【2021年度】 集中治療専門医試験問題【解答&解説】

2021年度集中治療専門医試験の解答解説です。
問題と解答は学会誌から引用。

解説に関しては非公式です。
コメント欄でディスカッションできれば幸いです。
間違い、ご指摘等があれば教えてください。

※「テキスト」とは日本集中治療医学会専門医テキストのことです。
※上付き文字、下付き文字は少しずつ修正するのでご了承ください。

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1) 60歳代の男性。C型肝炎による肝硬変にて消化器内科で入退院を繰り返していた。数日前から左下肢の浮腫が出現し,下肢脱力症状を認め来院した。来院時,意識レベルは指示に正確に応答できるが,昼夜逆転の状態を認める。羽ばたき振戦はなく,瞳孔4 mm/4 mm,対光反射あり。呼吸数20/min,脈拍数90/min・整,血圧120/60mmHg,SpO2 96%(room air)である。血液生化学検査は,WBC 16,100/ μL,RBC 316×104/ μL,Hb 8.9 g/dL,血小板数2.3× 104/μL,BUN 38 mg/dL,Cr 1.6 mg/dL,Na 138mmol/L,K 5.1 mmol/L,Cl 100 mmol/L,NH3150 μg/dL,TP 6.0 g/dL,ALB 3.0 g/dL,AST 88 IU/L,ALT 60 IU/L,LDH 252 IU/L,CRP 8.4 mg/dL,T-Bil 2.1 mg/dL,D-Bil 1.1mg/dL である。血液凝固系検査は,PT活性36%,PT-INR 2.5,APTT 36.8 sec,フィブリノゲン 327 mg/dL,FDP 2.4 μg/mLである。腹部エコー検査は腹水を少量認める。この患者の肝性昏睡の昏睡度とChild-Pugh 分類との組み合わせで正しいのはどれか。
a. 肝性昏睡度 Ⅰ─ Child-Pugh B
b. 肝性昏睡度 Ⅰ─ Child-Pugh C
c. 肝性昏睡度 Ⅱ─ Child-Pugh A
d. 肝性昏睡度 Ⅱ─ Child-Pugh B
e. 肝性昏睡度 Ⅱ─ Child-Pugh C

2) 臓器移植法で規定している脳死判定を行う場合,脳死とされうる状態であることを判断することができるのはどれか。2つ選びなさい。
a. 原疾患が不明である。
b. 直腸温31℃である。
c. 縊頸による低酸素脳症である。
d. 心原性心停止による低酸素脳症である。
e. 原疾患治療による回復の可能性が5%未満である。

3) 54歳の男性。身長165 cm,体重60 kg 。心窩部痛を主訴に受診したところ,血液検査で膵逸脱酵素の上昇を認め,急性膵炎の診断で入院加療を行っていた。病棟で大量輸液と蛋白分解酵素阻害薬の投与が行われた。第2病日,脈拍数105/min,血圧85/55 mmHg,SpO2 95%(酸素マスク5 L/min)と徐々にSpO2低下,血圧低下を認めたため全身管理目的にICUに入室した。誤っているのはどれか。
a. NPPV を行う。
b. 大量輸液を継続する。
c. 血清アミラーゼ高値は急性膵炎の重症度判定基準に含まれる。
d. 予防的抗菌薬を発症72時間以内に投与する。
e. 経腸栄養を発症4〜72時間以内に開始する。
* NPPV:Noninvasive positive pressure Ventilation

4) 50歳の男性。前壁中隔領域のST上昇型心筋梗塞に対して前下行枝の血行再建術(primary PCI)が行われた。合併症はなく成功し,他の冠動脈に有意な狭窄はない。第4病日にショックに陥ったため,ICU へ入室した。身長170 cm,体重70 kg,意識レベルはGCS E2VTM4(RASS − 4),呼吸数18/min,脈拍数94/min(洞調律),血圧72/46 mmHg,SpO2 94%(FIO2 0.5,PEEP 10cmH2O,呼吸数18回)である。ドブタミンは12μg/kg/min,ノルアドレナリンは0.2μg/kg/minで投与している。経胸壁心エコー検査では,広範囲前壁中隔に壁運動の低下があり左室拡張末期径は55 mm,収縮末期径は48 mmである。心嚢液は少量,心室中隔穿孔と大動脈弁逆流は認めないが,軽度の僧帽弁逆流を認める。まず行うべき処置はどれか。2 つ選びなさい。

2021年度集中治療専門医試験

a. 大量輸液
b. 大動脈内バルーンパンピングの挿入
c. 経食道心エコー検査
d. 利尿薬投与
e. VA-ECMO の導入
* VA-ECMO:Veno arterial ECMO

5) 重症外傷患者において早期に認められることの多い血液凝固系検査の異常所見はどれか。
a. PT-INR > 1.5
b. APTT >基準値の2倍
c. 血小板数< 50,000/ μL
d. フィブリノゲン値< 150 mg/dL
e. 出血時間> 10分

6) 74歳の女性。既往歴に高血圧がある。単純性尿路感染症に伴う敗血症性ショックのため,ICUへ入室した。身長155 cm,体重60 kg,意識レベルはGCS E3V4M6で急激な悪化はない。呼吸数24/min,脈拍数90/min・整,血圧72/40 mmHg,SpO2 96%(経鼻酸素3 L)。ノルアドレナリンを0.3μg/kg/minで投与している。Lactate 2.5mmol/L,Cr 1.8 mg/dL(基礎値は1.0 mg/dL),BUN 45 mg/dL,K 5.7 mmol/L,ICU入室6時間後の尿量は240 mLである。心エコー検査では,左室拡張末期径54 mm,収縮末期径45 mm,中等度の僧帽弁逆流を認める。下大静脈径は25mm で呼吸性変動はない。行うべき治療で正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 腎代替療法
b. ドパミン投与
c. ドブタミン投与
d. ループ利尿薬投与
e. バソプレシン投与

7) 初発のクロストリジウム・ディフィシル感染症の重症度分類において重症の基準として正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. Cr>1.5 mg/dL
b. T-Bil > 2 mg/dL
c. WBC > 15,000/ μL
d. 巨大結腸症の発生
e. イレウスの発生

8) 腎機能低下時の薬剤投与について正しいのはどれか。
a. ミダゾラムは代謝されず尿中に排泄される。
b. フェンタニルはモルヒネより効果が遷延する。
c. セフトリアキソンは通常量の半量を初回投与する。
d. 血液濾過透析では分布容量の大きな薬剤は血中濃度がすぐに低下する。
e. テイコプラニン血中濃度測定は特定薬剤治療管理料加算の対象である。

9) 正しいのはどれか。
a. 我が国のICUにおけるカテーテル関連尿路感染症で最も多い起炎菌は黄色ブドウ球菌である。
b. 腎膿瘍では尿培養により起炎菌がほぼ100%同定できる。
c. 小児溶血性尿毒症症候群では積極的に止痢薬を投与する。
d. 非典型溶血性尿毒症症候群は補体制御機能異常を原因とするものに限定される。
e. 我が国における腎移植の半数は生体ドナーによるものである。

10) 患者の呼吸仕事量を構成する要素として誤っているのはどれか。
a. 流量
b. 気道内圧
c. 気道抵抗
d. 1回換気量
e. エラスタンス

11) 59歳の男性。急性腎盂腎炎による敗血症にてICUで加療中。第2病日より血圧低下,尿量減少を認める。意識清明,呼吸数20/min,心拍数110/min・整,血圧86/68 mmHg,体温37.9℃,SpO2 95%(酸素マスク6 L/min)。心エコー検査では左室駆出率70%,左室内径は正常範囲内,下大静脈は虚脱していない。生食水500 mLを15分で負荷した前後における心エコー図の左室流出路血流速度時間積分値(LVOT VTI)を示す。左室流出路内径は20 mmであった。輸液反応性の評価について正しいのはどれか。

