【2022年度】 集中治療専門医試験問題【解答&解説】

2022年度集中治療専門医試験の解答解説です。
問題と解答は学会誌から引用。

解説に関しては非公式です。
コメント欄でディスカッションできれば幸いです。
間違い、ご指摘等があれば教えてください。

※「テキスト」とは日本集中治療医学会専門医テキストのことです。
※「指針」とは救急診療指針のことです。
※上付き文字、下付き文字は少しずつ修正するのでご了承ください。

ご支援いただけると更新やブラッシュアップの励みになります!
↓お役に立てたなら何卒よろしくお願いします。↓

1) 54歳の男性。仕事中にトイレで卒倒して救急要請され、頭部CTでくも膜下出血と診断された。集中治療を開始したが、数日後に自発呼吸が消失し、瞳孔が散大した。脈拍数60回/分、血圧96/44 mmHg、1時間あたり580 mLの尿を認めた。患者は「脳死とされうる状態」と判断され、意思表示カードに臓器提供の意思が記されていることが判明した。臓器提供を見据えた患者管理として、誤っているのはどれか。
a.デスモプレシンの点鼻を行う。
b.気管支内視鏡による喀痰除去を行う。
c.広域抗菌薬を投与する。
d. 血圧が低下した場合はノルアドレナリンが第一選択薬である。
e.低容量肺保護換気を行う。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. 〇
e. ×
バソプレシンが1st choiceで、つぎにDOAやDOBを用いるようです。
臓器提供を見据えた患者評価・管理と術中管理のためのマニュアル

2) 30歳の女性。初産婦。妊娠41週で分娩中に突然、過呼吸を来たし、呼びかけに反応がなくなり、痙攣発作を認めた。 脈拍数120回/分、 血圧70/50 mmHg、SpO2 85%(room air)であった。5分後に心停止したため心肺蘇生を開始した。自己心拍再開後、血液一般検査はHb 10.0 g/dL、Plt 7.0×104 /μL、血液凝固検査でPT-INRとAPTTは測定不能でフィブリノーゲン50 mg/dL以下、D-dimer 100 μg/mLである。最も考えられる疾患として正しいのはどれか。
a.心筋梗塞
b.敗血症性ショック
c. 脳出血
d. 肺塞栓症
e. 羊水塞栓症

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇
分娩中の突然の呼吸障害、ショック、DICといえば羊水塞栓症ですね。
テキストP804

3) 65歳の男性。既往歴に糖尿病がある。15分程度持続する片側脱力を認めたため救急要請となった。症状発現から3時間後に病院に到着した。意識は清明、脈拍数89/分、血圧150/90 mmHg、脱力症状は消失していた。頭部CTでは異常所見を認めなかった。この患者のABCD2スコアに最も近いのはどれか。
a. 0
b. 3
c. 6
d. 10
e. 15

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×

4) 60歳の男性。腰痛を主訴に救急搬送され、腹部大動脈瘤破裂の診断で緊急ステントグラフト内挿術後に気管挿管されたままICUに入室した。入室時はバイタルサインに異常はなかったが、経時的に腹部が膨満するとともに血圧低下、頻脈および尿量減少がみられ、十分な気管吸引にもかかわらず気道内圧の上限アラームが頻回に作動する状態となった。脈拍数120回/分、血圧88/60 mmHg、SVV 6%、直近2時間は無尿の状態である。血液検査では貧血の進行を認めず、動脈血ガス分析はPaCO2 59 mmHg, PaO2 68mmHg, BE -4.8 mmol/Lである。胸部単純X線では両側の横隔膜挙上と肺うっ血の増悪を認める。行うべき対処について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 筋弛緩薬の投与
b.急速輸液負荷
c.トレンデレンブルグ体位
d. 胃管吸引
e. 1回換気量の減量

解答/解説

a. 〇
b. ×
c. ×
d. 〇
e. ×

腹部コンパートメントの症例
筋弛緩、頭側挙上、胃管吸引、高いPEEP、最終的にはopen abdmenでの管理。

5) 輸血の副作用について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a.急性溶血性輸血副作用の原因はRBC製剤のABO不適合輸血が最多である。
b.アレルギー反応は血球を多く含む血液製剤で起こりやすい。
c. 輸血関連急性肺障害は男性供血者由来の血液製剤で多い。
d. 輸血関連循環過負荷は赤血球製剤での発症頻度が高い。
e. 輸血後移植片対宿主病は輸血後1か月頃に発症する。

解答/解説

a. 〇テキストP880
b. ×血漿を多く含む製剤でおきやすい。テキストP880
c. ×女性供血者(特に経産婦)由来の血液製剤で発生率が高い。現在は400ml採血由来FFPはほぼ男性由来になっている。テキストP881
d. 〇テキストP881
e. ×7~14日後。テキストP882

6) Fontan型心臓手術の術後管理について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a.容量負荷により十分な静脈圧を維持する。
b.早期抜管を目指す。
c. 一酸化窒素吸入は循環を不安定にする。
d. 高肺動脈圧での管理を行う。
e.気管挿管中は10 cmH2O以上のPEEPを保つ。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×肺血管抵抗を下げて循環に良い影響。
d. ×肺動脈圧は下げたい。
e. ×高いPEEPは肺への血流を邪魔する。
テキストP827

7) 3歳の男児。自宅で入浴中に意識が無く溺水しているところを発見され、救急要請された。救急隊到着時は心停止しており、両親による心肺蘇生が行われていた。病院へ搬入後、自己心拍が再開し、ICUへ入室した。気管挿管と人工呼吸管理が行われている。身体に外傷は認めない。複数回の病院内虐待防止委員会では「虐待の可能性はない」と判断された。約2週間経過したが、頭部CTでは広範囲に皮髄境界の不明瞭化が明らかであった。フェンタニル投与終了6時間後の脳波は平坦であった。脳波測定直前の意識レベルはGCS E1VTM1、瞳孔は散大し脳幹反射は消失している。脈拍数90回/分、血圧62/32 mmHg、体温34.5℃、SpO2 98%である。動脈血ガス分析ではpH 7.35、PaCO2 35 mmHg、HCO3- 26 mmol/L、Na 145 mEq/L、K 4.0 mEq/Lである。家族は「脳死であるなら臓器提供を希望する」と話している。本症例について正しいのはどれか。
a. 現時点で「脳死とされうる状態」と診断できる。
b. 「脳死とされうる状態」と診断した24時間後に1回目の法的脳死判定を行う。
c.法的脳死判定を行う場合は小児科医を含めなければならない。
d.法的脳死判定を行う旨を警察へ報告する。
e. 病院内の倫理委員会での審査は不要である。

解答/解説

a. ×6歳未満は体温≥35℃必要。sBP≥年齢×2+65mmHg必要。テキストP839
b. ×特に1回目の脳死判定のタイミングは決まっていなさそう。テキストP843図4
c. ×小児であっても小児科なしで判定できます。テキストP847
d. 〇必要。テキストP843図4
e. ×必要。テキストP843表3

8)せん妄について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a.ベンゾジアゼピン系鎮静薬はせん妄発症の危険因子である。
b.ハロペリドールはせん妄予防に効果的である。
c. 高照度光療法はせん妄を予防するうえで有効である。
d.せん妄期間はICU退室後の認知機能低下に対する独立した危険因子である。
e.せん妄により人工呼吸管理からの離脱が遅れている患者にデクスメデトミジンの使用が推奨されている。

解答/解説

a. 〇
b. ×
c. ×
d. 〇
e. 〇

9) 4歳の女児。身長95 cm、体重15 kg 。発熱を主訴に救急外来を受診した。呼びかけに開眼する。痛み刺激でうめき声を上げ、疼痛部へ手をもっていく。呼吸数40回/分、脈拍数150回/分、血圧68/42 mmHg、体温40.1℃、SpO2 98%(roomair)である。呼吸音は清、心雑音を聴取しない。末梢冷感があり、末梢の脈拍触知は不良である。
この症例への初期対応で正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 髄液培養検体を採取する。
b.末梢静脈路の確保が困難であれば、骨髄路の確保を検討する。
c. 等張性晶質液150 mLを急速投与する。
d.内径5.5 mmのカフ付き気管チューブを準備する。
e.バソプレシンを循環作動薬の第一選択とする。

解答/解説

a. ×
b. 〇
c. 〇
d. ×
e. ×

小児の敗血症性ショック疑い。まずは輸液です。
BW×10~20mlの細胞外液を反復ボーラス投与しましょう。
日本版敗血症診療ガイドライン2020

10) 集中治療における医療チームが終末期と判断した場合、停止することができないのはどれか。
a. VA-ECMO
b.人工呼吸器
c. 血液浄化装置
d.植込み型除細動器
e. 疼痛緩和処置

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇

患者の苦痛を取るなどの緩和的な措置は継続する。
救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言~

11)78歳の男性。身長165 cm,体重65 kg 。特記すべき既往歴はなし。大腿骨頸部骨折の術後5日目にリハビリテーションスタッフと歩行訓練中, 突然呼吸困難を訴え倒れ込んだ。意識清明,呼吸数30回/分, 脈拍数130回/分, 血圧134/65 mmHg、SpO2 94%(鼻カニューレ酸素2 L/分)である。Room airで測定した動脈血ガス分析は, pH 7.34,PaCO2 28 mmHg, PaO2 58 mmHg, 乳 酸1.8mmol/L, SaO2 90%, Hb 13.0 g/dLである。造影CTを示す。治療方針について最も適切なのはどれか。

集中治療専門医試験2022


a. 上行大動脈置換術
b. 胸腔鏡下止血術
c. 血栓溶解療法
d. 下大静脈フィルタ留置
e.抗凝固療法

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×ショックを伴う場合
d. ×予防
e. 〇

ショックを伴わない肺血栓塞栓症の治療は抗凝固療法。
テキスト「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症」

