロピルチオウラシル→プロプラノロール→コレスチラミン

a.○ 抗甲状腺薬(プロピルチオウラシルorチアマゾール)→1時間以上あけてヨウ素(重症例では同時でもOK)
b.× 
c.× 
d.× 
e.× 

甲状腺クリーゼ診療ガイドライン2017
甲状腺クリーゼ診療ガイドライン2017

テキストP606,607

93)削除問題

94) 次のカプノグラフ波形がみられる病態はどれか。

2020年度 集中治療専門医試験問題

a. 再呼吸
b. カフリーク
c. 気管支攣縮
d. チューブリーク
e. 調節換気中の自発呼吸出現

解答/解説

a.× 
b.× 
c.○ 気道閉塞を疑う
d.× 
e.× 
https://www.kango-roo.com/learning/3338/

95) 78歳の女性。既往に脳梗塞があり,血小板凝集抑制薬を服用中。変形性膝関節症に対して,左人工関節置換術が行われた。手術時間は2時間30分,出血量は800 mLで,赤血球濃厚液2単位が手術中に投与され,手術後追加で2単位の投与が指示された。病棟へ帰室後1時間ほどでSpO290%(酸素マスク5 L/分)と低酸素血症を示し,胸部X線で肺水腫様の両側浸潤影を認めた。脈拍数100回/分,血圧130/90 mmHg 。対処として適切なものを3つ選びなさい。
a. 利尿薬投与
b. 輸血の中止
c. 非侵襲的陽圧換気
d. アドレナリン0.3 mg 筋注
e. メチルプレドニゾロン1 g静注

a.○ 
b.○ 
c.○ 
d.× 
e.× 
TACOの症例。急性非代償性心不全に準じた治療。
テキストP881

96) ECMOにおける人工肺の異常を強く示唆する所見はどれか。3つ選びなさい。
a. 血尿
b. 入口圧上昇
c. 人工肺内血栓
d. 送血液のP/F比低下
e. 脱血液のPaCO2低下

a.× 
b.○ 
c.○ 
d.○ 
e.× 

97) 溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome:HUS)について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. STEC-HUS には抗菌療法が有効である。
b. STEC-HUS の50%に血性下痢を認める。
c. Atypical HUSには血漿交換療法が有効である。
d. STEC-HUSは小児の急性腎傷害の原因として少ない。
e. 補体制御異常によるHUSだけをAtypicalHUS と定義する。
* STEC-HUS:Shiga toxin-producing E. coli-HUS

a.× シガ毒素
b.× 70%
c.○ 
d.× 最も多い
e.○ 
テキストP462-464
aHUSにはエクリズマブ。

98) 59歳の男性。既往歴に特記事項なし。スキー中の転倒により腹部痛が発現し,徐々に増悪するため救急搬送された。来院時,意識清明で会話可能。呼吸数28 回/分,脈拍数103 回/分,血圧93/43 mmHg,SpO2 99%(酸素マスク6 L/分)であった。腹部造影CTを以下に示す。本症例について正しいのはどれか。

2020年度 集中治療専門医試験問題

a. 腹腔内出血を認める。
b. ただちに開腹術を行う。
c. 腹腔内圧は5 mmHg である。
d. 正中弓状靭帯症候群の合併が疑われる。
e. トレンデレンブルグ体位により症状が緩和される。

a.× extravasationはなし
b.× 待機的でOK。ステントでもOK。
c.× 
d.○ 
e.× 
日本腹部救急医学会雑誌 40(5):681〜684,2020

99) 日本の集中治療について正しいのはどれか。
a. ICU死亡率は15%未満である。
b. Tele-ICUは入院期間を増加させる。
c. Closed ICUとは専任看護師が常駐する施設である。
d. 集中治療専門医制度が発足したのは1970年代である。
e. 公的大病院ではICUベッド数は総ベッド数の5%程度である。
* Tele-ICU:Telemedicine ICU

a.○ 
b.× 入院期間,死亡率減少
c.× 集中治療専門医がICUに専従しており、全ての患者に指示書を書く絶対的な権限を持つICU。
d.× 1994年
e.× 1-2%
テキスト:集中治療/集中治療医学

100) 生後4 か月の男児。ファロー四徴症,肺動脈閉鎖のため生後1 か月時にBlalock-Taussig シャント術を受け,外来フォロー中である。顔色不良と意識障害を主訴に救急外来受診し,低酸素血症のため気管挿管を行った。身体所見:鎮静下で意識レベルGCS E1VTM1 。脈拍数150回/分, 血圧60/40 mmHg, 体温36.8℃,SpO2 68%である。この時の管理として誤っているのはどれか。
a. 輸液負荷を行う。
b. 昇圧薬を投与する。
c. 100%酸素投与を行う。
d. PaCO2を50 mmHg にする。
e. Blalock-Taussigシャント血流を確認する。

a.× 
b.× 
c.× 
d.○ 
e.× 
単心室型血行動態においてチアノーゼがあり肺血流の低下も疑われる。 過換気等で肺血流を維持し、輸液負荷や昇圧薬で体循環も成立させるのが妥当。

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この記事を書いた人

一児の父┃救急専門医┃集中治療専門医
自分の学習内容のアウトプット、講義資料の共有をしたい!
という理由でブログを開設しました。

Twitterやインスタでミニレクチャーをしています🔥
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