2021年度集中治療専門医試験

a. 1回拍出量が6 mL増加している。
b. 1回拍出量が13 mL増加している。
c. 1回拍出量が20 mL増加している。
d. 1回拍出量が60 mL増加している。
e. 自発呼吸下であり評価できない。

12) 78歳の女性。身長145 cm,体重62 kg 。消化管出血と意識障害のためICUに入室し,従圧的換気10 cmH2O,PEEP 5 cmH2Oで人工呼吸を開始した後,右内頸静脈から中心静脈カテーテルを挿入した。数分後に,脈拍数78/min から123/min, 血圧120/74 mmHgから55/28 mmHg,SpO2 98%から83%に変化し,胸郭の動きに左右差が生じ,前胸部の聴診をすると右肺で呼吸音が聞こえなかった。直ちに行うべき対応はどれか。
a. 輸血
b. 右胸腔穿刺
c. PEEPの解除
d. アドレナリン筋肉注射
e. 胸部ポータブルX線撮影

13) 輸血関連循環過負荷について誤っているのはどれか。
a. 急性呼吸不全を認める。
b. 血圧低下を認める。
c. 胸部単純X線で肺水腫像を認める。
d. 頻脈を認める。
e. 輸血中・輸血後6時間以内に発症する。

14) 85歳の女性。脳梗塞の後遺症により要介護4に認定され,他院に入院中,内頸静脈経路で中心静脈カテーテルを挿入した。2日後より発熱,低酸素血症,胸水貯留を認めたため当院へ紹介となった。入院時, 脈拍数140/min, 血圧72/44mmHg,体温38.4℃,SpO2 85%(酸素マスク10 L/min)であった。胸部CTにてカテーテルの胸腔内逸脱と胸水を認めた。その後も呼吸不全が進行したが,家族が人工呼吸などの集中治療を希望されず死亡した。正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 医師法21条が適用される。
b. 家族に死亡時画像診断(autopsy imaging)または解剖の必要性を説明する。
c. 警察に届け出る義務がある。
d. 前医から医療事故調査・支援センターへ連絡する。
e. 診療行為関連死か否かの判断は病院管理者が行う。

15) 腎臓の解剖学的構造と機能について正しいのはどれか。2 つ選びなさい。
a. 糸球体から流出するのは輸出細静脈である。
b. 近位尿細管と遠位尿細管は集合管で合流する。
c. 糸球体濾過量は糸球体への灌流圧によって規定される。
d. 糸球体で濾過された重炭酸イオンの80〜90%は近位尿細管で再吸収される。
e. ビタミンDは腎臓で不活性化される。

16) 誤薬を防ぐための医薬品に関する「5つのR」に含まれないのはどれか。
a. 正しい薬剤(right drug)
b. 正しい用量(right dose)
c. 正しい目的(right purpose)
d. 正しい時間(right time)
e. 正しい患者(right patient)

17) せん妄について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. デクスメデトミジンによる鎮静はせん妄を誘発する。
b. ハロペリドールはせん妄の発症を予防する。
c. 緊急手術や外傷はせん妄発症の危険因子である。
d. 重症度が高い患者はせん妄発症の危険因子である。
e. RASS で−2の症例は0または− 1の症例に比べてせん妄評価ツールで陽性となる割合が大きい。
* RASS:Richmond Agitation-Sedation Scale

18) 2か月の乳児。心室中隔欠損に対してパッチ閉鎖術を施行し,術後2日目,人工呼吸管理中である。循環補助としてミルリノン,アドレナリンを使用し,鎮痛・鎮静管理のためにフェンタニル,ミダゾ ラムを持続投与中である。鎮静深度はRASS − 3,呼吸数30/min,心拍数120/min,血圧80/35 mmHg,体温36.5℃,SpO2 98%,平均中心静脈圧8 mmHgである。人工呼吸器設定はPC-SIMV でFIO2 0.40,PIP 20 cmH2O,PEEP 5cmH2O,呼吸数26/min で,動脈血ガス分析上は,pH 7.394,PaCO2 39.5 mmHg,PaO2 134 mmHgである。気管吸引をきっかけとして急激に心拍数160/min,血圧52/24 mmHg,SpO2 78%,平均中心静脈圧25 mmHg となった。この患者への対応について,正しいのはどれか。
a. 人工呼吸器の酸素濃度を0.21とする。
b. 鎮静深度RASS 0を目標とする。
c. PaCO2 50 mmHg を目標とする。
d. アドレナリンの投与を漸減中止する。
e. 一酸化窒素吸入療法を開始する。
* RASS:Richmond Agitation-Sedation Scale,PC-SIMV:Pressure control-synchronized IMV,PIP:Peak inspiratory pressure

19) 化学物質災害における個人防護具(PPE)で正しいのはどれか。
a. 化学物質による二次被害を予防するためにLevel A〜Dの4段階のPPE がある。
b. 化学物質災害におけるPPEでは自給式人工呼吸器(SCBA)は必須である。
c. 自給式人工呼吸器(SCBA)は防護服の外側に装着することが重要である。
d. 耐化学物質スーツはLevel Aの場合のみ使用する。
e. 手袋は外科用手袋を使用する。

20) 88歳の女性。動悸を主訴に救急要請した。病着時,意識清明,呼吸数36/min,脈拍数102/min,血圧102/78 mmHg,体温36.7℃,SpO2 91%(roomair)。頸静脈軽度怒張,下腿浮腫両側著明である。心エコー検査では,左室駆出率32%,左房・左室の拡大を認め,僧帽弁閉鎖不全は中等度,三尖弁閉鎖不全は軽度である。胸部単純X線では軽度肺うっ血および少量の右胸水貯留を認める。血液生化学検査では,WBC 8,400/ μL,Hb 10.1g/dL,BUN 26 mg/dL,Cr 0.78 mg/dL,Na136 mmol/L,K 4.5 mmol/L,Cl 100 mmol/L,NT-proBNP 8,990 pg/mL である。心電図を呈示する。酸素投与とともに次に行う治療法として正しいのはどれか。

2021年度集中治療専門医試験

a. ベラパミル
b. フロセミド
c. ジソピラミド
d. ジルチアゼム
e. 電気的除細動

21) 図のA,B,Cに当てはまるもので正しいのはどれか。

2021年度集中治療専門医試験

A B C
a.7 2 5
b.7 1 7
c.5 2 8
d.5 1 5
e.5 2 7

22) ICUにおける医療安全管理について述べられた「日本集中治療医学会専門医テキスト第3版」に記載されている内容として,誤っているのはどれか。
a. 中心静脈栄養製剤の調整は清潔環境で行う。
b. 重篤な医療過誤の大部分は薬剤関連過誤である。
c. 各電源の容量は30 A以上が望ましい。
d. 特別非常電源の停電時立ち上がり時間は30秒以内と規定されている。
e. 1床当たり吸引装置配管を2か所以上設定することを推奨する。

23) 自発覚醒トライアル(SAT)を開始可能な状態はどれか。3つ選びなさい。
a. RASS が−4~− 5
b. 昇圧薬を投与中
c. アルコール離脱症状のため鎮静薬を持続投与中
d. 新たな心筋虚血の徴候を認める
e. オピオイド鎮痛薬を投与中
* RASS:Richmond Agitation-Sedation Scale