12)3歳の男児。身長75 cm、体重10 kg 。新生児期に21トリソミーおよび房室中隔欠損症と診断され、肺動脈絞扼術が行われている。今回、二心室修復での心内修復術が施行され、気管挿管のままICUに入室した。意識レベルはGCS E1VTM4(鎮静下)、呼吸数24回/分、脈拍数140回/分、血圧68/45 mmHg、体温36.0℃、SpO2 89% (FIO20.6)である。循環作動薬としてアドレナリン0.05μg/kg/分、ミルリノン0.5μg/kg/分が投与されている。心エコー図では右室負荷所見を認める。患児への対応として正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 鎮静薬を減量する。
b. FIO2を上げる。
c.早期の抜管を行う。
d. 一酸化窒素吸入を開始する。
e.プロスタグランジンE1を投与する。

解答/解説

a. ×
b. 〇肺血管抵抗を下げる。
c. ×
d. 〇肺血管抵抗を下げる。
e. 〇動脈管からの肺血流を維持。
並列循環で肺血流が足りていない症例。

13)腹部造影CTを示す。この所見として正しいのはどれか。

集中治療専門医試験2022


a. 下大静脈血栓
b. 門脈血栓
c. 上腸間膜動脈塞栓
d. 脾梗塞
e. 腎梗塞

解答/解説

a. ×
b. 〇
c. ×
d. ×
e. ×
門脈が詰まっています。

14)56歳の男性。既往歴に高血圧がある。発熱と意識障害とを来たし、細菌性髄膜炎の疑いでICUへ入室した。頭部CTで異常所見はなく、髄液検査では細胞数の上昇を認める。投与の優先度が最も低いのはどれか。
a.バンコマイシン
b.セフトリアキソン
c.アンピシリン
d.アシクロビル
e.ミカファンギン

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇
市中発症の髄膜炎で真菌カバーは優先度が低い。
テキストP627表7

15)栄養療法について正しいのはどれか。
a. 重症患者のエネルギー投与は10~15 kcal/kg/日を目標とする。
b.早期経腸栄養はICU入室後遅くとも48時間以内に開始する。
c.リフィーディング症候群のリスクがある患者にはビタミンCを投与する。
d. 重症患者の血糖コントロールは90~110 mg/dL以下を目標とする。
e.リフィーディング症候群のリスク(NICEクライテリア)には喫煙歴が含まれる。

解答/解説

a. ×25~39kcal/kg/day。テキストP899
b. 〇テキストP900
c. ×ビタミンB1。テキストP903
d. ×140~180。テキストP903
e. ×テキストP904

16)43歳の男性。進行性ミオクローヌスてんかんの診断を受けて内服加療中である。外出中に痙攣発作を起こしているところを通行人に発見され、救急搬送された。気管挿管され、人工呼吸器管理となった。痙攣は一時的に頓挫したものの、発作を複数回繰り返すことから抗痙攣薬の増量、麻薬性鎮痛薬および鎮静薬の持続投与が行われた。その後、発作が2日間みられなかったことから麻薬性鎮痛薬と鎮静薬の持続投与を中止したが、2日間意識が戻らない。この患者への対応について誤っているのはどれか。
a. 血液透析
b.ナロキソンの投与
c.抗痙攣薬の血中濃度測定
d.持続脳波モニタリングを開始
e. 頭部CT検査

解答/解説

a. 〇意図がわかりかねます。
b. ×オピオイドを拮抗してみる。
c. ×痙攣薬の血中濃度が低ければてんかんが遷延している可能性。高ければ副作用の可能性。
d. ×非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)を鑑別に
e. ×器質的疾患の除外に。

17)55歳の男性。交通事故で救急搬送され、肝損傷(日本外傷学会臓器損傷分類 Ⅲb)、骨盤骨折および右大腿開放骨折(Gustilo分類 TypeⅡ)による出血性ショックの診断で緊急手術を行った。術中に大量輸血を行い、ガーゼパッキングとvacuumassisted closure法による一時閉腹、骨折に対して創外固定が行われ、ICUに帰室した。鎮静深度はRASS -3、脈拍数132回/分、血圧78/60mmHg、膀胱温34℃で、動脈血ガス分析はpH7.281、PaCO2 40.1 mmHg、PaO2 105.0 mmHg、BE -9.7 mmol/Lである。血液一般検査でHb 9.2g/dL、血液凝固系検査はPT-INR 1.25、APTT30.1秒(対照27.0秒)、フィブリノゲン145 mg/dL、FDP 382μg/mLである。術後管理に関して正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a.加温輸液する。
b.分時換気量を増やす。 
c.ノルアドレナリンを投与する。
d.新鮮凍結血漿を投与する。
e.抗凝固薬を投与する。

解答/解説

a. 〇
b. ×
c. ×
d. 〇
e. ×

体温が低いので加温。
FIB低値でありFFP輸血

18)68歳の女性。身長145 cm、体重40 kg 。血液一般検査でPlt 1.0×10^4/μLまで減少したため、血小板濃厚液10単位を輸血した。輸血直後の予測血小板増加数(×10^4/μL)はどれか。なお、血小板濃厚液10単位に約2.7×10^11個の血小板を含有するものとする。
a. 2.0
b. 3.5
c. 5.0
d. 6.5
e. 8.0

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×

増加量=輸血血小板総数/(循環血液量(70ml/kg)×103)×2/3=(2.8×1011)/((70×40)×103)×2/3
50㎏の人にはこのぐらいって感覚があれば良いと思います。
テキストP878

19)3か月の乳児。身長54 cm、体重4.2 kg 。大きな心室中隔欠損症に伴う心不全のため体重増加不良を認め、心室中隔欠損孔パッチ閉鎖術(根治術)を受けた。術後は安定していたが、帰室2時間後に気管吸引を実施した直後から急激に、心拍数が洞調律のまま170回/分に上昇し、 血圧は40/20 mmHgへ低下、CVPは12 mmHgに上昇し、皮膚色が蒼白に変化した。緊急実施した心エコー図検査では、心室中隔が左室側に凸となる所見を認める。本症例の対応として誤っているのはどれか。
a.気管吸引を再度試みる。
b. 過換気とする。
c.吸入酸素濃度を上げる。
d. 一酸化窒素吸入療法を開始する。
e. 筋弛緩薬を投与する。

解答/解説

a. 〇刺激は避けましょう。
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×
PH crisisの症例。

20)78歳の男性。高血圧の既往がある。就寝後に突然の呼吸困難を自覚し、救急搬入された。起坐呼吸、喘鳴および軽度の下腿浮腫を認めた。意識清明、呼吸数24回/分、脈拍数108回/分、血圧174/62 mmHg、体温35.8℃、SpO2 83%(roomair)である。心エコー図では、左室駆出率64%,左室肥大および左房拡大がある。肺エコー図では全肺野で以下に示す所見が得られた。初期対応として正しいのはどれか。3つ選びなさい。

集中治療専門医試験2022


a. NPPV
b. 硝酸薬の投与
c.ニカルジピンの投与
d.フロセミドの投与
e.アミノフィリンの投与

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×
d. 〇
e. ×
もの凄くB lineがあり、肺水腫を示唆します。
CS1の心不全でしょう。
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

21)60歳の男性。身長160 cm、体重50 kg 。細菌性肺炎のため、気管挿管し人工呼吸を施行している。鎮静薬と鎮痛薬を投与している。呼びかけに反応しないが、身体刺激に対して開眼せず体動を示す。刺激がなければ四肢に緊張はなく、他動運動にも抵抗せず、表情も平穏で、人工呼吸器にも同調している。この患者の鎮痛・鎮静管理について正しい組み合わせはどれか。
a. BPS 3 ── RASS −4
b. BPS 0 ── RASS −2
c. BPS 3 ── RASS 0
d. BPS 0 ── RASS −4
e. BPS 3 ── RASS −2
* BPS:behavioral pain scale

解答/解説

a. 〇
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×
BPS0点はそもそもない。

22)下肢挙上テストの施行方法で正しいのはどれか。
a.仰臥位にした状態で開始する。
b. 下肢を挙上して1分以上待ってから評価する。
c.リアルタイムの血圧測定で評価する。
d.最後に頭側を上げ再度半坐位にして評価する。
e. 自発呼吸がある場合は正確に評価できない。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. 〇
e. ×
テキストP239表5
①患者を半座位45°にする
②血圧ではなくリアルタイムでCOを測定する
③頭側を下げ、足側を45°挙上する(刺激を避けるためリクライニング機能を使う)
④1分以内にCOの変化を測定(10~15%の変化は輸液反応性あり)
⑤頭側を上げ、再度半座位にする
⑥COがベースラインに戻っていることを確認する

戻して問題なくテストできたか、までがセットなんですね。

23)72歳の男性。間質性肺炎の急性増悪のためICUに入室し、経鼻高流量酸素療法が行われた。急激な酸素化の悪化を認めたため、緊急で気管挿管を行った。その後、患者は安定し抜管した。なお、今回のエピソードは経鼻高流量酸素療法回路の接続外れによるものと断定された。この場合、医療事故の影響度分類はどれか。
a.レベル1
b.レベル2
c.レベル3a
d.レベル3b
e.レベル4a

解答/解説

24)40歳の女性。身長150 cm、体重35 kg 。抑うつ状態が続き、自室に引きこもりがちであったが、意識が混濁しているところを家族に発見され、救急搬送された。意識混濁と極度の脱水を認めるものの、呼吸と循環動態は安定し一般病棟に入院していた。中心静脈カテーテルを挿入して経静脈栄養を開始し、入院5日目に酸素化の低下と痙攣発作が出現したため、気管挿管による気道確保を要しICUへ入室した。本症例について誤っているのはどれか。
a.投与エネルギー量を増加させる。
b.ビタミンの補充を行う。
c. 電解質の値を確認する。
d.心エコー図検査を行う。
e. 血糖値を確認する。

解答/解説

a. 〇減らしましょう。
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×

リフィーディング症候群。テキストP903

25)集中治療における血糖管理について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 糖尿病性ケトアシドーシスでは血糖値が200mg/dLに到達したらインスリンの投与速度を減少させる。
b.敗血症患者では目標血糖値を144~ 180 mg/dLとする。
c. 糖尿病性ケトアシドーシスではpHが6.9以下で重炭酸の投与を考慮する。
d. 高浸透圧性高血糖状態では尿中ケトン体が陽性で診断が確定する。
e.敗血症患者の血糖値を毛細管血で評価する。