24) 32歳の男性。数日前より発熱,嘔気および体重減少を認めていた。症状が改善しないため独歩で前医を受診した。初診時のバイタルサインは安定していたが突然頻脈となり,血圧が低下し意識障害を来たしたため集中治療目的に救急搬送された。来院時,意識レベルはJCS 100,呼吸数28/min,脈拍数178/min・不整,血圧78/52mmHg,体温38.6℃,SpO2 94%(room air)で,血液検査ではTSH< 0.004 μIU/mL,FT3 4.4pg/mL,FT4 2.12 ng/dL,抗TSH受容体抗体20.5 IU/L(基準値:2.0 IU/L 未満)であった。この症例について,次のうち正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 直ちに気管挿管を行う。
b. FT3・FT4 ともに上昇する。
c. 治療にはβ遮断薬とα遮断薬を併用する。
d. 治療にはヒドロコルチゾンを用いる。
e. アミオダロンは原因になりうる。

25) FOUR スコアについて誤っているのはどれか。
a. 言語評価は除外されている。
b. 人工呼吸患者では使用できない。
c. 見当識障害は評価しない。
d. 点数が多いほど軽症である。
e. 追視は評価項目である。

26) 「集中治療専門医」について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 慢性期の診断・治療にも精通している。
b. 特定の診療科(麻酔科と救急科)と協力しながら診療をすすめる。
c. 呼吸・循環のみに卓越した知識,技能,態度を習得している。
d. 救命のみならず患者の回復後の社会復帰にも関与する。
e. エビデンスを構築していく役割を担っている。

27) 新型コロナウイルス感染症が疑われる症例での二次救命処置について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 大人数の医療従事者で蘇生を行う。
b. 早期の気管挿管を考慮する。
c. 気管挿管施行時も胸骨圧迫を継続する。
d. 声門上器具の使用は推奨されない。
e. バッグ・バルブ・マスクにバクテリアフィルタを装着する。

28) 84 歳の女性。既往歴に認知症と高血圧がある。8 月某日,独居のため家族が自宅を訪れたところ寝室で動けなくなっていたため救急搬送された。なお寝室に冷房は使用されておらず,室内は蒸し暑かった。来院時,意識レベルはJCS 100,呼吸数32/min,脈拍数118/min,血圧78/34 mmHg,膀胱温40.2℃,SpO2 97%(room air)である。血液一般検査ではWBC 16,500/ μL,Hb 16.2 g/dL,Plt 10.2×104/μL,血液生化学検査ではBUN 68 mg/dL,Cr 3.8 mg/dL,CRP 12.6 mg/dL,血液凝固系検査ではPT-INR 1.3,FDP 39.8μg/mL である。心エコー検査では左室の壁運動は過収縮で下大静脈の虚脱を認める。正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 非労作性熱中症である。
b. 冷却した細胞外液補充液の急速投与を行う。
c. 労作性熱中症の方が非労作性熱中症よりも重症化する。
d. 深部体温が36℃台になるまで積極的な冷却処置を行う。
e. 後遺障害として中枢神経障害の発症頻度が最も多い。

29) 栄養療法について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 敗血症患者では消費エネルギー以上のエネルギーを投与する。
b. NUTRIスコアには血中interleukin-6濃度を含む。
c. 主観的包括的アセスメントでは既往歴を考慮する。
d. Albumin 値は低栄養の診断に有用である。
e. 重症患者のタンパク質投与の目標は1.2〜2.0g/kg/dayである。

30) 中毒物質と症状との組み合わせで正しいのはどれか。
a. コカイン ─ 縮瞳
b. 四環系抗うつ薬 ─ QT 延長
c. カフェイン ─ 縮瞳
d. リチウム ─ 高体温
e. 有機リン化合物 ─ 頻呼吸

31) 67歳の男性。3日前から徐々に進行する右下肢痛と全身倦怠感があり,呼吸困難が生じたため救急搬送された。病院到着時,意識レベルはGCSE1V2M4で,脈拍数137/min,血圧78/51 mmHg,SpO2測定不可(酸素マスク10 L/min)であり,右下腿は色調不良,腫脹,発赤,水疱形成,一部黒色壊死を認め,直ちに気管挿管した。動脈血ガス分析は,pH 7.39,PaCO2 19.8 mmHg,PaO2 124.3 mmHg,HCO3− 11.3 mmol/L,BE− 11.1 mmol/L,lactate 93.0 mg/dLである。血液生化学検査はCRP 28.58 mg/dL,CK 4,960 U/L である。ICU入室後もショックが遷延していた。翌日の血液培養のGram 染色標本を示す。この病態について誤っているのはどれか。

2021年度集中治療専門医試験

a. 早期のデブリードマン術を施行する。
b. ペニシリンGに対する感受性が良好である。
c. エンドトキシン吸着療法を行う。
d. 基礎疾患のない健常者でも発症しうる。
e. 急速に多臓器不全に進行し死亡率は高い。

32) 25歳の女性。自殺企図にて市販薬を大量摂取し,服用から約2時間で救急車にて搬送された。来院時の意識レベルはGCS E3V2M5で,不穏が強く意思疎通は困難であった。呼吸数30/min,脈拍数126/min,血圧156/90 mmHg,体温39.3℃で,瞳孔は散大し,口腔粘膜と皮膚は乾燥している。薬物起因物質想定のためのトキシドロームはどれか。
a. 交感神経作動薬
b. 抗コリン薬
c. コリン薬
d. オピオイド鎮痛薬
e. 鎮痛薬

33) 45歳の女性。身長160 cm,体重68 kg 。既往歴にヨード過敏症がある。重症肺炎による呼吸不全のためICUに入室した。図のような頻脈が10分程度持続している。血圧124/60 mmHg,入院時心エコー検査では左室駆出率60%,心嚢液はなく,弁膜症を認めない。カリウム4.5 mmol/L,マグネシウム2.0 mg/dLおよび血清総カルシウム値9.2 mg/dLである。次のうち投与すべき薬剤はどれか。3 つ選びなさい。

2021年度集中治療専門医試験

a. アデノシン三リン酸
b. ベラパミル
c. アミオダロン
d. ニフェカラント
e. プロカインアミド

35) 23歳の女性。知人に自殺をほのめかす電話をし,約2時間後に家を訪れた知人により倒れているところを発見された。患者のそばにはフェノバルビタールの空包が多量にあった。搬送時身体所見は意識レベル GCS E1V2M3,呼吸数10/min,脈拍数58/min,血圧100/50 mmHg,体温35.7℃,嘔吐痕が上衣にみられた。血液ガス分析(酸素マスク10 L/min)は,pH 7.192,PaCO2 55.5 mmHg,PaO2 172 mmHg,HCO3− 26.0 mmol/L,BE − 5.4mmol/L,lactate 4.3 mmol/L 。まず優先すべき処置・検査はどれか。
a. 尿アルカリ化
b. 胃洗浄
c. 頭部CT検査
d. 血液透析
e. 気管挿管

36) 78歳の男性。身長168 cm,体重66 kg 。既往歴として高血圧,心筋梗塞(左室駆出率 35%)がある。肝臓癌に対し拡大右葉切除(出血量1,000 g,無輸血,手術終了時Hb 8.0 g/dL)が行われ,手術室内で抜管し,ICUに入室した。ICU入室時,意識清明,呼吸数22/min,脈拍数98/min,血圧130/88 mmHg,SpO2 98%(酸素マスク5 L/min)であったが,入室4時間後に体動時痛から不穏となり,呼吸数36/min,脈拍数120/min,血圧160/98 mmHg,SpO2 92%で,中心静脈血酸素飽和度(ScvO2)は66%から43%に低下した。対応として正しいのはどれか。3 つ選びなさい。
a. 輸液負荷を行う。
b. 赤血球輸血を行う。
c. 新鮮凍結血漿輸血を行う。
d. 鎮痛薬を投与する。
e. 酸素マスクの流量を上げる。

37) 小児・乳児の一次救命処置について誤っているのはどれか。
a. 小児・乳児の脈拍の確認は上腕動脈で行う。
b. 乳児の意識の確認は足の裏を刺激して行う。
c. 胸骨圧迫のペースは100〜120/min である。
d. 胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は医療従事者2名以上では15:2である。
e. 補助呼吸回数は10〜12/min である。

38) 集中治療提供体制について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 米国では全ICUの約1/3で集中治療専門医が働いている。
b. 我が国の大病院のICUベッド数は総ベッド数の約5%である。
c. Open ICUをclosed ICUに体制を変えてもICU入室患者の重症度は変わらない。
d. Closed ICUはopen ICUに比べて死亡率は変わらない。
e. 我が国の集中治療専門医は約2,000人である。

39) てんかん重積状態について誤っているのはどれか。
a. けいれん性に対するジアゼパムは初発から2時間以上投与が遅れると有効性が半減する。
b. 非けいれん性はICUで昏睡を呈する患者の80%に認められる。
c. 発症から遅くとも30分までにけいれんを止める。
d. 連続脳波の記録時間は24時間以上が推奨される。
e. 成人で初発・誘因がないてんかん発作の5年以内の再発率は約35%である。

40) 65歳の男性。既往歴に糖尿病があり,右上下肢脱力と構音障害を認めたため救急搬送となった。来院時,脈拍数92/min,血圧182/95 mmHgであり,症状は30分持続したが,すでに消失している。頭部MRI検査にて異常所見は認めず,心エコー検査でも異常はない。正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 降圧薬のみ処方して帰宅とする。
b. ABCD2スコアは4点である。
c. 翌日も頭部MRIによる画像検査を行う。
d. アスピリンとクロピドグレルを処方する。
e. アルテプラーゼ静注療法を行う。

41) 自己心拍再開(ROSC)後の集中治療で正しいのはどれか。2 つ選びなさい。
a. 昏睡状態が続く場合は冠動脈造影の適応から外れる。
b. 非痙攣性てんかん重積発作の診断には持続脳波モニタリングが有用である。
c. 低PaCO2(30〜35 mmHg)を目標とした人工呼吸管理を行う。
d. GCS合計点8以下では体温管理療法を行う。
e. 抗てんかん薬を予防的に投与する。

42) 4歳の女児。身長100 cm,体重15 kg 。既往歴に特記事項はない。肺炎のため内径5.5 mmのカフなし気管チューブを挿管し,20 cmH2Oの気道内圧でリークを認めた。5日間人工呼吸管理を行ったが,本日抜管し鼻カニューレから酸素1 L/minで投与している。診察時,自発的に開眼したが,会話は混乱しており,疼痛部へ手足をもっていくが指示に従うことができない。呼吸数42/min,脈拍数110/min,血圧84/40 mmHgで,吸気時に軽度の肋間陥凹を認める。正しいのはどれか。
a. 呼吸数は正常範囲内である。
b. 脈拍数は正常範囲内である。
c. 低血圧である。
d. GCS E4V4M6である。
e. 気道は年齢相応よりも細い。

43) 78歳の女性。39℃台の発熱と腰痛とを主訴に救急搬送された。意識清明,呼吸数28/min,脈拍数118/min, 血圧132/78 mmHg,SpO2 97 %(room air)である。血液一般検査ではWBC21,500/ μL,Hb 13.8 g/dL,Plt 6.2× 104/ μL,血液生化学検査ではCRP 21.6 mg/dL,血液凝固系検査ではPT-INR 1.4,FDP 45.8 μg/mL,アンチトロンビン活性48%だった。尿検査では膿尿,腹部単純CTでは左尿管結石による水腎症と腎周囲の脂肪織濃度上昇を認めた。正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 急性期DIC診断基準で6点である。
b. 尿管ステント留置を行う。
c. アンチトロンビン補充療法を行う。
d. 濃厚血小板を補充する。
e. グラム陰性桿菌をカバーする抗菌薬投与が必要である。

44) 侵襲と生体反応について正しいのはどれか。
a. PRRs にはNOD-like receptorが含まれる。
b. DAMPsはPRRsで認識される外因性分子パターンである。
c. LPS はPRRs の1つであるRIG-I-like receptorで認識される。
d. ノルアドレナリンは侵襲に対する視床下部-下垂体-副腎系反応により分泌される。
e. 重症病態関連コルチコステロイド不全の診断は副腎皮質刺激ホルモン刺激試験を用いる。
* PRRs:Pattern recognition receptors,DAMPs:Damage associated molecularpatterns,LPS:Lipopolysaccharide

45) 法的脳死判定について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 医療機関内にある倫理委員会で承認を得る。
b. 必ず間隔を3時間以上あけて2度の脳死判定を行う。
c. 集中治療専門医は脳死判定医の資格を有する。
d. 脳波検査は15分以上の連続記録を行う。
e. 自発呼吸消失の確認中に血圧低下がみられる場合無呼吸テストを中止する。

46) 1歳の男児。体重10 kg 。ウイルス性心筋炎による心原性ショックのため,血管作動薬による治療と人工呼吸管理とを行った。心エコー検査で左室駆出率が40%台まで回復したため抜管した。抜管後,吸気性喘鳴と中等度の陥没呼吸を認め啼泣で悪化する。手足は冷たく,脈は弱い。鼻カニューレ酸素 2 L/min,ドブタミン3 μg/kg/min,デクスメデトミジン0.2μg/kg/hrを投与しており,呼吸数32/min,脈拍数146/min,血圧80/52 mmHg,体温36.9℃,SpO2 98%である。パルスオキシメータの波形を図に示す。この患者に対する治療として正しいのはどれか。3つ選びなさい。

2021年度集中治療専門医試験

a. アドレナリンの吸入を行う。
b. 鼻カニューレの酸素流量を4 L/minに増量する。
c. ドブタミンを5 μg/kg/min に増量する。
d. 乳酸リンゲル液200 mL を20分で投与する。
e. デクスメデトミジンを0.7μg/kg/hrに増量する。

47) 60歳の女性。身長150 cm,体重90 kg(理想体重45 kg)。腎盂腎炎の敗血症でICUに入室した。入室前約10日間にわたり経口摂取が不良であったが,炎症が治まってきたので栄養療法を開始している。徐々にエネルギー投与量を増加させるにあたり,目標量として正しいのはどれか。
a. 700 kcal/day
b. 1,100 kcal/day
c. 1,500 kcal/day
d. 1,900 kcal/day
e. 2,300 kcal/day

48) 米国 Center for Disease Control and Preventionが提唱する“耐性菌感染予防のための12のステップ”に含まれる項目について,正しいのはどれか。3 つ選びなさい。
a. カルバペネム系抗菌薬の処方制限を理解する。
b. 地域の耐性菌情報を利用する。
c. 感染症専門医に相談する。
d. ワクチン接種を行う。
e. 患者を隔離する。