解答/解説

a. 〇テキストP599、図4
b. 〇日本版敗血症診療ガイドライン2020
c. 〇テキストP599、図4
d. ×尿中ケトン体が陽性になる頻度がDKAより少ないし、そもそも診断は複合的に評価して行う。テキストP597
e. ×毛細菅血で評価しないことを弱く推奨。日本版敗血症診療ガイドライン2020

26)破裂脳動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行後の患者である。意識清明で麻痺はなく経過していたが、発症から8日目に不穏状態となり意思疎通が図れなくなった。この患者に対して直ちに行うべき評価で誤っているのはどれか。
a.収縮期血圧
b.体温
c. 血清ナトリウム値
d.水分出納バランス
e.心エコー

解答/解説

a. ×降圧しすぎは脳虚血の誘因となる。
b. ×感染等周術期合併症。
c. ×周術期は低Na血症に注意。
d. ×脱水は攣縮のリスク。
e. 〇
テキストP382
SAH後の突然の意識障害です。
心エコーはたこつぼ型心筋症等の鑑別になるかと思いますが意識障害を来すほどのは、ショックになっているかと…

27)熱傷患者の診療で誤っているのはどれか。
a. Artzの基準ではⅢ度熱傷10%TBSA以上は重症熱傷である。
b. Burn index 25で68歳の患者の死亡率は25%以上である。
c.日本熱傷学会の「熱傷診療ガイドライン改訂第3版」では受傷後24時間以内に経腸栄養を開始することが推奨されている。
d.小児への熱傷初期の輸液療法では1時間あたりの尿量は1 mL/kgを目標とする。
e.コンパートメント圧が20 mmHg以上で減張切開を考慮する。
* TBSA:total body surface area

解答/解説

a. ×テキストP724
b. ×PBI<80は重篤な合併症、基礎疾患がなければ救命可能。80-100は救命率50%程度。100-120は救命率20%程度。120以上は救命は極めて稀。今回はPBI=25+58。
c. ×
d. ×テキストP730
e. 〇テキストP733。減張切開の適応。圧>25mmHg。他にも適応は沢山あるので確認しておきましょう。

看護roo!:Artzの基準
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28)2歳の女児。身長85 cm、体重13 kg 。5日前から下痢と発熱とを来した。自宅で痙攣したため救急搬送された。意識レベルはGCS E3V3M5、呼吸数35回/分、脈拍数140回/分、血圧130/64mmHg、体温37.2℃、SpO2 98%(room air)である。血液一般検査ではWBC 12,000 /μL、Hb 8.5g/dL、Plt 4×10^4 /μL、BUN 28 mg/dL、Cr3.2    mg/dLであった。ICU入室後にも1分程度の強直間代性痙攣が出現した。ICU入室から8時間後までに得られた尿量は10 mLであった。この症例について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a.止痢薬を投与する。
b. 降圧薬を開始する。
c. 直接Coombs試験は陽性である。
d. 腎代替療法を開始する。
e. 血小板輸血を行う。

解答/解説

a. ×止痢薬はだめ
b. 〇高血圧等の腎外合併症をしばしば併発します。ガイドラインに目を通しておきましょう。
c. ×陰性。
d. 〇ためらわずに開始する
e. ×通常の管理でOKです。
STEC-HUS。テキストP463
HUSガイドライン

29)大規模火災の多数傷病者発生事案におけるJumpSTART法での小児の一次トリアージについて正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a.歩行可能で上肢にI度熱傷がある2歳児をdelayed(黄)とした。
b.呼吸数10回/分の5歳児をimmediate(赤)とした。
c. 脈は触れるが、気道確保で呼吸がなく人工呼吸を5回行ったが再開を認めない3歳児をimmediate(赤)とした。
d.呼吸数25回/分、脈は触れるがCRT2秒以上の10歳児をimmediate(赤)とした。
e.呼吸数20回/分、脈は触れるが痛み刺激に反応しない2歳児をimmediate(赤)とした。
* CRT:capillary refilling time

解答/解説

a. ×Ⅲ
b. 〇Ⅰ
c. ×0
d. 〇
e. 〇
誤植のため採点対象外となりました。
多分START法で問題を作成したのでしょう…

鳥取大学医学部HP

30)新生児期の病態・疾患と治療法の組み合わせで誤っているのはどれか。
a.新生児遷延性肺高血圧症────────── 一酸化窒素吸入療法
b.新生児黄疸 ───────────光線療法
c.先天性気管狭窄──────高頻度振動換気法
d.新生児呼吸窮迫症候群─────人工肺サーファクタント補充療法
e. 重症新生児仮死───────新生児蘇生法

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇HFOVは新生児呼吸窮迫症候群に。気管狭窄はなんらかの形成手術が必要になることも。
d. ×
e. ×

31)ICUローテータの研修医がtreatment of distaldeep vein thrombosisのメタアナリシスについてPubMedで検索した。図の矢印(←)が指す四角(■)の大きさの意味について質問を受けた。正しいのはどれか。
a.イベント数
b.患者総数
c.オッズ比
d.リスク比
e. 研究の重み

集中治療専門医試験2022
解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇
https://nounai-librarian.com/2021-11-26-062603/
こちらのブログが参考になります!
サンプルサイズ≠研究の重みであることに注意。

32)Non-Technical Skill for Surgeons (NOTSS)分類法について、誤っている組み合わせはどれか。

a. (A) ── 情報収集
b. (B) ── 意思決定
c. (C) ── 共通認識の確立
d. (D) ── パートナーシップ
e. (E) ── 他者への支援

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. 〇リーダーシップ
e. ×

テキストP717

33)HELLP症候群について誤っているのはどれか。
a. 破砕赤血球を認める。
b.母体の死亡率は0.5%である。
c. 80%に高血圧を合併する。
d. 約30%は分娩後に発症する。
e.妊娠全体の約0.5%に発症する。

解答/解説

a. ×
b. 〇3.5~24.2%
c. ×
d. ×
e. ×

テキストP797

34)20歳の女性。バセドウ病で通院中であったが、甲状腺機能のコントロールは不良であった。上気道炎症状を自覚して数日後に、発熱と呼吸困難を主訴に救急搬送された。不穏状態で呼吸数30回/分、脈拍数138回/分、血圧140/90 mmHg、体温39℃、SpO2 88%(room air)である。胸部単純X線で心拡大と肺うっ血を認める。治療について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a.サリチル酸を投与する。
b.ジルチアゼムを投与する。
c.ヒドロコルチゾンを投与する。
d.無機ヨウ素薬を抗甲状腺薬と同時に投与する。
e. 直ちに血漿交換を開始する。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. 〇
e. ×

甲状腺クリーゼ。テキストP606。

35)輸血用血液製剤について正しいのはどれか?
a.照射赤血球液の有効期間は採血後2週間である。
b.照射濃厚血小板の有効期間は採血後1週間である。
c.新鮮凍結血漿の有効期間は採血後3ヶ月である。
d.照射濃厚血小板は4℃で保存する
e. 融解後の新鮮凍結血漿は4℃で保存する。

解答/解説

a. ×21日
b. ×4日
c. ×1年
d. ×20-24℃
e. 〇

テキストP877。表1

36)70歳の女性。既往歴に慢性心房細動があり、抗凝固薬を内服していた。下部消化管穿孔による敗血症性ショックで緊急手術後, ICUに入室した。内服薬の再開ができず,慢性心房細動に対しては手術翌日から抗凝固薬としてヘパリン投与を行った。術後4日目の血液一般検査ではWBC2,000 /μL、Ht 36%、Hb 12.0 g/dL、Plt 4.5×10^4 /μL、破砕赤血球は認めない。血液凝固系検査はPT-INR 1.3、APTT 35秒、FDP 30μg/dLで、血液生化学検査はBUN 33 mg/dL、Cr 1.8mg/dLであった。本症例について正しいのはどれか。
a.ヘパリンは継続投与できる。
b. ADAMTS13活性は測定感度以下になる。
c.アルガトロバンを投与する。
d. 血小板を輸血する。
e. 確定診断に骨髄穿刺を行う。

解答/解説

a. 〇貧血の進行もないし、APTTの過延長もないしOK。
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×
DICの症例。
出題の意図がわからずこんな解説になってしまいました。
どなたか意図がわかる方がいれば教えてください。

37)65歳の男性。関節リウマチに対してメトトレキサートとタクロリムスを投与されていた。咳嗽と呼吸困難を主訴に来院し、呼吸不全のため気管挿管、人工呼吸器管理となった。胸部単純CTで両肺にびまん性のすりガラス影を認めた。診断のための気管支鏡検査について、正しいのはどれか。
a.気管支肺胞洗浄では生理食塩水を20 mLずつゆっくり注入する。
b.検査後の発熱には抗菌薬投与が必要である。
c.気管支肺胞洗浄の実施部位の第一選択は両肺B6である。
d. 重症ARDS患者への気管支肺胞洗浄は禁忌である。
e.ニューモシスチス肺炎の診断には、気管支肺胞洗浄液の細胞診よりもPCR検査の方が感度が高い。

解答/解説

a. ×50mlずつ。テキストP211。
b. ×化学性のことも
c. ×病変のある部位
d. ×必要なら施行を検討
e. 〇

問題38

38)「V3.4」と表示刻印された酸素ボンベの圧力計の表示が15 MPaであった。100%酸素10 L/分で使用する際に、安全域を考慮した使用可能時間はどれか。
a. 30分
b. 40分
c. 50分
d. 60分
e. 70分

解答/解説

a. ×
b. 〇
c. ×
d. ×
e. ×

酸素残量(L)=ボンベ内容積(L)×圧力計の値(MPa)×10
酸素残量×0.8(安全係数)=使用可能量
3.4(L)×15(MPa)×10×0.8(安全係数)÷10(L/分)=40.8