49) 65歳の男性。仕事中に誤って高所から転落した。ICU入室後10日目となるが,重症頭部外傷により大脳機能,脳幹機能に重篤な後遺症があり,人工呼吸管理中である。妻から「重篤な後遺症があるのならば治療をすべて中止してほしい」との申し出があった。これを受けて多職種カンファレンスを開きJonsenの臨床倫理四分割法を用いて分析することとした。誤っているのはどれか。
a. 臨床倫理の四分割表の構成要素には患者個人の周囲の状況が含まれる。
b. 臨床倫理の四分割表の構成要素に医療倫理の四原則が関与する。
c. 倫理的問題解決のためには医療倫理の四原則を満たすことが肝要である。
d. 医療倫理の四原則では絶対的重要度を考慮することが肝要である。
e. 医療倫理の四原則には無危害が含まれる。

50) 50歳の女性。糖尿病に対してナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)阻害薬を内服中で,7日前より食事摂取量の低下,意識障害,複数回の嘔吐,腹痛,頻呼吸および低血圧を認めICUに入室した。入院前の腎機能は正常である。ICU入室時の意識レベルはGCS E2V3M5で,呼吸数40/min,脈拍数126/min・整,血圧80/50mmHg,体温37.2℃,SpO2 97%(酸素マスク5 L/min)である。動脈血ガス分析(リザーバ付酸素マスク5 L/min)はpH 6.90,HCO3− 6.6 mmol/L,BE − 16.0 mmol/L,lactate 2.4 mmol/L,血糖164 mg/dLである。この病態について考えられるのはどれか。3つ選びなさい。
a. 尿中ケトン体:陽性
b. アニオンギャップ:開大
c. 血清クレアチニン値:上昇
d. 血中ヒドロキシ酪酸:上昇
e. 血中プロカルシトニン値:上昇

51) 4歳の女児。身長95 cm,体重16 kg 。生来健康であったが,発熱を主訴に救急外来を受診した。肺炎に対して気管挿管による人工呼吸管理に移行することが決定された。この患児の人工呼吸管理について誤っているのはどれか。
a. 内径4.5 mmのカフ付き気管チューブを用いる。
b. 1回換気量を120 mL に設定する。
c. 気道加湿を維持する。
d. プロポフォールを持続静注する。
e. 90%台前半のSpO2を許容する。

52) Rapid response systemに関して正しいのはどれか。
a. コールに対するnegative feedbackを行う。
b. 主観的な起動基準は除く。
c. 主治医の了解を得て要請する。
d. 心肺停止症例の約20%で予兆がある。
e. コンポーネントに指揮調整要素が含まれる。

53) 30歳の女性。身長155 cm,体重23.2 kg(BMI 9.6)。15歳時に神経性食思不振症を発症した。今回,低血糖による意識消失のため緊急入院となった。入院後,経静脈栄養と経口栄養を開始したところ,AST,ALTの上昇,PTの延長を認める。さらに体液貯留傾向となり,両側の胸水貯留が原因と思われる呼吸困難を来たした。胸腔穿刺を施行したところ,急激な呼吸状態の悪化を来たしたためICUに入室となり,気管挿管し人工呼吸管理を開始した。この症例について誤っているのはどれか。
a. 低リン血症がみられる。
b. 栄養開始前にビタミンB1を投与する。
c. 5〜10 kcal/kg/dayから栄養療法を開始する。
d. 酸素解離曲線が右方移動する。
e. 胸腔ドレナージは排液量を1〜1.5 Lまでにとどめる。

54) 50歳代の男性。2月某日,午前4時,飲酒後に路上で倒れているところを発見され,呼びかけに応答がないため救急搬送された。救急隊現場到着時,心停止を確認し,体温測定不能および全身に冷感を認めた。病院到着時も心電図上で心静止であり,膀胱温25.8℃である。既往歴は不明である。なおECMO施行は困難な状況である。蘇生処置中止の判断理由として妥当なのはどれか。2つ選びなさい。
a. 40分間の蘇生処置を行っても反応がないため。
b. 体温が32〜35℃に復温するまで蘇生処置を継続したが反応がないため。
c. 両側瞳孔が散大したまま改善がないため。
d. 血清カリウム値が7 mmol/L を超えているため。
e. 口と鼻が完全に氷で覆われているため。

55) 35歳の男性。バイクの自損転倒事故で救急搬送された。来院時身体所見は,やや不穏,呼吸数32/min,脈拍数128/min,血圧77/40 mmHg,体温35.2℃で,全身に冷汗湿潤が強く,腹痛を訴えている。Focused assessment with sonographyfor trauma(FAST)で腹腔内にecho free spaceがあり,初期輸液療法を2 L 施行したが,呼吸数34/min,脈拍数124/min,血圧74/38 mmHg である。血液ガス分析(酸素マスク10 L/min)は,pH 7.34,PaCO2 23.2 mmHg,PaO2 191 mmHg,HCO3− 13.2 mmol/L,BE − 9.0 mmol/Lである。Hb 10.6 g/dL 。本症例で誤っているのはどれか。
a. 緊急手術でdamage control surgery を行う。
b. 外傷死の3徴に陥っている。
c. 腹部造影CT検査を行う。
d. トラネキサム酸を投与する。
e. 新鮮凍結血漿を輸血する。

56) 85歳の女性。既往歴として気管支喘息がある。午前2時頃,気管支喘息発作30分後に胸痛を自覚し,改善を認めなかったため同日午後に施設より搬送された。来院時所見は意識清明,脈拍数108/min・整,血圧96/54 mmHg,SpO2(roomair)88%である。胸部聴診所見でwheezing を聴取したが,明らかな心雑音は聴取していない。下腿浮腫や腫脹は認めなかった。血液生化学検査はWBC 10,200/μL, トロポニンTおよびCK-MBの上昇は認めなかった。診断として可能性が高いものはどれか。
a. 急性心膜炎
b. 急性心筋梗塞
c. たこつぼ心筋症
d. 急性大動脈解離
e. 急性肺血栓塞栓症

57) 新型コロナウイルス感染症のpolymerase chainreaction 検査について,罹患率10%,感度70%,特異度99%とした際,陽性的中率に最も近いのはどれか。
a. 60%
b. 70%
c. 80%
d. 90%
e. 99%

58) 70歳の男性。既往歴は高血圧,悪性リンパ腫(R-CHOP療法を6クール後)で,胆石に対して腹腔鏡下胆のう摘出術が施行された。術後,鎮痛が不十分で不穏状態となった。鎮痛薬投与で痛みは改善したが,その後SpO2の低下がみられ呼吸困難を訴え始めた。呼吸数25/min,脈拍数110/min,血圧190/95 mmHg,SpO2 90%で,胸部単純X線上では両側肺野のうっ血を認める。術中の水分バランスは+ 300 mL である。直ちに行う治療として最も適切なものはどれか。2つ選びなさい。
a. 気管挿管
b. 血管拡張薬
c. β遮断薬
d. NPPV
e. 利尿薬
* NPPV:Noninvasive positive pressure Ventilation

59) 感染性心内膜炎の起因菌として発症頻度が高いのはどれか。3つ選びなさい。
a. ブドウ球菌
b. セラチア菌
c. レンサ球菌
d. 緑膿菌
e. 腸球菌

60) 経皮的補助人工心臓〔percutaneous ventricularassist device(IMPELLAⓇ)〕の合併症として誤っているのはどれか。
a. 溶血
b. 空気塞栓
c. 下肢虚血
d. 動脈損傷
e. ポンプ位置不良による循環不全

61) 28歳の男性。前十字靭帯損傷に対して再建術を全身麻酔下で施行した。気管挿管時に十分に開口を得ることができなかったため,声門上器具を挿入して手術を開始した。手術中,脈拍数130/min, 血圧174/80 mmHg, 体温38.6 ℃,SpO2 100%,ETCO2 57 mmHg となり,心電図上で心室性期外収縮の出現を認めたため,投与していたセボフルランの濃度を1.5%から2%に,人工呼吸器の呼吸数の設定を14回から20回に変更した。15分後,脈拍数135/min,血圧180/88mmHg,体温39.2℃,SpO2 100%,ETCO258 mmHg,となった。正しい処置はどれか。3つ選びなさい。
a. 尿の色のチェック
b. 血液ガス分析
c. セボフルラン濃度を2.5%に変更
d. カルシウム拮抗薬の投与
e. ダントロレンの投与

62) 65歳の女性。細菌性肺炎による呼吸不全のため人工呼吸管理中である。内径7.0 mmの気管チューブが21 cmで固定されている。現在の人工呼吸器設定は従圧的換気で,FIO2 0.4,吸気圧18 cmH2O,吸気時間1.2 sec,PEEP 8 cmH2O,呼吸数15/minである。正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 定期的に1時間ごとの気管吸引を行った。
b. 12 Frの吸引カテーテルを使用した。
c. 18 kPa の吸引圧で吸引した。
d. 一連の吸引操作を12秒で完了した。
e. 閉鎖式吸引システムを使用した。

63) 災害時の対応として誤っているのはどれか。
a. ICU 病床をどのように増床するかを事前に計画しておく必要がある。
b. 自施設の被災による病院機能をEMIS に入力する。
c. 災害拠点病院は各都道府県に1か所整備される。
d. 災害拠点病院には通常の2倍までの入院患者対応が求められる。
e. 大規模災害発生時にはICU入退室基準の変更が必要となることがある。
* EMIS:Emergency medical informationsystem

64) 34歳の女性。妊娠39週に院内で心肺停止となり心肺蘇生を開始した。この患者の心肺蘇生について正しいのはどれか。3 つ選びなさい。
a. 硫酸マグネシウムの投与を行う。
b. 同年代の非妊娠女性に比べて挿管が難しい。
c. 人手が足りれば用手的子宮左方移動を行う。
d. 可及的速やかに死戦期帝王切開の準備を開始する。
e. 胎児への影響を考慮してアドレナリン投与の時間を遅らせる。

65) 人工呼吸器の制御内容で誤っているのはどれか。

2021年度集中治療専門医試験

選択肢換気モードControl Trigger Limit Cycle
* VC:Volumecontrol,PC:Pressurecontrol,PSV:Pressure support ventilation

66) 68歳の男性。レジオネラ肺炎による呼吸不全でICUに入室し,気管挿管,人工呼吸管理となった。PEEP 8 cmH2OでP/F比120である。胸部単純X線では両側のスリガラス影を認める。基礎疾患はなく,心エコー検査では心不全や輸液過剰はない。誤っているのはどれか。
a. 1回換気量制限(8 mL/予測体重 kg)
b. プラトー圧制限(30 cmH2O以下)
c. ステロイド短期大量療法
d. 腹臥位療法
e. 筋弛緩薬投与

67) Auto PEEP の対処法のうち正しいのはどれか。
a. 1回換気量を増やす。
b. 呼気時間を長くする。
c. 呼吸数を増やす。
d. 吸気流量を減らす。
e. PEEP を下げる。

68) 80歳代の男性。腹部大動脈瘤破裂の緊急手術後,不可逆的な全脳機能不全と診断された。70歳代の妻に経過を説明したところ,患者本人自筆の延命拒否の書面を示し延命措置の終了(withdrawal)を希望した。本学会の「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン」に基づく延命措置終了について正しいのはどれか。
a. 延命措置の終了には医師2名による承認が必要である。
b. 患者本人の事前指示を尊重して延命措置を終了することができる。
c. 救命のための緊急手術では延命措置を終了することはできない。
d. 延命措置の差し控え(withhold)を提案することができない。
e. 延命措置を終了するには院内の倫理委員会の承認が必要である。

69) 72歳の女性。既往歴に高血圧,糖尿病がある。くも膜下出血を発症し,脳動脈クリッピング術が施行された。クリッピング手術前の意識レベルはGCS 8点であり,覚醒不良であったため,術後も人工呼吸管理を継続し,術中からセファゾリン2 g/day を継続投与していた。入院7日目に体温が39.2℃に上昇し,呼吸数34/min,脈拍数136/min,血圧65/35 mmHgとなり,急速輸液を行った。Lactateは3.5 mmol/Lであった。耐性菌のリスク要因として正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. セファゾリンを投与している。
b. 敗血症性ショックである。
c. 入院期間が7日である。
d. 糖尿病の既往歴がある。
e. 意識障害がある。

70) 72歳の女性。身長150 cm,体重34 kg 。気管支鏡検査の前処置としてミダゾラム1 mg,フェンタニル50μgの静注および1%リドカイン30 mLで声門から気管支の表面麻酔を行った。検査を進めようとしたところ,意識消失し触診上で頸動脈の拍動がきわめて弱くかつ徐拍であった。心電図は心室性期外収縮が多発していた。気道確保を試みているところで全身性間代性けいれんを生じた。心肺蘇生と並行して考慮すべき初期対応として正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. ナロキソン静注
b. 脂肪乳剤静注
c. フルマゼニル静注
d. リドカイン静注
e. VA-ECMO の準備
* VA-ECMO:Veno arterial ECMO

71) Fontan型手術の周術期管理について正しいのはどれか。
a. 術後は容量負荷により静脈圧を維持する。
b. 呼吸性アシドーシスを容認する。
c. 周術期においては高肺動脈圧の管理が必要である。
d. 術後は深鎮静下の人工呼吸管理を継続する。
e. 術後は抜管まで10 cmH2O以上のPEEP を保つ。

72) 40歳の男性。うつ病で通院中。自殺を図り一命は取り留めたが,1週間後に低酸素脳症による「脳死とされうる状態」と診断された。図に示すような「臓器提供意思表示カード」を所持していた。妻は慢性腎臓病により6年来の血液透析を行っており,腎臓移植の希望登録をしている。正しいのはどれか。3 つ選びなさい。

2021年度集中治療専門医試験

a. 妻に優先的に移植される。
b. 警察による検視が必要である。
c. 妻以外の親族を探す必要がある。
d. 20年以上前の署名であり無効である。
e. 臓器提供にはかかりつけの精神科医の判断が必要である。

74) WHOが提示している医療現場で手指衛生を行うべき5つのタイミングとして,誤っているのはどれか。
a. 患者に触れる前
b. 清潔・無菌操作をする前
c. 患者周辺の物品に触れる前
d. 体液に曝露されている可能性のある場合
e. 患者に触れた後

75) 心タンポナーデにおいて認められる心エコー検査所見として正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 振り子様運動
b. 拡張期右房虚脱
c. 収縮期右室虚脱
d. 心室中隔の奇異性運動
e. 心膜腔内のecho free space

76) 55歳の男性。身長170 cm,体重85 kg 。慢性アルコール中毒で,急性膵炎に続く急性呼吸不全のためICUに入室している。人工呼吸管理中で,呼吸数16/min, 脈拍数74/min, 血圧114/77mmHg,体温37.7℃である。人工呼吸器の設定は1回換気量660 mL,PEEP 12 cmH ₂O,FIO ₂0.5の従量的換気(A/Cモード)で,最高気道内圧は29 cmH ₂ Oである。動脈血ガス分析は,pH7.31,PaCO2 56 mmHg,PaO2 66 mmHg 。胸部単純X線では両側びまん性浸潤影を示している。適切な対応はどれか。
a. PEEPを下げる。
b. FIO ₂を上げる。
c. 設定呼吸数を増やす。
d. 1回換気量を下げる。
e. 従圧的換気に変更する。