39)70歳の男性。高血圧、糖尿病の既往がある。重症大動脈弁狭窄症に対し大動脈弁置換術が施行された。術後第3病日に「夕方から患者が落ち着きがない」と22時に看護師から診察依頼を受けた。ベッドサイド診察時に、意識レベルJCS 3と見当識障害があり、呼吸数28回/分、脈拍数124回/分、血圧145/88 mmHg、SpO2 88%(酸素カニューレ2 L/分)、両側肺野の水泡音(coarsecrackle)と腹部の軽度膨満を認めた。現在まで周術期の水分バランスは+5 Lで、同時に実施したCAM-ICUは陽性だった。この患者に対して次に行う処置として正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. HFNCへ変更する。
b.フロセミド10 mgを静注する。
c. 部屋を明るくする。
d.クエチアピンを投与する。
e.体幹抑制をする。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×
d. ×
e. ×

興奮しているからせん妄対策!という訳ではなく、肺水腫が疑われるので治療介入しましょう。

40)肺動脈楔入圧について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 肺毛細管圧は肺動脈楔入圧から推定できる。
b.圧測定は吸気終末時に行う。
c.僧帽弁閉鎖不全では左室充満圧を過大評価する。
d.大動脈閉鎖不全では左室充満圧を過小評価する。
e.左室充満圧はv波直後の拡張早期肺動脈楔入圧から推定できる。

解答/解説

a. 〇テキストP235
b. ×呼気終末。
c. 〇テキストP235
d. 〇テキストP235
e. ×a波直後

テキストP235

41)救急蘇生における呼気終末二酸化炭素分圧について誤っているのはどれか。
a.心拍出量を反映する。
b.急激な増加は自己心拍再開の可能性がある。
c. 蘇生開始20分後に10 mmHg以上であれば自己心拍再開の予測因子となりうる。
d. 蘇生開始20分後に20 mmHg以上であれば生存退院の予測因子となりうる。
e. 蘇生行為の中止基準の1つである。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇
テキストP103

42)32歳の男性。身長170 cm、体重70 kg 。横断歩道を歩行中に乗用車との交通事故にあい、救急搬送された。来院時、見当識は保たれているが不穏で安静がとれない。呼吸数24回/分、脈拍数136回/分、血圧68/36 mmHg、体温35.4℃、SpO2 98%(リザーバ付酸素マスク10 L/分)であった。Focused assessment with sonography for trauma (FAST)はモリソン窩を中心にecho free spaceがみられる。晶質液2 Lを投与した後、呼吸数32回/分、脈拍数128回/分、血圧71/38mmHg、体温34.8℃である。その後の蘇生として、正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a.プロポフォールで鎮静する。
b.晶質液を追加投与する。
c.濃厚赤血球、新鮮凍結血漿、濃厚血小板を組み合わせた輸血療法を行う。
d.受傷3時間以内にトラネキサム酸を投与する。
e. Damage control surgeryを開始する。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. 〇
e. 〇

外傷で2L輸液しても反応のないNon-responder shock。
腹腔内出血が疑われます。「入れて、入れて、止める」しにいきましょう。
JATEC

43)64歳の男性。身長172 cm、体重101 kg 。既往に高血圧、30本×45年間の喫煙歴がある。左上葉肺炎と膿胸の診断で緊急胸腔鏡下膿胸掻把術を行い、ICUに入室した。人工呼吸管理下でFIO2 1.0の際の動脈血ガス分析は、pH 7.351、PaO2 62.3 mmHg、PaCO2 45.8 mmHg、HCO3-19.8 mmol/L、BE -4.7 mmol/Lである。心エコー図では明らかな異常所見を認めなかった。術後の胸部単純X線では肺野の透過性低下が顕著であった。今後の治療で適切なのはどれか。3つ選びなさい。 
a. 腹臥位療法
b. High PEEP
c.ステロイド短期大量療法
d. VV-ECMO 
e. 肺動脈カテーテル検査を用いた循環管理

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×
d. 〇
e. ×
ARDS

44)75歳の男性。身長165 cm、体重70 kg 。発熱と意識障害とを主訴に救急搬送された。意識レベルはJCS 3、脈拍数124回/分, 血圧64/32 mmHg、体温35.2℃ , SpO2 88%(room air)である。血液一般検査はWBC 1,900 /μL, Hb 12.3 g/dL, Plt 2.2×10^4/μL, 血液凝固系検査はPT-INR 1.6, 血液生化学検査はAST 150 IU/L、ALT 246 IU/L、ALP 565 IU/L、γGT 332 IU/L、LDH 658 IU/L、T-Bil 5.7 mg/dL, BUN 42.3 mg/dL, Cr 2.2mg/dL、乳酸4.5 mmol/Lである。細胞外液を2,000mL投与し、血圧は90/50 mmHgとなった。腹部エコー図では胆管の拡張を認める。腹部CTとMR胆管膵管撮影(MRCP)では胆道に結石を認めない。この患者の治療で正しいのはどれか。
a.セフトリアキソンを投与する。
b. 緊急胆嚢摘出術を行う。
c.内視鏡的経乳頭的胆管ドレナージを行う。
d. 細胞外液を2,000 mL追加する。
e.メチルプレドニゾロン1,000 mgを投与する。

解答/解説

a. ×胆道系にCTRXは使いにくいですね。
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×

急性閉塞性化膿性胆管炎が疑われる症例。
ショックを呈しておりドレナージが必要。

45)「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン」について、誤っているのはどれか。
a.最善の治療を尽くしても救命し得ない狭義の終末期のみを対象としている。
b.アドバンス・ケア・プランニングの重要性について述べている。
c. 生命が人工的な装置に依存し、移植などの代替手段もない場合は終末期と判断される。
d.さらに行うべき治療方法がなく、現状の治療を継続しても近いうちに死亡することが予測される場合は終末期と判断される。
e. 積極的治療の開始後であっても、回復不可能な疾病の末期と判明した場合は終末期と判断される。

解答/解説

a. ×
b. 〇ACPに関しては触れられていません。
c. ×
d. ×
e. ×

救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン

46)日本集中治療医学会が報告している「人工呼吸器関連肺炎予防バンドル2010改訂版(VAPバンドル)」に含まれるのはどれか。3つ選びなさい。
a.仰臥位で管理しない。
b.手指衛生を確実に実施する。
c.人工呼吸器回路を3日おきに交換する。
d.人工呼吸器からの離脱を毎日評価する。
e.クロルヘキシジンによる口腔ケアを行う。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×
d. 〇
e. ×

人工呼吸器関連肺炎予防バンドル2010改訂版

47)60%酸素投与下で、PaO2 120 mmHg、Hb 14.5g/dL、SaO2 100%となった。動脈血酸素含量(mL /dL)はどれか。
a. 10
b. 15
c. 20
d. 25
e. 30

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×
動脈血酸素含量=1.34×SaO2×Hb+PaO2×0.0031
1.34ml/g×100%×14.5g/dl≒20mL/dl

48)「JRC蘇生ガイドライン2020」(日本蘇生協議会)に示されている医療従事者による成人の心肺蘇生について、正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a.心停止の判断に頸動脈の触知と呼吸の確認を行う。
b.呼吸の判断をするときに頭部後屈顎先挙上は必要ない。
c.呼吸の確認は、顔を傷病者の口元に近づけ、呼吸の状態を「見て」、音を「聴いて」、空気の出入りを「感じて」判断する。
d. 胸骨圧迫の部位は乳頭と乳頭を結ぶ線の中央である。
e. 胸骨圧迫の深さは約5 cmである。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×「胸と腹部の動きに注目して呼吸を確認する」
d. ×「胸骨の下半分」
e. 〇
JRC蘇生ガイドライン2020

49)79歳の男性。身長160 cm、体重50 kg 。慢性腎臓病で維持透析中。胸腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術が行われ、術後挿管のままICUへ入室した。意識レベルはGCS E3VTM6(鎮静下)である。明らかな麻痺はない。呼吸数24回/分、脈拍数110回/分、血圧72/36 mmHg(ノルアドレナリン0.2μg/kg/分)、SpO2 95%(FIO2 0.4、PEEP 10 cmH2O, PIP 24 cmH2O)。この6時間で2,000 mLの輸液が行われた。血液一般検査はWBC 1,700 /μL、Hb 10.2 g/dL、Ht 34%、Plt8×10^4 /μLである。貧血の進行はないが、乳酸は7.8 mmol/Lで6時間前と比較して上昇している。心電図は術前の所見から変化を認めない。心エコー図では心嚢液の貯留はなく、壁運動に問題はみられない。各ドレーンからの排液に増加はない。行うべき検査はどれか。2つ選びなさい。
a. 経食道心エコー
b.右心カテーテル
c. 腹部造影CT
d. 腰椎MRI
e. 血液培養採取

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. 〇
腸管虚血によるショック疑いです。

50)3歳の男児。体重13 kg。人工肛門閉鎖術を受けた。手術室で抜管され、酸素投与なしでPICUに入室した。呼吸数28回/分、脈拍数110回/分、血圧88/43 mmHg、体温36.7℃、SpO2 99%で、努力呼吸は認めない。経鼻胃管を開放し、絶食のうえで末梢静脈から輸液を開始した。経鼻胃管からの排液は少ない。維持輸液速度(mL/時)として最も適切なのはどれか。
a. 15
b. 25
c. 35
d. 45
e. 55

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. 〇
e. ×

51)83歳の男性。既往歴に認知症がある。常用薬のCa拮抗薬を誤って大量内服し,服薬から約3時間後に救急搬送された。来院時、意識清明、呼吸数20回/分、脈拍数30回/分、血圧80/40 mmHg、体温36.8℃、SpO2 90%(room air)であった。血液検査では異常所見を認めない。本症例の治療で正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a.ブドウ糖の投与
b. 胃洗浄
c.グルコン酸カルシウムの投与
d.アトロピンの投与
e. 血液透析