77) 脳循環代謝機能のモニタリングについて誤っているのはどれか。
a. 脳血流の自己調節範囲では脳灌流圧が増加すると脳血管抵抗も増加する。
b. PaCO2が40 mmHgから20 mmHgに減少すると脳血流量は半分になる。
c. 頭蓋内圧は22 mmHg 以上で治療介入する。
d. 脳灌流圧の維持目標は60〜70 mmHgである。
e. 脳血液量のうち静脈血は25%である。

78) 43歳の女性。1週間前から持続する動悸と頭痛を主訴に内科外来を受診したが,待合室で錯乱状態となり救急外来へ移送された。身体所見:脈拍数148/min・整,血圧232/137 mmHg 。全身検索を行ったところ,左副腎に7 cm大の腫瘍性病変を認めた。血中カテコラミンは,アドレナリン52 pg/mL (基準値:100 pg/mL 以下),ノルアドレナリン14,399 pg/mL(基準値:50〜500pg/mL),尿中バニリルマンデル酸やノルメタネフリンは異常高値であった。本疾患の診断と治療として,誤っているのはどれか。
a. クリーゼを来たしている。
b. 造影CT検査には慎重を要する。
c. 腫瘍摘出術を行う。
d. ステロイドを投与する。
e. ランジオロールとフェントラミンとを併用して治療を開始する。

79) 図に示されている動脈圧モニタ波形から判断される病態のうち適切なのはどれか。

2021年度集中治療専門医試験

a. 高心拍出状態
b. 中心静脈圧上昇
c. 1回拍出量低下
d. 大動脈閉鎖不全
e. 末梢血管抵抗低下

80) 5歳の男児。脳腫瘍に対する化学療法目的で入院中に意識障害の進行と頻呼吸とを認め,ICUに入室した。ICU入室後気管挿管を行い,挿管直後の動脈血ガス分析所見を表に示す(単位は略す)。この患者の酸塩基平衡状態について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
pH 7.05
PaCO2 29.9
PO2 278.3
HCO3− 9
Na 117
Cl 97
a. 呼吸性アシドーシスを呈している。
b. アニオンギャップは上昇している。
c. Strong ion differenceは低下している。
d. 乳酸アシドーシスの可能性は低い。
e. 重炭酸ナトリウムの投与は禁忌である。

81) 非透析慢性腎臓病(CKD)について正しいのはどれか。
a. 糸球体濾過量45 mL/min/1.73m2以下が診断基準に含まれる。
b. 腎障害が1か月継続していれば診断できる。
c. CKD を合併していてもAKIと診断できる。
d. エリスロポエチンの活性化が障害される。
e. アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬により悪化する。
* AKI:Acute kidney injury

82) 両肺に広範な浸潤影,スリガラス影を呈する疾患の鑑別目的で,気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。BAL中の細胞分画は,総細胞数2.5×105/mL,マクロファージ 15%,好中球 62%,リンパ球15%,好酸球8%である。この結果から最も可能性の低い疾患はどれか。
a. 細菌性肺炎
b. 薬剤性肺炎
c. 過敏性肺炎
d. 特発性肺線維症急性増悪
e. ARDS

83) 患者の血液一般検査のデータが,WBC 6,600/μL,Hb 13.3 g/dL,Plt 10. 2×104/μL,Na 135 mmol/L,K 3.5 mmol/L,Cl 101 mmol/L,AST 21 IU/L,ALT 30 IU/L,BUN 28 mg/dL,Cr 2.3 mg/dL,TP 6.7 g/dL,ALB 2.8 g/dL,T-Bil 11.2(D-Bil7.1) mg/dL,血糖180 mg/dL であった。計算による血漿浸透圧(mOsm/kgH2O)の推定値として正しいのはどれか。
a. 260
b. 270
c. 280
d. 290
e. 300

84) 22歳の女性。自宅でカフェイン含有の市販薬を大量摂取し,服用から3時間後に救急搬送された。来院時意識清明,呼吸数30/min,脈拍数156/min,血圧120/60 mmHg,体温36.8℃,血液一般検査はNa 138 mmol/L,K 2.8 mmol/L,Cl100 mmol/L であった。治療として正しいのはどれか。2 つ選びなさい。
a. グルコン酸カルシウム投与
b. グルカゴン投与
c. ランジオロール投与
d. 重炭酸ナトリウム投与
e. 血液透析

85) 80歳の女性。悪性リンパ腫の加療中に急性腎障害を発症し,持続腎代替療法を開始した。ナファモスタットにアレルギーがあるため,抗凝固としてヘパリンの投与を開始したが,7日目より回路内凝集が頻回となり血小板が1.5×104/ μL まで減少した。診断に必要な検査について,誤っているのはどれか。
a. TAT,PIC を測定する。
b. VWFを測定する。
c. HIT 抗体を提出する。
d. アンチトロビン活性を測定する。
e. 血液像を確認する。
* TAT:Thrombin-antithrombin complex,PIC:Plasmin-α2-plasmininhibitorcomplex,VWF:von Willebrand factor,HIT:Heparin-induced thrombocytopenia

86) 集中治療における血糖管理について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 毛細血管を使用した血糖値測定は許容される。
b. J-SSCG 2020では敗血症患者に対し200 mg/dLを目標血糖値としてインスリン治療を行うことを推奨している。
c. DKAはインスリンの絶対的欠乏が認められる。
d. HHS では有効血清浸透圧が320 mOsm/kg を超える。
e. DKA/HHSの治療においてpH<7.2で重炭酸ナトリウムの補充が推奨されている。
* J-SSCG 2020:日本版敗血症診療ガイドライン2020,DKA:Diabetic ketoacidosis,HHS:Hyperosmolar hyperglycemic state

87) 4か月の乳児。新生児期より径8mm大の心室中隔欠損症のためフォローアップされていたが,心不全症状として体重増加不良を呈するようになったことから,パッチ閉鎖による根治手術が実施された。手術当日の15時頃に気管挿管されたまま人工呼吸管理下でICUに入室した。22時頃,それまで120/min程度であった脈拍数が急に170/min に上昇し,血圧は80/40 mmHg 台から50/20 mmHg台へと低下した。心房リードを利用して心電図検査を行い,接合部異所性頻拍(JET)と診断された。対応として適切なのはどれか。2 つ選びなさい。
a. 電解質を補正する。
b. 鎮静深度を浅くする。
c. カルディオバージョンを行う。
d. オーバードライブペーシングを行う。
e. 深部体温を36℃以下に下げる。

88) 特定集中治療室管理料の施設基準について正しいのはどれか。
a. 管理料3の施設基準では看護師がICU入院患者4名に対して常時1名以上必要である。
b. 管理料1の施設基準では専任の臨床工学技士が常時院内に勤務している必要がある。
c. 管理料1 の施設基準では専任の医師が常時2 名以上必要である。
d. 管理料3の施設基準では病床10床に対して20名の所属看護師が必要である。
e. 管理料1の施設基準では専任の理学療法士が常時院内に勤務している必要がある。

89) 経静脈的ペースメーカを設定心拍数60/minで右室ペーシング中のモニタ心電図を示す。まず確認すべきこととして,正しいのはどれか。

2021年度集中治療専門医試験

a. 血液ガス分析
b. センシング閾値
c. ペーシング刺激閾値
d. 心エコー検査による心嚢液貯留
e. 胸部ポータブルX線によるペーシングカテーテル先端位置

90) 70歳の男性。意識障害,発熱,黄疸のため転院搬送された。意識レベルはJCS 100,呼吸数30/min,脈拍数105/min,血圧150/80 mmHg,体温38.5℃,SpO2 97%(room air)である。血液一般検査では,WBC 18,540/ μL,Hb 6.3 g/dL,Plt 1.0× 104/μL,血液生化学検査では,AST79 IU/L,ALT 17 IU/L,LDH 1,543 IU/L,BUN 33 mg/dL,Cr 1.1 mg/dL,T-Bil 3.8 mg/dL で,血液凝固系検査では,PT-INR 1.03,FDP6.5μg/mLである。この病態による症状と検査値として考えられるのはどれか。2つ選びなさい。
a. 無尿
b. アンチトロンビン活性45%
c. ハプトグロビン< 10 mg/dL
d. 直接クームス試験の陽性
e. 破砕赤血球の出現

91) 28歳の女性。自然分娩で体重3,200 gの新生児を出産したが,弛緩出血を発症したため転院搬送されICU に入室した。意識レベルはJCS 1,呼吸数30/min,脈拍数120/min,血圧90/60 mmHg,体温35.9℃,SpO2 99%(鼻カニューレ酸素 2 L/min)である。ICU入室までの出血量は4,000 g で,輸血製剤は赤血球濃厚液が4単位投与されていた。優先すべき事項はどれか。3 つ選びなさい。
a. 細胞外液補充液の大量投与
b. 血液凝固系検査
c. 新鮮凍結血漿の投与
d. 緊急子宮摘出術
e. コマンダーの決定

92) 正しいのはどれか。2 つ選びなさい。
a. 出血性胃・十二指腸潰瘍でForrest分類Ⅰは内視鏡的治療の適応である。
b. 大腸憩室出血に対する緊急止血術としてエタノール局注止血法が第一選択である。
c. 虚血性腸炎の好発部位は直腸である。
d. 発症早期の非閉塞性腸管虚血に対して手術を行う。
e. 消化性潰瘍による穿孔に対してクリップでの縫縮は推奨されない。

93) 59歳の男性。既往歴に高血圧があり,頭痛と嘔吐を来たし救急搬送となった。来院時,脈拍数112/min,血圧193/122 mmHgで,呼びかけにより開眼はするものの,意味のない発声があるのみで痛み刺激に対しては逃避反応がみられる。頭部CTを示す。本症例の診断,治療について正しいのはどれか。2 つ選びなさい。

2021年度集中治療専門医試験

a. 意識レベルはGCS E3V2M4となる。
b. 降圧薬にて収縮期血圧100 mmHg未満で管理する。
c. プロポフォールによる鎮静を開始する。
d. 血糖値200 mg/dL を許容する。
e. triple H療法を行う。

94) 62歳の女性。3年前に原発性胆汁性肝硬変に対し肝移植を施行し,以後,胆管炎で入退院を繰り返していた。2か月前に肝右葉に占拠性病変を指摘され,精査の結果肝膿瘍と診断され入院加療していた。3日前より構音障害,眼振および複視の症状を認め,本日痙攣,意識障害を来たしたためICU入室となった。ICU入室時の内服薬は,プレドニゾロン,タクロリムス,ランソプラゾール,ST合剤,アムロジピン,ウルソデオキシコール酸,ミノサイクリン,メトロニダゾールである。頭部MRI所見を示す。意識障害の原因として,最も疑わしいのはどれか。

2021年度集中治療専門医試験

a. 転移性脳腫瘍
b. ビタミンB1欠乏
c. 肝性脳症
d. タクロリムス投与
e. メトロニダゾール投与

95) 凝固/線溶系活性化経路と抗凝固薬の作用について,トラネキサム酸の作用点はa〜eのうちどれか。なお,c:Ⅱaを阻害,d:Xaを阻害,e:ATを阻害とする。 * Plm:Plasmin,Plg:Plasminogen,PAI-1:Plasminogen activator inhibitor-1,SF:Soluble ficrinmonomer complex,PIC:Plasmin-α2 -plasmin inhibitor complex,TAT:Thrombin-antithrombin complex,TAFI:Thrombin activatable fibrinolysisinhibitor,e-XDP:Degradation products ofcross-linked fibrin by leukocyte elastase,FM:Fibrin monomer

2021年度集中治療専門医試験

a.
b.
c.
d.
e.

96) 20歳の女性。うつ病の既往歴あり。自宅で意識を失っているのを家人に発見され救急搬送された。現場にはクロミプラミンの空包が大量にあった。来院時の意識レベルはGCS E1V1M4,呼吸数10/min,脈拍数120/min,血圧80/40 mmHg,体温36.8℃,SpO2 94%(room air)で,服薬時間は不明である。心電図ではQRS幅0.12秒,QTc時間0.55秒で,心室性期外収縮が多発していた。輸液の他に直ちに考慮する治療はどれか。
a. 胃洗浄
b. マグネシウム投与
c. カルシウム投与
d. フロセミド投与
e. 重炭酸ナトリウム投与

97) 8か月の乳児。身長67 cm,体重8.5 kg 。生来健康であったが,前夜より39℃台の発熱があり敗血症性ショックと診断され,人工呼吸管理を開始した。リンゲル液60 mL/kg が急速静注されたが,脈拍数184 min,血圧60/28 mmHg であり,四肢末梢は温かく紅潮を認めた。心エコー検査では先天性心疾患を合併しておらず,左室は拡張末期径が小さく過収縮であることを認める。血液一般検査では,WBC 3,400/μL,Hb 8.9 g/dL,IgG 746 mg/dL,血糖176 mg/dL,lactate 2.4 mmol/Lである。この患児に対する次の治療として考えられるのはどれか。2つ選びなさい。
a. 細胞外液補充液を体重1 kgあたり10 mLずつ追加静注する。
b. Hb 12 g/dL 以上を目標に赤血球輸血を開始する。
c. 体重1 kg あたり2 g の免疫グロブリン製剤を静注する。
d. ノルアドレナリン持続静注を開始する。
e. 血糖値110 mg/dL以下を目標にインスリン持続静注を開始する。

98) 輸液反応性の評価における下肢挙上テストについて,正しいのはどれか。2 つ選びなさい。
a. 下肢の挙上は60度まで行う。
b. 3分以内に血圧の変化を測定する。
c. 最初は患者を45度の半坐位にする。
d. マンシェットでの血圧測定で評価する。
e. 腹腔内圧が上昇している場合は評価が難しい。

99) V3.4と刻印された酸素ボンベの圧力計の表示が15 MPa であった。100%酸素10 L/minで使用する際の安全域を考慮に入れた酸素ボンベの使用可能時間はどれか。
a. 30分
b. 40分
c. 50分
d. 60分
e. 70分

100)78歳の女性。身長150 cm,体重50 kg 。血液一般検査でPltが1.0×104/μLまで減少したため,血小板濃厚液輸血を10単位行った。なお,血小板濃厚液10単位に約2.8×1011個の血小板を含有するものとし,投与後に早急に血小板減少を来たす状況にはない。血小板輸血直後の予測血小板数の増加で正しいのはどれか。
a. 2.0× 104/ μL
b. 3.5× 104/ μL
c. 5.0× 104/ μL
d. 6.5× 104/ μL
e. 8.0× 104/ μL

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この記事を書いた人

一児の父┃救急専門医┃集中治療専門医
自分の学習内容のアウトプット、講義資料の共有をしたい!
という理由でブログを開設しました。

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