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. 〇
e. ×

テキストP765

52)38歳の男性。身長 175 cm、体重 95 kg 。劇症型心筋炎と診断され、 ICUへ入室した。呼吸と循環が維持できないため、VA-ECMOを導入した。人工呼吸器はlung rest設定とし、ECMOの設定は3,400 rpm, 4.2 L/分、FIO2 1.0、3 L酸素投与である。ECMOのモニタでは、脱血圧-30mmHg、人工肺前圧300 mmHg、回路出口部圧180 mmHgである。脈拍数60回/分、血圧120/90mmHg、SpO2 92%(右上肢)で、血液凝固系検査はACT(活性化凝固時間) 200秒、血液一般検査はHb 11.2 g/dL、Ht 34%、乳酸 3.0 mmol/Lである。次のうち最も優先度の高い対応はどれか。
a. ECMOの回転数を上げる。
b.人工呼吸器のFIO2を上げる。
c.人工肺の血栓を確認する。
d. 送血管をより太いカテーテルに入れ替える。
e.抗凝固薬を増量する。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×


– P1(脱血圧) : 下限値 -50 mmHg ・・・脱血不良
– P2(肺前圧) : 上限値 400 mmHg ・・・人工肺消耗
– P3(送血圧) : 上限値 350 mmHg ・・・送血不良
– P4(ガス圧) : 下限値 5 mmHg ・・・ガス供給停止 

※P2-P3>50mmHgは人工肺の凝血を疑う。
ECMOの適応と運用(日本医大)

53)7歳の男児。夏休みの旅行中に、上腕の解放骨折のため全身麻酔下の緊急手術を受け、人工呼吸管理のままICUに入室となった。自発呼吸はなく眠っており、まだ刺激にも反応しない。脈拍数135回/分、血圧90/50 mmHg(昇圧剤の使用なし)で、SpO2 92%である。明らかな出血はなく、血液一般検査はHb 9.5 g/dL、血液凝固系検査はPT-INR 1.4である。胸部単純X線では胸水を認めないが、左横隔膜の輪郭線が不鮮明である。2歳時にFontan型手術を受け、ワルファリンを内服していること、普段は小学校で体育も行っていることを家族から聴取した。術後管理として最も優先すべきなのはどれか。
a. 赤血球輸血を行う。
b. 高濃度酸素を投与する
c. PEEPは使用しない。
d. 血管拡張薬を使用する。
e.早期自発呼吸管理を目指す。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇
早く自発呼吸を出してFontan循環に有利な条件にしましょう。

54)患者の血液検査データが、WBC 6,600 /μL、Hb 13.3 g/dL、Plt 10.2×10^4 /μL、Na 140mmol/L、 K 3.5 mmol/L、Cl 101 mmol/L、AST221  IU/L、ALT 30 IU/L、BUN 42 mg/dL、Cr2.3 mg/dL、総タンパク質4.9 mg/dL、アルブミン2.5 mg/dL、T-Bil 11.2 (D-Bil 7.1) mg/dL、血糖値270 mg/dLである。計算による血漿浸透圧(mOsm/kgH2O)の推定値として正しいのはどれか。
a. 250
b. 270
c. 290
d. 310
e. 330

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. 〇血漿浸透圧=2×Na+BUN/2.8+糖/18
e. ×

なに(Na×2)?文(BUN)Ⅱは(2.8)ブス(BS)がいっぱい(18)

55)日本集中治療医学会が提唱する遠隔ICUについて正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 遠隔ICU支援医療施設の責任者は集中治療専門医である。
b. 遠隔ICUから支援を受ける治療室に脳卒中ケアユニットは含まれない。
c. 被支援施設の医療従事者には遠隔ICUのシステムを導入する前に全員トレーニングを受講することが望ましい。
d. 米国のTele-ICU、remote ICUを我が国では「遠隔ICU」と呼称する。
e.支援医療施設と被支援医療施設のICUは1対1で構成される。

56)50歳の男性。自宅で食事中に震度7の地震が発生した。地震発生から4時間後に家具の下敷きとなっていたところを救助された。来院時の意識レベルJCS 10、呼吸数20回/分、脈拍数100回/分・整、血圧80/60 mmHgである。胸部・腹部に異常はなく、両側下肢の腫脹を認める。PAT(physiological and anatomical triage)法による二次トリアージで、この患者のトリアージ区分として適切なのはどれか。
a. 緊急治療群(赤)
b. 非緊急治療群(黄)
c. 軽症群(緑)
d.救命不能群(黒)
e.決定できない。

解答/解説

a. 〇
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×

画像のいずれかに当てはまれば赤です。
PAT法は赤かどうかの二択!

57)32歳の女性。3週間前に双児を帝王切開術で出産している。妊娠経過中は切迫早産と高血圧のため、入院管理下で子宮収縮抑制薬による治療を受けていた。双胎妊娠前に心疾患の既往はない。1週間前から労作時の息切れを自覚していたが、夜間の呼吸困難を主訴に救急要請した。意識レベルGCS E3V5M6、呼吸数40回/分、 脈拍数120回/分、 血圧76/50 mmHg、体温37.0 ℃、SpO2 88 %(リザーバ付酸素マスク10 L/分)、呼吸音は両側で減弱、wheezeを聴取した。心エコー検査は左室駆出率20%、心室壁の肥厚や菲薄化はみられない。この病態について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a.我が国では約2,000例分娩に1例の発症率である。
b.人種別ではアジア系で最も発症頻度が高い。
c.妊娠関連高血圧症は危険因子である。
d.我が国では約10%が死亡もしくは心臓移植待機となる。
e.心機能が改善した場合は次回の妊娠を制限しない。

解答/解説

a. ×約1.5万出産に1人
b. ×アフリカ系(1/1,421出産) > アジア系(1/2,675出産) > コーカサス系(1/4,075出産) > ヒスパニック系(1/9,861出産)
c. 〇高齢、多胎妊娠、慢性高血圧症、妊娠高血圧症候群、切迫早産の治療
d. 〇周産期心筋症の診断と治療
e. ×周産期心筋症を患った後に心臓の機能が回復している方が再び妊娠するのを避けるべきかどうかについては、一定した指針はまだありません
国立循環器病センターHP

58)80歳の男性。1月某日、午前6時、自宅の玄関先で倒れているところを発見され、救急搬送された。来院時の意識レベルはGCS E1V2M4、呼吸数10回/分、脈拍数30回/分、血圧50/30 mmHgで、SpO2と体温は測定できない。心電図を示す。この患者について正しいのはどれか。

集中治療専門医試験2022


a.心臓カテーテル検査を行う。
b.心停止に移行した場合は心肺蘇生処置の適応である。
c. 経静脈的ペーシングを行う。
d.気管挿管は不要である。
e.四肢の復温を開始する。

解答/解説

a. ×現時点では不要でしょう。
b. 〇テキスト773
c. ×低体温の徐脈にペーシングは不整脈を誘発するため禁忌
d. ×テキストP774
e. ×体幹を含めしっかり復温

59)集中治療における倫理的判断として正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 終末期医療はDNAR指示と同義である。
b. DNAR指示があれば、治療の差し控えの個別指示は不要である。
c. 終末期の判断は、主治医が責任をもって決定する。
d. DNAR指示の妥当性は、繰り返し話し合い評価する。
e. DNAR指示であっても、家族の強い希望があれば蘇生を開始する。
* DNAR : Do Not Attempt Resuscitation

解答/解説

a. ×「DNAR指示と終末期医療は同義ではない」テキストP90
b. ×
c. ×
d. 〇「DNAR指示の妥当性を患者と医療・ケアチームが繰り返して話し合い評価すべきである」テキストP90
e. 〇
テキストに明記されている部分をみつけられませんでした。
とはいえ常識的に考えればとけるのではないでしょうか。

60)7か月の乳児。細菌性髄膜炎の診断でICUに入室した。呼吸数42回/分、脈拍数176回/分、血圧84/40 mmHg、体温39.4℃、SpO2 98% (roomair)である。呼びかけに対して開眼することはなく、右上肢で末梢静脈路を確保する際に少し開眼し、弱いうめき声を上げた。穿刺時には右上肢を屈曲して逃避する動きがみられた。この患者のGCSは何点か。
a. 6
b. 8
c. 10
d. 12
e. 14

解答/解説

a. ×
b. 〇
c. ×
d. ×
e. ×

看護roo!

61)ICUにおける医療安全管理について正しいのはどれか。
a. 重篤な医療過誤の78%が人工呼吸器関連である。
b.人工呼吸患者の事故抜管は日勤帯に多く発生する。
c. 0.9%塩化ナトリウム注射液は医療過誤リスクの高い薬剤である。
d.医療過誤の半数以上は知識不足に基づいている。
e. 「集中治療部設置のための指針 2022年改訂版」では電源容量の設定にVAを推奨している。
* VA : V(ボルト)×A(アンペア)

解答/解説

a. ×薬剤関連過誤。テキストP928
b. ×「発生時間帯は夜勤帯の方が圧倒的に多く」テキストP927
c. ×テキストP69表5
d. ×「知識不足というより、むしろ不注意や過失に基づいていた」テキストP928
e. 〇「100 Vや200 Vの医療機器が混在している集中治療部では,VAを用いることで総電源容量を確実に表すことができる。」集中治療部設置のための指針 2022年改訂版P473

62)経口血糖降下薬であるナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a.尿糖を減少させる。
b. 血糖コントロールが良好な患者でもケトアシドーシスが生じる。
c. 維持透析患者に有効である。
d.慢性心不全患者に適応となる。
e. 1型糖尿病患者に使用できる。

解答/解説

a. ×増やす
b. 〇正常血糖ケトアシドーシス等。ジャディアンスHP
c. ×尿で糖をだせない
d. 〇いわゆるファンタスティックフォー
e. 〇

63)重症患者の病院内搬送中の医療事故について正しいのはどれか。
a.寝台操作者以外に少なくとも2人の医療者が必要である。
b. “Scoop & Run”とは命に関わる最低限の処置を行いICUへ戻ることである。
c.患者由来の有害事象より医療機器由来の有害事象の方が多い。
d.対応トレーニングに胸腔ドレナージ術が含まれる。
e.搬送中の記録は必要ない。

解答/解説

a. 〇テキストP68
b. ×Scoop&RunはとにかくICUに帰ることを優先させること。最低限の処置を行うのは「Load&Go」。テキストP68
c. ×ほとんどは患者に由来するもの。テキストP68
d. ×高度気道確保、静脈確保、不整脈の治療、心肺蘇生法など。テキストP68
e. ×記録に関しても施設で標準化するべき。テキストP68

64)3歳の女児。インフルエンザ脳症による痙攣コントロールのためにICUに入室し、人工呼吸管理中である。看護師より「患者の自発呼吸が出ていそうである」との報告を受け、ベッドサイドでグラフィックモニタを確認した。グラフィックモニタの波形を図に示す。この波形が示す事象について誤っているのはどれか。

集中治療専門医試験2022


a.深鎮静されている患者にみられることが多い。
b.ダブルトリガの誘因になる。
c. 陽圧換気の呼気相に出現することがある。
d. 脳死判定が遅れる要因になる。
e.トリガ感度を下げる必要がある。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇
リバーストリガリングです。
対応は鎮静深度を下げてしっかりと自発呼吸を出しましょう。

65)Rapid response system(RRS)とmedical emergency team(MET)について、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 起動には主治医の許可が必要である。
b. 「何かおかしい」という第6感も起動基準に含まれる。
c. 起動要請を受けてから30分以内に現場に向かう。
d.バイタルサインが正常の場合には起動できない。
e. RRSやMETが患者予後を改善するエビデンスは不十分である。

解答/解説

a. ×「主治医や研修医ではなく直接RRT/MMTを要請する」テキストP917
b. 〇テキストP917
c. ×「数分以内」テキストP922
d. ×第6感で要請して大丈夫です。
e. 〇テキストP917~P920

66)75歳の男性。冠動脈バイパス術および僧帽弁置換術の術後2日目で気管挿管、人工呼吸管理中である。呼吸数28回/分、脈拍数162回/分、血圧68/40 mmHg、鎮静深度はRASS +2で、人工呼吸器設定はPC-SIMVでFIO2 0.4、PIP 20 cmH2O、PEEP 5 cmH2O,呼吸数15回/分。右心カテーテル検査では肺動脈圧28/16 mmHg,右房圧18mmHg,心係数2.0 L/min/m2であり、血液一般検査ではWBC 10,800 /μL, Hb 9.0 g/dLで、血液生化学検査ではBUN 30 mg/dL, Cr 1.20 mg/dLである。直近6時間における尿量は150 mLで、心嚢縦隔ドレーン排液量は15 mLである。心電図モニタ波形および心エコー図を示す。この患者への対応で正しいのはどれか。
* PC-SIMV : pressure control-synchronized intermittent mandatory ventilation, PIP:peak inspiratory pressure

集中治療専門医試験2022


a. 輸血
b. 鎮静
c.再開胸
d.フロセミド投与
e.ランジオロール投与

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×
心タンポナーデです。

67)39歳の男性。マラソン大会に参加し、30 km地点で突然意識を消失し倒れ込んだため、救急搬送された。意識レベルJCS 200、呼吸数28回/分、脈拍数110回/分、血圧86/40 mmHg、腋窩温41.9̊C、SpO2 86%(room air)。血液一般検査ではHb 16.8 g/dL、Ht 48.6%、血液生化学検査はNa 130 mmol/L、K 6.8 mmol/L、Cl 100 mmol/L、CK 48,000 IU/L、BUN 60 mg/dL、Cr 2.4mg/dL、AST 70 IU/L、ALT 88 IU/Lである。心電図では経時的にT波の増高を認める。人工呼吸管理、身体冷却および急速大量輸液を開始した。次に行う処置として誤っているのはどれか。
a. 目標体温を38℃に設定する。
b. 解熱薬を投与する。
c.グルコン酸カルシウムを投与する。
d.グルコース・インスリン療法を行う。
e. 重炭酸ナトリウムを投与する。

解答/解説

a. ×
b. 〇セットポイントの異常ではないので無効です。
c. ×
d. ×
e. ×

68)侵襲と生体反応について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 生体に侵入した異物はPRRsによって認識される。
b. PRRsはDAMPsを認識できない。
c. IL-6は炎症反応を鎮静化する。
d.侵襲に対する視床下部-下垂体-副腎系反応によりコルチゾールが分泌される。
e. 重症病態関連コルチコステロイド不全の診断には副腎皮質刺激ホルモン刺激試験を用いる。
* PRRs : pattern recognition receptors、DAMPs : damage-associated molecular patterns、IL:interleukin

解答/解説

a. 〇テキストP37。
b. ×DAMPsも認識できます。テキストP37。
c. ×TNF-αやIL-1β,IL-12,IL-18と共に炎症性サイトカインと呼ばれる。テキストP38
d. 〇テキストP40
e. ×診断に用いることは推奨しない。テキストP43

69)ICUの機能評価について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. 特定集中治療室管理料1~ 4、救命救急入院料1~ 4は、患者対看護師比が常時2対1以上を必要とする。
b. 特定集中治療室管理料の施設基準は、「原則として、当該治療室はバイオクリーンルームであること」とされている。
c.救命救急入院料および特定集中治療室管理料における急性血液浄化を必要する患者の算定上限日数は、施設条件等を満たせば25日である。
d. JIPADは多施設のICU入室患者の診療データベースである。
e.労働基準法に基づき労働時間を1日8時間以内、1週40時間とすると、「専従の医師が常時ICU内に勤務する」ためには、ICU専従医師は最低3人が必要である。
* JIPAD : Japanese Intensive Care Patient Database

解答/解説

a. ×救命救急入院料2と特定集中治療室管理料1-4は2対1以上だそう。
入院基本料:厚生労働省 P12,P13
b. ×これは前の基準のようです。令和4年度診療報酬改定項目の概要:厚労省 14ページ
c. 〇令和4年度診療報酬改定項目の概要14ページ
d. 〇
e. ×5人必要。テキストP76
診療報酬改定に関する問題です。

70)74歳の男性。下肢浮腫の悪化のため近医を受診した。慢性腎臓病とうっ血性心不全で通院中である。血液生化学検査はBUN 86 mg/dL、Cr 6.2mg/dL、尿酸 9.2 mg/dL、Na 143 mmol/L、K4.5 mmol/L、Cl 104 mmol/L、Ca 8.8 mg/dL、P6.3 mg/dL、動脈血ガス分析はpH 7.20、 PaCO2 35mmHg、PaO2 70 mm Hg、HCO3- 14.0 mmol/Lである。所見として最も適切なのはどれか。
a.アニオンギャップ増加代謝性アシドーシス+呼吸性アシドーシス    
b.アニオンギャップ増加代謝性アシドーシス+呼吸性アルカローシス
c.アニオンギャップ増加代謝性アシドーシス
d.アニオンギャップ正常代謝性アシドーシス+呼吸性アシドーシス
e.アニオンギャップ正常代謝性アシドーシス+呼吸性アルカローシス

解答/解説

a. 〇
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×
AG=143+4.5-104-14=29.5→AG増加性代謝性アシドーシス。
代償はΔHCO3-×(1~1.3)=ΔPaCO2は10~13程度になるはず。
PaCO2は35(ΔCO2は40-35=5)程度で代償が効いていないので呼吸性アシドーシスがあります。

71)37歳の女性。妊娠36週。予定された帝王切開術のために入院中、突然心停止となった。目撃したスタッフにより速やかに胸骨圧迫が開始された。その後、十分な人数のスタッフが集まってきた。この症例に対して行う優先度が高いのはどれか。3つ選びなさい。
a. 用手的子宮左方移動を併用する。
b.バルーンカテーテルによる大動脈遮断を行う。
c. 上肢から輸液路を確保する。
d.死戦期帝王切開術の準備をする。
e. 12誘導心電図検査を行う。

解答/解説

a. 〇
b. ×
c. 〇
d. 〇
e. ×

妊婦の蘇生。
上肢からの輸液路はエビデンスは乏しいが理にかなっていて望ましいという評価のよう。
JRC蘇生ガイドライン2020:妊産婦の蘇生

72)24歳の女性。7日前からの微熱と全身倦怠感を主訴に入院した。身長160 cm、体重60 kg、呼吸数20回/分、脈拍数118回/分、血圧110/64 mmHg、体温37.4℃、SpO(room air) 98%である。傾眠傾向だが時折大声を上げ、医師が安静にするよう諭しても構わず起き上がろうとする。血液一般検査ではWBC 24,300 /μL、RBC 370×10^4 /μL、Hb 11.0 g/dL、Ht 35%、Plt 8.5×10^4 /μLである。血液生化学検査は総蛋白5.6 g/dL、アルブミン2.8 g/dL、AST 11,567 IU/L、ALT 15,784IU/L, ALP 640 IU/L、BUN 32 mg/dL、Cr 1.26mg/dL、T-Bil 14.2 mg/dL、 Na 134 mmol/L、K5.2 mmol/L、Cl 104 mmol/L、CRP 0.3 mg/dL、アンモニア242 μg/dLで、血液凝固系検査はPT 18%、HBs抗原陰性, HCV抗体陰性である。頭部CTは異常所見を認めない。腹部造影CTを示す。まず行うべき対応として正しいのはどれか。2つ選びなさい。

集中治療専門医試験2022


a. 血漿交換療法
b.分枝鎖アミノ酸を多く含んだ特殊組成アミノ酸製剤の投与
c. 腹水穿刺
d.核酸アナログ製剤の投与
e.持続脳波モニタリング

解答/解説

a. 〇テキストP508
b. ×血漿交換の後。テキストP486
c. ×呼吸や循環に困っていないので優先度は低い。
d. ×B型肝炎に。テキストP507。
e. 〇

急性肝不全。肝性脳症Ⅲ度。

73)38歳の男性。気管支喘息で発作を繰り返していた。呼吸苦と意識障害を主訴に救急搬送された。意識レベルJCS 100、PaCO2 128.5 mmHg、PaO268.2 mmHg(酸素マスク10 L/分)であり、救急外来で気管挿管後にICUに入室した。全肺野でwheezeを聴取する。人工呼吸器のグラフィック波形を図に示す。この波形が示す事象に対して、まず行うべき人工呼吸器設定の調整はどれか。2つ選びなさい。

集中治療専門医試験2022


a. PEEPを上げる。
b.吸気トリガを鋭敏にする。
c.換気回数を増やす。
d.吸気時間を長くする。
e.吸気圧を上げる。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×
d. ×
e. ×
喘息による末梢気道閉塞が示唆されます。

74)30歳代の男性。感冒様症状が出現し、その4日後に近医で肝機能異常を指摘され当院に紹介された。来院時は呼びかけに開眼し会話も可能だが、傾眠傾向で羽ばたき振戦を認めた。血液一般検査はPlt 2×104 /μL、血液凝固系検査はPT-INR2.5、血液生化学検査はAST 3,365 IU/L、ALT3,839 IU/L、T-Bil 16.2 mg/dL、D-Bil 12.7mg/dL、アルブミン3.0 g/dLであり、腹部エコー検査で肝右葉の高度な萎縮と少量の腹水とを認めた。本症例の診断について正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a. Child-Pugh分類ではGrade Cである。
b. 肝炎ウイルスの検査を行う。
c. 肝性脳症の昏睡度Ⅱ度に分類される。
d.急性肝不全の亜急性型である。
e. ASTは重症度の判断に有用である。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. 〇
d. ×亜急性型は11日以降
e. ×「劇症肝炎様の重篤な急性肝障害の重症度判定には、トランスアミナーゼ(AST,ALT)の高さ自体は余り参考にならず」日本臨床検査医学会:慢性肝炎または肝硬変
3つのうちどれか2つを選べていたら正解。

75)80歳の男性。自宅の倉庫内で嘔吐し意識を失っているところを妻に発見され、救急搬送された。現場には農薬の空ビンが落ちており,患者の吐物と同じ異臭があった。病院搬送時の意識レベルはGCS E1V1M4, 瞳孔は縮瞳しており、呼吸数14回/分, 脈拍数48回/分, 血圧120/80 mmHg,体温36.8℃ , SpO2 90%(room air)である。関連する症状として正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 皮膚乾燥
b.深部腱反射亢進
c.気道分泌物増加
d. 腸蠕動亢進
e. 痙攣

解答/解説

a. ×湿潤
b. ×正常か低下
c. 〇
d. 〇
e. 〇

有機リン中毒。テキストP750

76)70歳の男性。身長168 cm,体重88 kg 。誤嚥性肺炎の診断でICUに入室した。人工呼吸、気道確保を行うため急速導入を行ったが、二人法、エアウェイを使用してもマスク換気は不能であった。次に行うべきこととして誤っているのはどれか。
a.応援を呼ぶ。
b. 筋弛緩の拮抗を行う。
c.気管切開術を行う。
d.気管挿管を試みる。
e.声門上デバイスを挿入する。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇やるなら輪状甲状靱帯切開。でもまずは挿管や声門上デバイスのトライ。
d. ×
e. ×

77)頭蓋内圧モニタリング中の人工呼吸器装着患者において、頭蓋内圧が10 mmHgから急激に40mmHgまで増加し10分間継続している。初期対応の優先度が最も低いのはどれか。
a. 頭部CT検査
b. 頭頸部の位置の正中化
c.気管チューブ閉塞の確認
d. 瞳孔の確認
e.人工呼吸器との同調性の確認

解答/解説

a. 〇
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×
CTにいくまでに確認すべきことは沢山あります。
特に呼吸器や鎮痛鎮静のトラブルは注意。

78)気管挿管下で使用不可能な痛みの評価ツールはどれか。
a. NRS(Numeric Rating Scale)
b. VAS(Visual Analogue Scale)
c. VRS(Verbal Rating Scale)
d. BPS(Behavioral Pain Scale)
e. CPOT(Critical-Care Pain Observation Tool)

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×

Verbalって口頭でって意味ですしね。

79)73歳の男性。肺癌に対して免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブの投与を行っていた。5日前から倦怠感と食欲低下を来たし、本日発熱も認めたため救急外来を受診した。来院時、呼吸数20回/分、脈拍110回/分、血圧85/40 mmHg、体温37.8℃、SpO2 94% (room air)である。血液一般検査はWBC 4,500 /μL(好中球50%,リンパ球20%,好酸球15%,単核球15%)、Hb 13 g/dL、Plt 17×10^4 /μL、Na 130 mmol/L, K 5.0mmol/L, 血糖値70 mg/dL, CRP 3.0 mg/dL、肝機能、腎機能および尿所見に異常を認めない。CTで明らかな感染所見はなく、血液培養も陰性である。この病態について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 甲状腺機能異常を合併する。
b. 速やかにヒドロコルチゾンの補充を行う。
c.早朝のコルチゾールが4μg/dL以上であれば副腎不全症は否定できる。
d. 確定診断に迅速ACTH負荷試験を行う。
e.ヨード剤を用いた造影CT検査は禁忌である。
* ACTH : adrenocorticotropic hormone

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×
d. 〇
e. ×

ニボルマブ投与によるACTH単独欠損による副腎機能低下
免疫チェックポイント阻害薬による内分泌障害の診療ガイドライン

80)FOURスコアの評価項目に含まれるのはどれか。3つ選びなさい。
a. 見当識障害
b.呼吸
c. 追視
d. 言語
e. 脳幹反射

解答/解説

a. ×
b. 〇
c. 〇
d. ×
e. 〇

81)50歳の男性。胸痛のため夜間に救急搬送された。同居家族が新型コロナウイルス感染症のため自宅療養となっていた。外来で心停止となったため緊急コールで応援要請があった。個人防護具として適切なのはどれか。3つ選びなさい。
a. 眼の防護具
b. N95以上の規格のマスク
c.半袖ガウン
d.手袋
e. HEPAフィルタ
* HEPA : high efficiency particulate air filter

82)27歳の女性。接客業のため、大量に飲酒することが多かった。腹痛、背部痛に伴う体動困難を来たし、救急搬送された。腹痛で苦悶様顔貌だが、意識清明で腹部は緊満している。呼吸数28回/分、 脈拍数115回/分、 血圧155/85 mmHg、SpO2 98%(酸素カニューレ1 L/分)である。血液一般検査は、WBC 16,000 /μL、Plt 9×10^4 /μL 、血液生化学検査はT-Bil 2.5 mg/dL、Ca 6.5mg/dL、LDH 550 IU/L、CK 150 IU/L、BUN50 mg/dL、Cr 2.0 mg/dL、CRP 28.5 mg/dL、乳酸3.1 mmol/Lであった。造影CTで、炎症は膵外へ波及し膵実質の造影不良域を認める。この症例の初期治療について、正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a.抗菌薬を予防投与する。
b. 鎮痛薬にオピオイドを用いる。
c. 腹腔内圧を15 mmHg以下とする。
d. 経腸栄養を早期に開始する。
e. 輸液量を制限する。

解答/解説

a. ×
b. 〇
c. 〇
d. 〇
e. ×

急性膵炎ガイドライン2021

83)新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血の病因で誤っているのはどれか。
a.ビタミンKは経胎盤移行性が悪い。
b.児は腸内細菌叢の形成が不良である。
c.人工乳は母乳に比べてビタミンK含有量が少ない。
d.児はビタミンKの吸収能が低い。
e.児はビタミンKエポキシド還元酵素活性が低い。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇そんなことはないから人工乳での育児disはやめようねって学生時代に習いました。
d. ×
e. ×

84)67歳の男性。重症肺炎による呼吸不全で気管挿管、人工呼吸管理となり、ICUに入室した。数時間後に覚醒し、強い吸気努力がみられるようになった。自発呼吸努力の大きさを評価する方法として誤っているのはどれか。
a. 食道内圧バルーン
b.気道閉塞圧(P0.1)
c.横隔膜筋電図
d. 中心静脈圧
e.カプノグラフ

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇

CO2濃度では自発呼吸努力の大きさはわかりません。

85)妊娠高血圧症候群について誤っているのはどれか。
a.リスク因子として多胎妊娠がある。
b. 10~20%の患者がHELLP症候群を発症する。
c. 痙攣を発症した場合にはジアゼパムを投与する。
d. 高血圧緊急症の場合は硫酸マグネシウムを投与する。
e. 高血圧緊急症の場合はアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与する。

解答/解説

a. ×テキストP720-721
b. ×MSDマニュアル
c. ×MSDマニュアル
d. ×MSDマニュアル
e. 〇妊娠時の高血圧の降圧薬選択は,
妊娠 20週未満では第一選択薬としてメチルドパ,ヒドララジン,ラベタロールとする.
妊娠 20 週以降では,3 剤にニフェジピンを加えた4剤が第一選択薬となる
日本高血圧学会ガイドライン

86)65歳の男性。リスペリドン、クエチアピン、トリアゾラムおよび炭酸リチウムを内服治療中である。約2週間前から食欲が低下し、十分に水分もとれていなかった。3日前から動けなくなり、発熱と意識障害とがあり、救急搬送された。来院時、意識レベルGCS E3V3M4、瞳孔左右ともに2.5 mm、対光反射は迅速であった。呼吸数30回/分、脈拍数74回/分、血圧85/50 mmHg、体温38.3℃、口腔内は乾燥していた。血液一般検査はWBC 15,000 /μL、Hb 14 g/L、Plt 30×10^4/μL、血液生化学検査ではNa 145 mmol/L、K2.5 mmol/L、Cl 106 mmol/L、Cr 2.2 mg/dL、Ca 8.0 mg/dL、血糖値100 mg/dLである。次にすべきこととして正しいのはどれか。
a. 胃洗浄
b.活性炭の投与
c.利尿薬の投与
d. 血液透析
e.ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの投与

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. 〇
e. ×
リチウム中毒でしょうか…

87)40歳の女性。うつ病で内服治療を受けている。昼前になっても起きてこないので家族が見に行くと、反応がないので救急搬送された。最終健常確認は前日の夜である。部屋には大量の内服薬の空包が散乱していた。来院時、意識レベルGCS E1V2M3、呼吸数18回/分、脈拍数120回/分、血圧60/40 mmHg、体温38℃、SpO2 98%(room air)であった。直ちに気管挿管と静脈路を確保した。心電図ではQRS幅が120 msec、QTc 520 msecであった。最初に行うべき処置で正しいのはどれか。
a. 血液透析
b. 高張食塩水投与
c. 胃洗浄
d.カルシウム投与
e. 重炭酸ナトリウム投与

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. ×
e. 〇
三環系抗うつ薬のOD。wideQRS+QTc延長もあり重炭酸ナトリウムを投与。
透析では除去できません。

88)34歳の女性。双胎妊娠のため、妊娠37週5日で予定帝王切開術が行われた。麻酔方法は脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔で、術後鎮痛として硬膜外持続注入が行われた。手術翌日から離床可能で硬膜外カテーテルは抜去されたが、硬膜外カテーテル抜去直後から激しい腰背部痛と両下肢痛を訴え、進行性の運動および感覚障害がみられた。直ちに行うべきものとして正しいのはどれか。
a. MRI
b.単純CT
c.ヘパリン静注
d.ステロイド投与
e. 硬膜外カテーテルの再挿入

解答/解説

a. 〇テキストP910
b. ×
c. ×
d. ×
e. ×

硬膜外血腫はMRIがfirst。

89)外傷初期診療について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. Secondary surveyは解剖学的評価に主眼を置く。
b. Primary surveyは生理学的評価を用いる。
c. Primary surveyでは骨盤X線検査を行う。
d.初期輸液療法で回復しない出血性ショックにはsecondary surveyを行う。
e. GCS 8点以下の場合はprimary surveyを省略して頭部CT検査を行う。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. 〇
d. ×輸血、挿管、止血術ですね。
e. ×PSの後、SSの前に頭部CT。
JATEC

90)VA-ECMOを施行した際の圧容量曲線の変化(太い曲線)を示しているのはどれか。

集中治療専門医試験2022


a. A
b. B
c. C
d. D
e.いずれでもない。

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×
ECMOflowが後負荷となるため左室に圧がかかる。
脱血により左室の収縮期と拡張期の容量差が小さくなる。
循環動態アカデミー

91)デクスメデトミジンの臨床的に留意すべき副作用として正しいのはどれか。2つ選びなさい。
a.徐脈
b. 白血球増加
c. 高血糖
d.房室ブロック
e.呼吸抑制

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. 〇
d. ×
e. ×
3つのうちどれか2つを選べていたら正解。
添付文書参照。(「除呼吸」は呼吸抑制に含まれないのか…?)

92)成人のVV-ECMOのデバイスおよび管理について、正しいのはどれか。
a. 脱血カニューレには15 Frのカテーテルを使用する。
b.人工肺の酸素化は膜面積と人工肺への吹送ガス流量とに依存する。
c.内頸静脈経由右房脱血を行い大腿静脈経由下大静脈送血を行う場合、リサーキュレーション率が低い。
d. 臓器への酸素供給は、心機能、HbおよびSaO2に規定される。
e.人工肺の二酸化炭素除去は血液量に依存する。

解答/解説

a. ×脱血菅は22~24Fr、送血管は18~20Fr。長崎みなとメディカルセンター
b. ×「血流量に依存」テキストP171。膜面積と吹送ガス流量はCO2
c. ×送脱血菅が近いとリサーキュレーション率は高くなる。
d. 〇DO2(酸素供給量)=SaO2×Hb×1.34×CO
e. ×bの選択肢同様。

93)12歳の男児。既往歴はない。3日前からの高熱と、徐々に悪化する腹痛、嘔吐および下痢のため来院した。患児の母親が4週間前に新型コロナウイルスPCR検査で陽性となり、患児は陰性で濃厚接触者として自宅待機していた。来院時、呼びかけで開眼して従命し、呼吸数28回/分、脈拍数128回/分、血圧88/52 mmHg、体温39.2℃、SpO296%(room air)である。身体所見では、結膜充血、びまん性の紅斑および腹部全体の軽度圧痛を認める。血液一般検査では、WBC 7,200 /μL(リンパ球10%)、Hb 12.3 g/dL、Plt 95,000/μLで、血液生化学検査はCRP 6.4 mg/dLである。この症例の診断として最も可能性が高いのはどれか。
a.川崎病
b.溶血性尿毒症症候群
c.小児多系統炎症性症候群
d.エンテロウイルス感染症
e.新型コロナウイルス感染症

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×
小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)診療コンセンサスステートメント
こんな疾患があることを知りませんでした…

94)左室駆出率が40%未満の心不全患者に対して、日本循環器学会/日本心不全学会の「2021年JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版急性・慢性心不全診療」で新たに推奨された薬剤はどれか。3つ選びなさい。
a.イバブラジン(HCNチャネル遮断薬)
b.フィネレノン(非ステロイド型選択的MR受容体拮抗薬)
c.オメカムチブメカルビル(心筋ミオシン活性化薬)
d.サクビトリルバルサルタン(AT受容体ネプリライシン阻害薬)
e.エンパグリフロジン(SGLT2阻害薬)
* HCN : hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated channel、MR : mineralcorticoid receptor、SGLT2:sodium/glucose cotransporter 2、AT : angiotensin

95)呼吸仕事量(work of breathing)を構成する因子として誤っているのはどれか。
a.気道抵抗
b.呼気流量
c. 1回換気量
d.プラトー圧
e. 肺胸郭エラスタンス

解答/解説

a. ×
b. ×
c. ×
d. 〇
e. ×
テキストP114

96)88歳の男性。既往歴に2型糖尿病、脂質異常症、高血圧、慢性腎臓病(Cr 2.5 mg/dL)および大動脈弁狭窄がある。カテーテルによる大動脈弁置換術を受け、術後にICUに入室した。入室から5日後から、発熱と倦怠感とが増悪し、意識障害を認めた。血液一般検査はWBC 6,800 /μL、好酸球18%、Plt 15×10^4 /μLで、破砕赤血球は認めない。血液生化学検査はCRP 5.6 mg/ dLで、Crが5.5 mg/ dLへ上昇した。この患者について正しいのはどれか。3つ選びなさい。
a. 血漿交換が有効である。
b. 網状皮斑が出現する。
c.ステロイドを投与する。
d.ヘパリンの投与は避ける。
e. 腹痛は稀である。

解答/解説

a. ×
b. 〇
c. 〇
d. 〇
e. ×
皮膚親水性ポリマー塞栓症っぽいです。
私の環境では関連論文が読めないのですが、Twitterではステロイドないし経過観察をすると書かれていました。

97)感染予防にN95マスクを必要とする状況になりうるのはどれか。3つ選びなさい。
a. 麻疹ウイルス
b.新型コロナウイルス
c.水痘・帯状疱疹ウイルス
d.インフルエンザウイルス
e. 風疹ウイルス

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. 〇
d. ×
e. ×

結核、麻疹、水痘帯状疱疹ウイルス(ケツ麻酔)に新たにCOVID19が加わりました。

98)76歳の女性。身長155 cm,体重50 kg 。既往歴に心房細動がある。呼吸困難を主訴に救急搬送された。来院時は不穏状態,呼吸数40回/分, 脈拍数140/分・ 不整, 血圧90/66 mmHg,体温36.2℃であった。末梢冷感がある。胸部単純X線では肺水腫を認めた。心エコー図では左室のびまん性壁運動低下を認め左室駆出率は20%程度,中等度の僧帽弁閉鎖不全症を認めた。動脈血ガス分析(酸素マスク10 L/分)ではpH 7.396, PaO2 159 mmHg, PaCO2 26.7 mmHg, HCO3− 18.0mmol/L, 乳酸4.1 mmol/Lである。血液検査では,WBC 10,190 /μL, Hb 10.1 g/dL, Plt 30.3×10^4/μL、BUN 16.7 mg/dL, Cr 0.84 mg/dL,トロポニン-T 0.02 ng/mL(正常値<0.01 ng/mL)、D-dimer 1.6μg/mLであった。気管挿管し、人工呼吸器管理下での肺動脈カテーテル検査では、心係数1.6 L/min/m2、肺動脈圧52/38 mmHg,CVP 13 mmHg、SvO2 56%であった。次に行う処置として最も適切なのはどれか。
a.持続的血液ろ過透析
b.大動脈内バルーンパンピング
c. PVAD (ImpellaⓇ) 
d. VA-ECMO
e. VA-ECMO+PVAD (ImpellaⓇ)
* PVAD : percutaneous ventricular assist device

解答/解説

a. ×
b. ×
c. 〇
d. ×
e. ×
重度の左心不全。左心の容量負荷をとってあげたい。
重度のLOSを呈しており、IABPでのCOの増加は限定的と思われる。
日本心臓外科学会

99)85歳の女性。発熱、体重減少および食欲不振を訴えていた。症状が改善せず、救急車で搬送された。意識レベルはE3V4M5、呼吸数30回/分、脈拍数100回/分、 血圧110/60 mmHg、体温38.2℃、SpO2 85%(鼻カニューレ酸素3 L/分)である。胸部単純X線および胸部CTで異常陰影があり、救急外来からICUへ入室依頼があった。繰り返し行った新型コロナウイルスのPCR検査は陰性であった。胸部単純X線と胸部CTを示す。対応として正しいのはどれか。2つ選びなさい。

集中治療専門医試験2022


a. 髄液検査を行う。
b. 陰圧個室に収容する。
c.濃厚接触者の行動を制限する。
d.気管支鏡検査はスタンダードプリコーションで行う。
e.抗ウイルス薬を投与する。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. ×不要です
d. ×空気感染しうるのでN95を。
e. ×抗結核薬
画像はtree in bud。結核疑いの症例。

100) 56歳の男性。右片麻痺と意識障害を発症し救急搬送された。来院時、意識レベルはGCS E3V2M5、血圧210/120 mmHgであった。頭部CTを示す。この患者の治療方針で正しいのはどれか。3つ選びなさい。

集中治療専門医試験2022


a. 頭部挙上30度とする。
b.収縮期血圧140 mmHg未満を目標に管理する。
c. 血糖値200 mg/dL以下を目標に管理する。
d. 目標体温33℃の体温管理療法を行う。
e. Hb 12 g/dLを目標に輸血する。

解答/解説

a. 〇
b. 〇
c. 〇
d. ×低体温療法は薦められない。
e. ×通常通りで良いはず。
脳卒中ガイドライン

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この記事を書いた人

一児の父┃救急専門医┃集中治療専門医
自分の学習内容のアウトプット、講義資料の共有をしたい!
という理由でブログを開設しました。

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